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親が元気でいると子どもも元気になる 〜不登校支援者からのメッセージ〜
看護師 山田祥和
不登校のお子さんを持つ親御さんとお話ししていると、「子どもが学校に行かないことが心配で、私も心が折れそうです」という声をよく耳にします。
子どもが「学校に行きたくない」「生きていても」と口にすれば、親としては胸が締め付けられます。リストカット、暴言、暴力、引きこもり——そんな姿を目の当たりにすると、親御さんも心がすり減り、何もかもが手につかなくなることもあるでしょう。
しかし、ここでお伝えしたいのは、
親が元気でいることが、子どもの回復につながる
ということです。
親のこころは子どもに伝わる
親と子は、まるでこころの鏡のような存在です。
親御さんが不安や疲れを抱えて暗い表情をしていると、子どもはその雰囲気を敏感に感じ取ります。そして、「自分のせいでお母さん(お父さん)がこんなに苦しんでいる」と罪悪感を抱き、ますます心を閉ざしてしまうことがあります。
逆に、親御さんが穏やかで元気に過ごしていると、子どもも「親が楽しそうにしているから、少し安心できる」と感じ、こころの余裕が生まれます。もちろん、親が元気だからといってすぐに不登校が解決するわけではありません。それでも安定したこころが、子どものこころを支える土台になることは間違いありません。
親が元気でいるためにできること
では、親御さんが元気でいるためには、どんなことを心がけるとよいのでしょうか?
1. 自分の時間を持つ
お子さんのことが心配で、自分のことを後回しにしていませんか? 親御さん自身がリフレッシュすることは決して「無責任」ではありません。カフェでゆっくりコーヒーを飲む、好きな本を読む、友人とおしゃべりをする——。小さな「自分の時間」を持つことで、こころに余裕が生まれます。
2. 外の世界とつながる
親御さんまで家に閉じこもってしまうと、家庭内の空気が重くなりがちです。短時間でも外に出て、仕事やボランティア、趣味の活動など、子ども以外の世界とつながることはこころのバランスを保つのに役立ちます。
3. 支援を受ける
一人で悩みを抱え込まず、不登校支援の専門機関に相談することも大切です。親御さん自身が支えを得ることで、子どもに寄り添う力も湧いてきます。
たまごが先か、ニワトリが先か
「親が元気だから子どもが元気になるのか、子どもが元気だから親も元気になるのか」というのは、まるで“たまごが先か、ニワトリが先か”のような問題です。
しかし、私たち支援者の視点から見ると、親御さんがこころの安定を取り戻したとき、お子さんが少しずつ変わっていく姿を何度も見てきました。
親御さんが「自分の人生を楽しむこと」を許し、こころにゆとりを持つこと。それは、お子さんにとって「自分はこのままでも大丈夫」という安心感を与えることにつながります。
自分自身を大切にして、自分が元気でいれば、きっと子どものこころにも温かな光が届くことを信じるといいと思います。支援者として私たちもその一歩を応援しています。
不登校や引きこもりの子どもに対しての依頼があっても、私たちは親御さんへの支援をまずは大切にしています。