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昭和の男、健さんと父の違い

『筋を通した昭和の男』

パラパラと流し読みしていた読売新聞で、ふと目に留まったタイトルだった。


お父さんもいかにも昭和の男。
だけど筋は通ってないんだよな‥‥。と。


この記事で語られていた「昭和の男」は、故・高倉健さん。

没後10年になるそうで、先月まで展覧会が開催されていたそうだ。


昭和の名俳優といわれる高倉健さんと、同じく昭和に生まれた我が父。

同じ「昭和の男」でも、色あせない高倉健さんと、時代錯誤感が漂う父は、いったい何が違うのか。


高倉健さんの『没後10年展』には、読売新聞への寄稿や、直筆のメモなどが展示されていたという。

「大切なのは、自分の役目は何なのかを見極めて、一生懸命悔いのない毎日を送ることだ」

高倉健さんの読売新聞への寄稿

「人生の喜びわなにかを得ることではない。得てから大事にしていくこと」

高倉健さんの直筆のメモ


この言葉を読んで、父との違いがわかった気がした。


実は我が父は、「筋が通っている風」だ。

昭和の男っぽい感じ。というか、家族にはもう本質がバレバレだけど、本人は自分を「昭和の男だ」と思っていそうな感じだ。そして、それを美徳としている感じ。堂々として、寡黙な感じで、何か信念でもありそうな雰囲気を漂わせてくる。


だけど父は、筋が通っている「風」にしか見えなくて、高倉健さんは「筋が通っている」。この違いは、通す「筋」の質、というか中身なのだろう。


筋とは、「物事の道理」を言い表す。

物事の道理には、「道徳的な正しさ」というニュアンスがある。

そして道徳とは‥‥以下を引用する。

道徳とは「他者の幸せ」の実現のために行う「行為」とそれを支える「心遣い」のことをいいます。

https://www.salon-gratify.com/blog/blog/2017/05/13/post-15757/

また、「自分の良心によって、善を行い悪を行わないこと」と解説されていたりもする。


「良心」や「心遣い」があってこそ、人はその人を「筋が通っている」と感嘆する。


つまり、高倉健と我が父の違いは「道徳心」なのだ。


父に道徳心がない。とは言わない。

だけど、少ないというか、弱いというか、勘違いしているというか‥‥。いや、その存在を忘れているというのが正しいのかもしれない。

だから、道徳に背いていても良心が痛むことがない。というより、「痛み」を感じられないというほうが正しいか。


まあ、自己愛性パーソナリティ障害だから。ってことになるわけだけど。


その原因のひとつは、やっぱり親と時代からの洗脳だよなあ。と思う。



ここで面白い記事を見つけた。


よっぽどマイペースなタイプはさておき、ほとんどの昭和人間は「男はこうあるべき」という決めつけはよくない、今どきそれをしたら若い人たちから後ろ指を指されるということは、十分にわかっています。

「男はこうあるべき」「男は繊細」…昭和人間に染みつく呪縛


ふむふむ。我が父はマイペースなタイプか。

自己中だもんね。


気を付けているつもりでも、うっかり「ヒンシュクを買う発言」をしてしまうのはなぜなのか。自覚なく決めつけて、それを有益なアドバイスだと思ってしまうのはなぜなのか。みっともなくて迷惑な不具合を引き起こす「5つの原因」に着目してみましょう。

「男はこうあるべき」「男は繊細」…昭和人間に染みつく呪縛


紹介されていた「不具合を引き起こす原因」を引用する。


  1. 自分の狭い経験や見聞がすべてだと勘違いしている

  2. “わかっている自分”を示したつもりが裏目に出る

  3. マウンティングしたいという誘惑にあらがえない

  4. 後ろめたさや罪悪感を正当化したいと願ってしまう

  5. 女性をおとしめることで男性である自分を持ち上げる


面白いほど全部当てはまっている。

父にとって問題なのは、これらが原因で不具合が起こっていることを家族はもう気づいていて、本人には自覚がないということだ。自覚がないどころか、美化しているとさえ思える。

いや、時折、わかっているようにも見える。

けど、「みんなやってる」=「正」という強引な理論で押し通してくる。


傍から見ていると、まるで「裸の王様」で、こっちが恥ずかしくなってくるのだけど。

父も「恥」をかくことにとても敏感なはずなのに、醜態を晒していることに気づいていない。

いや、今さら気づきたくもないかもしれない。


「自分は高倉健のような男だ」という夢の中にいたほうが、よほど幸せなのだろう。


そんな父に付き合ってあげる心の広さがわたしにあれば良かったのかもしれないけど、持ち合わせていないのが残念だ。



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心乃泉
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