本当の苦しさは、負の連鎖の真っただ中にいるとき
人は生きていると苦しいことに遭遇する。
よく、苦しかった体験を語るのに、「以前はこんな苦しいことがあって」そして、「こんな苦しいことを乗り越えてきたらか今がある」という展開が多い。
この話は、いったん下がってその分上がっているから、「今は苦しくても、その未来は明るい」という、苦しみは救われるというメッセージが込められている。一時的に苦しい状態ではあるが、本当に苦しいこととは異なる。
本当に苦しいことは、「こんな苦しいことがあるから、さらに苦しくなる」状態。苦しい体験が報われないどころか、より苦しさの連鎖が生まれることが本当の苦しみ。
長い視点でみると、その連鎖もいつかは抜け出せるけれど、その最中にいる間はただただ苦しみしかない。
恋愛が成立しない連鎖の体験
私は中学校に行っておらず、あまりにも人間関係能力がなく世間の常識も知らない状態で社会に出た。
仕事はただ生活費を稼ぐ手段であり、ほとんど喜びは得られなかった。人との関りが少ない仕事なら何とかこなせていた。
恋愛が苦しかった。恋愛はダイレクトに人間関係能力が試される。ちなみに外見は普通くらい。仕事やアルバイトを転々としていると出会いがあり、少しは仲良くなることもあったが、恋愛に発展できないでいた。
恋愛をどう進めていっていいか全くわからなかった。そもそも、人同士が仲良くなっていく過程がわからないし、恋愛が何をもって成立しているのか、まったくわからなかった。
そして、相手を好きになるが、進むことなく自然消滅していく。この繰り返し。
過去の恋愛がひとつ成立していれば、次の恋愛もうまくいきやすいだろうなと考えられる。
私は、恋愛の経験値を積めないから、次の恋愛も成立にくい。
当時は恋愛至上主義の世界があり、多くの人が恋愛に価値を置いていた。そんな背景のなか、周りから取り残されるように、恋愛ができない焦りは募っていった。そして常にさみしかった。
多くの人が中学や高校で、基本的な生き方や人間関係を学ぶ。私はそこがないから、恋愛が成就しないと考えて過去に苦しめられていた。
負の連鎖が続いた20代
恋愛もダメだったけれど、友達とも関係が深くない。職場では仲良くなっても職場を離れると関係がなくなることが大半だった。人間関係が成り立たないから、仕事をしても楽しくないし、頑張る意欲もない。ただ生活のために、しんどいけれどフリーターを続けるしかなかった。
年齢と共にフリーターを続ける焦りが募るが、何かしたいことがあるわけでもない。この先どうなっていくのか、不安が渦巻いていた。
さみしさと苦しさの中、止まると状況が悪化していく。進むことも苦しいが、進むしか選択肢がない。
特に20代の間は、ほぼこのループの中にいた。抜け出したくても抜け出せない。外れない知恵の輪のような状態だった。きっと、負の連鎖というのはこういうことだと思う。ずっと苦しさがあったので、1日たりとも20代の頃には戻りたくないと心底思う。
受け容れるしかないという結論
ちなみに30代になると、少しは生きていく知恵がついてきて、物事をあきらめ(明らかに見る)ると、楽になってきた。なるようになるというか、なるようにしかならないという感覚です。
体験として、苦しいことの連鎖が最も苦しい。ただ、変えられることは変えていけばいいのだけど、変えられないことは受け容れるしかないと思う。
ニーバーの祈りのような文章になりましたが、そう思います。