お金のためだけに働くとじり貧になる
17歳のころに鉄工所で働いていた。一人暮らしと同時に働き始めた職場だった。
仕事内容は単純で、機械に部品を流し込んだり取り換えたりするだけだった。時間は8:30~17:30で週6日勤務、額面(ほぼ手取りと同じ)17万くらいだった。
残業はほとんどなかったが、時間がとにかく長く感じた。単純作業ゆえの時間の経過との戦で、時計を見てはお昼闇まであと何分、終了まであと何分とばかり考えていた。
5人くらいの小さい会社で同じ年代の人もおらず、会話の少ない雰囲気だった。
週一日の休みである日曜日は、ぐったり疲れて昼過ぎまで寝ていた。楽しいことと言えば、仕事が終わって、夜にテレビを見られることくらいだった。新しい街で新しい生活をスタートしたものの友達はできそうになかった。
お金のために働いていた生活
はじめての一人暮らしで、家賃、食費、その他もろもろで生活費がどれくらいかかるか知らなかった。お金がゼロになると飢え死にすると思っていたから、何としても働く必要を感じていた。
毎日朝起きるのがしんどくて、壁に1日分の給料である6800円(850円×8時間)を壁に張り付けて、目覚めたときにそれを見て眠たい目をこすっていた。ただお金のために働いていた。
ここで働いていても職業的なスキルの蓄積にならないし、人間関係もないからコミュニケ―ション能力も上達しない。休日や私生活は、毎日の疲れを回復させるために何かをする気にもならなかった。
この生活を続けることは、お金が少し増えるくらいで、ほとんど意味がないと分かってきた。
このままの生活を続けても仕方ない
働き始めて3ヶ月くらいすると18歳の誕生日を迎えた。求人雑誌を見てみると、多くの会社の募集年齢は18歳からという記載があると知っていた。そう、18歳になると仕事の選択肢が増える。
もちろん中卒でできることは限られるし、コミュ能力もなく、次の仕事が見つかるかわからない。収入がなくなるのは怖いが、ここに居続けるのは辛い。何かを求めていくしかないと思い、しばらくして退職を申し出た。
働くならコミュニケーションが上達する職場
そして、パチンコ店で働くようになった。こちらも週6日の8時間で、一日中歩きっぱなしで、最初はとてもしんどかった。
しかし、同年代の人も多くいて女性とも会話することがあった。それまでの人生で成人の女性と話したのは、ほぼ初めてだった。
少しずつながら、話せる人が増えて楽しかった。人と仲良くなることができて、友達もできた。初めての青春のようだった。
鉄工所を続けていたら、絶対に味わえなかった世界。その後は、パチンコ店を転々としていく中で、少しずつ、少しずつ、人との関り方を覚えていった。
引きこもっている期間が長くなると、コミュ能力が育たない。コミュ能力がないと、できる仕事が限られて、退屈な仕事をすることになる。私生活も変化しない。
コミュ能力を磨ける職場に行けると、人と関われる能力が身に付く。すると、他の仕事もできるし、私生活でも友達ができて豊かになる傾向がある。
私にとっては、お金のためだけに働くと自分が伸びなくてじり貧になり、人と関われる職場で働くと世界が広がっていくと体験したのです。