余計なお世話(4)
義弟に会いに行ってきた。
パートの後、まっすぐ帰ればいいところを別の線の電車に乗って、わざわざ行った。
名目は「渡したいものがあるから」ということにして、行っていいかを義母に確認し、義弟にも知らせる。そして、お菓子も前もって買って持参。この一連の流れにも慣れた。
前回はどうにか約束をとりつけて訪ねたのに、義弟が不調で話もできなかった。
これからどうしたらよいだろう、このまま体調も悪化してしまうのでは…と思っていたら、暑くなるにつれて、食べられるようになってきたのこと。義弟は、梅雨どきの低気圧に弱いらしい。
元気になってきたのを聞いて、もう余計なお世話はいらないか、とも思ったけれど、義弟には「また行く」とメッセージを送っていたし、そのことは絶対に覚えていそうだし、せっかく育てている途中の信頼関係を失わないためにも行くことにした。
義弟は私が行くと、すぐに出てきて「復調しました」とのこと。
復調、って日常的にあまり使わない言葉だな、と義弟らしさ(語彙が豊富で堅苦しい)を感じた。
いつもは義母と私が話している部屋にずっとはいない義弟が今回はずっといた。
前は、長く座っているのこともできないぐらいだったのに、座って話すことができている。
よかった。
主に義母の話を聞いて、私も義弟と共通の趣味があるので、ちょっとその話もした。
行く前には「ひきこもり相談窓口に行けば心理士さんの無料相談が受けられるよ」ということを伝えられたら伝えようと思っていた。
伝えられなかった。
義弟の体調が悪いことは痩せた体を見れば一目瞭然だし、隠しようもないことだから、話題にできる。
でも、ひきこもりに関しては、何も言えない状況が続いている。義弟には恵まれたことに、家賃収入があるのだが、それでも隠居するには早すぎる40代前半という年齢。この先、外に働きに出るつもりがあるのか、これまで誰も聞くことができていない。
相談員さんからは、自分のことで家族が勝手に相談していることを知った当事者の人が怒り出すことはまずないと聞いている。
それでも、どうにも無理だった。
もう一つ、言おうとしたことは、私のパート先で働くのはどう?ということ。40代男性もたくさんいるし、これまでの経歴なども全然聞かれない職場だから、社会復帰の第一歩としては良さそうに感じる。
でも、これも言えなかった。
なぜ言えないかといえば、やはり義弟の「何も言ってほしくない」という気持ちをひしひしと感じるから。それは大切しないと信頼関係が崩れてしまいそうだ。
こちらの勘違いで、義弟は「何でも言ってほしい」と思っている可能性もあるけれど、やはり義弟を前にして、言ってほしくなさそうに私は感じた。
でも、本人がどんなに言ってほしくなくても「必要だ」と感じるタイミングがあったら、勇気を出して伝えようと思っている。
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