タロットは自己探求装置
タロットは一説によるとトランプの原型らしいです。
だからそもそもタロットはただの遊び道具。
でもなぜか、目に見えないメンタルの世界を読み解く道具としても使うことができます。
ーーーー
なんでいきなりこんな話をしているかというと、このところタロットにすごくハマってるんです。
アレハンドロ・ホドロフスキー
きかっけはアレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的な映画を二本立て続けに観たこと。
それまでのホドロフスキーのイメージは「『エル・トポ』撮ってる頭のおかしい監督」ぐらいの浅ーい感じだった。自分自身に映画体験では、『リアリティのダンス』よりさらに遡ると、彼の幻の作品となった『DUNE』のドキュメンタリーを観てから一気に親近感が湧くようになり、その独特な世界観をもっと知りたいと思うようになりました。
そのホドロフスキーは映画監督だけではなくてホントにホントに様々な活動をしている人なんですが、そんな彼が若かりし頃から人生を共に歩んでいる、彼の人生と一体になっている、と言っても過言ではないもの ーーー それがタロットカードなのです。
タロットの宇宙
そういった背景的な情報をどこから仕入れたかというと、ホドロフスキーとマリアンヌ・コスタの共著となる結構分厚いこちらの書籍『タロットの宇宙』です。
とても読み応えのある本。
禅やワンネス的な考え方・視点でタロットを解釈しているように読み取れる部分がたくさんあります。それは多分、ホドロフスキー自身が禅の修行を経験していることが大きいと思われます。
本の前半でタロットのアルカナ全体をひとつのシステムとして捉えるためのエクササイズが掲載されていますが、まさにチベット密教の曼荼羅をタロットで再現するかのような手順を踏んでいきます。
タロットの宇宙というか、タロットと宇宙のマッピングというか…、思考ツールとしてのタロットを超えて、人間の(そして宇宙の)本質に向かっていく旅が始まるようなワクワク感が満載の本です。
カモワン・タロット
『タロットの宇宙』内での解説は、全てホドロフスキー自身が復刻に一役買っているマルセイユ・タロットの一種カモワン・タロットが使われています。
今回タロットにハマっていろいろ調べてみると、(素人丸出しですが→)「タロットって一言で言ってもいろんな種類があるんだなぁ」ということにまず気づきました。
ちなみに、タロットの歴史的な面をサクッと学びたい方にはこちらがおすすめ。
カモワン・タロットが系統的に属しているマルセイユ・タロットは、数あるタロットの絵柄の中でもとりわけ古典的でシンプルなものになります。個人差はあると思いますが、象徴としてカードを見たときにアイテムやサインが読み取りやすいと感じます。タロットのリーディング(Reading)はまさに「読む」作業なので、対話しやすい絵柄であるということは非常に重要です。
カモワン・タロットは現代に復刻させるプロセスの中で細かなディテールまで鮮やかに再現されており、不明瞭さが最小限に抑えられている印象です。マルセイユ・タロットの中には原版の経年劣化も含めてプリントに再現しているものもありますが、その点カモワン・タロットは絵柄をクリアーに再現・印刷する方針のようです。ここは好みが分かれそうです。タロットをどのような意図で購入するかにもよるでしょう。例えばビンテージ感溢れるタロットカードを観賞用として購入したい場合、カモワン・タロットはちょっと素っ気ないかもしれません。自分自身リーディングに使用してみて感じますが、カモワン・タロットは実践向きだと思います。使ってなんぼ系のデッキです。
置き換えの力
例えば悩み相談ひとつとっても、現実をそのまま説明的に話すには重いなぁという内容がタロットの「置き換えの力」を借りることで案外クールに考えてみることができます。自分がタロットを使ってリーディングさせていただいた方からも
タロットがあるから相談しやすい
悩み事がなくても、あ、意外とこれ気にしてたんだなって気付くし、解消する
などのフィードバックをもらうことができました。
現実世界の悩み事、それを形成する登場人物やストーリーをタロットの世界の中の話に一旦置き換えることによって見えてくるものがあります。
タロットのアルカナであるそれぞれのカードには固有のパースペクティブがるという考え方でリーディングを進めると、相談者本人が悶々と孤独に悩んでいたのでは持つことが難しい「別の選択肢」が見えてくる、そのことによって視野が広がり、肩の力を抜いて問題を見直すことができる、という効果が期待できます。
パースペクティブというアプローチを提唱しているのは『タロットの宇宙』でも監修を務めていらっしゃる伊泉龍一さんです。ご興味のある方はこちらの書籍を手にとっていただけますと、より詳しい内容に触れることができます。
ちなみになんらかの問題が含まれているストーリーを対話によって解きほぐしていき、別の選択肢(オルタナティブ・ストーリー)の発見に至ることで、結果的に問題が解消に向かう、という手法は、ナラティブ・アプローチに通じるものがあります。いやむしろ、タロットリーディングのほうがずっと歴史が古いわけですから、ナラティブ・アプローチという現代的なケア手法の中に原点回帰を見つけることができる、とも言えます。
ーーー ナラティブ・アプローチについての参考図書 ーーー
自己探求装置
タロットは占いの道具というよりも「自己探求装置」として有効だと感じています。
・内省に向かうための自己対話ツールとして
・自分の中に隠れた性格や癖を発見するための質問カードとして
・狭い世界に閉じ込められた自我が本来の自己へ帰還する旅の道標として
自己探求ですから、本来はタロットも自分で実際に使ってみることが重要なのだと思います。
タロットの使い方は本来的に自由です。
決まり事なんてないのです。
ただタロットを象徴として見ようとしたときに、それを補うような知識的体系をいくつかリンクさせて語ることができればリーディングの納得感が増すことは確かかと思います。
タロットバーという実験
百聞は一見に如かず。
タロットがどんなものか話だけ聞いていても(そしてこちらもそれを話しているだけでは)なんの意味もありません。
タロットに話しかけ、ランダムに引き当てたアルカナが語ることに耳を傾けることで新しい風景が広がる。この感覚を積み重ねていく内、今までは見えなかった無意識の領域と対話的に通信することができるようになる。そこから思いも寄らない答えを発見し、心が動く、束縛から解放される…。
こういった実体験を通してこそ、タロットの面白さがわかるものと思います。(個人的には瞑想といっしょだなと思います。)
タロットを勉強し始めて、本を読み、自分自身の諸々をリーディングする習慣を持ち、その後口コミでリーディングの練習に付き合ってくれる方を募集して何度かセッションを重ねてきました。
この度、Neribaという日替わり店長バーを運営している友人たちの好意で、実験的にタロットバーをやらせてもらえることになりました。
タロットバーという場でより多くの方とライトにいろいろ語り合えたらと、まずは思います。お酒を片手に気軽なタロットセッションを愉しみたいです。
レギュラー化する前にそもそもタロットバーが成立するのか実験する期間を設けようということで、ちょっとの間は不定期でバーに立ちます。新コロナウィルスの感染予防で、衛生面の管理やソーシャルディスタンスを保てる人数に制限しながら営業することが前提、という状況もあります。
というわけで、タロットバーはたまたまSNSのTLを見てくれた方や、noteを読んでくれた方が足を運んでくれたらOKぐらいの調子でやってみようと思います。
初回は2020/06/25(木)の夕方以降の時間帯にNeribaのバーカウンターで。
※ シンプルに「タロットのリーディングをしてもらうたい」とか「タロット・リーディングのコーチングをしてほしい」などでしたらオンラインでも対応できます。気軽にご連絡ください。リーディングは基本的に無料ですが、コーチングは有料になります。予めご承知ください。
余談:タロットはポップ
余談です。
これまでNeribaにはいろいろ関わってきたので、自分自身も1日店長として参加したいなぁとは思っていたのですが、僕の持っていたコンテンツって、プログラミングとか仏教とか哲学とか…どうも小難しそうなものが多く、「その話で酒飲む?」みたいな違和感が正直あって、どうも最初の一歩が踏み出せないでいました。
そこでいうとこのタロットはとってもPOPだなぁと思うのです。
タロットって、ぶっちゃけ対話なんです。
だけど、対話のデザインがワーク的に入るオープンダイアログや、1on1スタイルのカウンセリングに比べて圧倒的な気楽さがタロットにはあると思います。あ、これあくまで個人的特性に基づく感想です。オープンダイアログの達人は自由自在にどんな状況でも対話のケアができると思います。僕はそうじゃない。やっぱりオープンダイアログ的なアプローチするなら、最低限のデザインが必要。
あと、本文中にも書きましたが、タロットの解釈の自由度がホント飲み屋向きだと思う。あまりにも話がジャンプしたらそりゃリーディングの域を飛び出してこじつけや妄想になっちゃいますけど、基本的なフレームさえ外さないように気をつければ、それこそ自由自在にいろんな知識をリレーションできるレゴ的な面白さがタロットにはあります。
このnoteを読んでタロットに興味が湧いた方がいてくれたら本当に嬉しいです。特に以前の自分のように、占いへの偏見からタロットみたいなものをわざわざ避けているような人が「あれ?案外面白そうだな」なんて思ってくれたらマンモス嬉しい。
SN
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?