コミュニケーションの裏話③ あの有名なコミュニケーションスキル

ご覧いただきありがとうございます。

働く人のこころの悩み相談室 代表
NLPトレーナーの淺野高広です。

前回はコミュニケーションに有効な頭の中の状態についてお伝えしました。

前々回はコミュニケーションに必要な心の状態、自分とのコミュニケーションについてお伝えしました。

今回はいよいよコミュニケーションスキルです。

コミュニケーションスキルは実践することで、どんどん上手くなって行きます。

1.コミュニケーションが上手く行かない時

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僕が数年前に関わっていた、ある業界の話です。
リーダー研修、メンタルコーチングを行っていた時に、一番多かった悩みが上司や同僚、部下などの「人間関係」に関することでした。

そしてパーソナルコーチングでも「人間関係」でのモヤモヤが最も多かったのです。

人間関係がうまくいかなかったり、仲が悪いままだと、仕事で大事なやりとりをしても、

あの上司の指示は聞きたくない。

あの人にはお願いしたくない。

お願いされても受け入れたくない。

となってしまいます。

ですが仕事場では、そのような相手と一緒に仕事をしなければいけません。

以前、社員の人間関係でアンケートを取った時、このような答えが返ってきました。

① 仲の良い人、どうして仲が良いと思いますか?
趣味が同じ、話が合う、ノリがあう、考えが似ている。信頼関係がある
② 仲が良くない人、どうして仲が良くないと思いますか?
趣味が合わない、考えが違う、話がかみ合わない、ノリが違う。信頼関係がない。

そして、この状態が仕事では大きく影響してました。

さらにこのような答えもありました。

・仲の良くない人の話しは聞きたくない
・自分の考えをわかってくれる人に心を開きたい  

このように相手の話の内容を受け入れるためには、その前に信頼関係が必要だったわけです。

2.コミュニケーションスキルとは

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NLP-JAPANラーニングセンターのラポールを引用しながら説明いたします。

信頼関係に近いスキルとして、カウンセリングやコーチングではラポールスキルというのがあります。

ラポールとは何か?

語源は、フランス語で架け橋、ラポートという言葉から来ていると言われています。

信頼関係と少し違うのは、初対面の人やまだよく知らない人とも関係をすぐに構築できるため、深い信頼関係とは少し違ったものと理解されるとよいかもしれません。

気が合う、話が合う、考えをわかってくれる、安心できる、親しみが持てる、ノリが合う、そういった関係性もラポールと言えます。

そしてラポールの概念は、似ている人同士は、互いに好意をもちやすいということ。

ラポールとは反応のプロセスであり、必ずしも“好き嫌い”の問題ではない。と言われています。

このラポールを構築するために行うのがペーシングです。

ペーシングとは何か?

簡単に言えば相手に合わせていくこと。

ペーシングをすることでラポールが構築できると、そのあとの会話、指示、お願いなども受け入れやすくなります。
また、そのあとの仕事のやり取りがとてもスムーズになったり、会議や商談、家庭、友達、初対面の人など、幅広く使えるスキルです。

では、ラポールを構築するためのペーシングについて

そのための3つのスキルをお伝えします。

それがミラーリング、マッチング、バックトラッキングです。

《ミラーリング》

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文字のごとくミラー(鏡)のように相手の身振りや動作を合わせるスキルです。

例えば、似た者同士という言葉があります。

似た者には好意を抱きやすいと言われてます。それは「類似性の法則」でも言われており、共通の要素があるだけで関係が良くなることはよく知られています。

また動物の世界では自分と姿、形が違うものを見ると仲間ではないものとして認識していると言われています。つまり視覚を通して姿、形が似ているか違うかを無意識に判断しているわけです。

まとめると、似ているものには無意識に親近感を感じていると言えます。

《やり方の例》
姿勢、立ち振る舞い、身振り手振り、表情などを少し鏡のように真似ていきます。
ただしモノマネではありません。
相手に合わせて似たような仕草をしていくのがポイントです。

ミラーリングを活用するときに注意していただきたいのが、もともとのお互いの関係性です。

例えば、上司と部下の関係で、上司が腕組みした時、あなたも腕組みしているところを想像してください。なかなか見ない光景ですね。その後の仕事にマイナスの影響がでるかもしれません。

僕の経験上、ほんの少しの似たような仕草で十分効果がありました。ぜひトライしてみてください。

《マッチング》

相手に同調したり合わせていくのがマッチングです。例えば、話し方やリズムに合わせていきます。
声の調子、高い、低い、大きい、小さい、リズム、スピード、そして相手の考え方や、その人が大切にしている価値観など。

また、その人の性格、感情、呼吸にも合わせていきます。

《やり方の例》
話がゆっくりな人にはゆっくり話し、早口の人には早口にしていきます。
他にも頷きのリズムに合わせて、一緒に頷いたり、呼吸を合わせることも効果的です。

これがマッチングです。

お相手の方が、いつの間にか自分と同じ姿勢や仕草をしだしたら、ペーシングによってラポールが構築できはじめている証拠だとも言われています

《バックトラッキング》

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言葉を繰り返す手法でご存知の方も多いかもしれません。オウム返しのことです。これをNLPではバックトラッキングといいます。

では具体的に何を繰り返していくのか?

バックトラッキングの3つのポイント
①相手の話した『事実』を反復する
②相手の話した『感情』を反復する
③相手の話を要約し確認する。

この3つがバックトラッキングと言われてます。

例えば、Aが相手でBがバックトラッキングをした場合

A「仕事で、毎回、残業させられるんです」
B「残業させられるんですね」
A「残業ばかりさせられるのに納得いかなくて、モヤモヤしてます」
B「納得いかなくてモヤモヤしてるのですね」
このように事実や感情の部分を繰り返したりします。

バックトラッキングは最初は相手が言った単語を繰り返していくだけでもいいので、ぜひ実践してみて下さい。

【バックトラッキングの機能】
脳のフィルターは話した情報が良いのか悪いのかを判断していると言われています。
自分の話した内容を繰り返されていると、頭の中では良いという反応が出てくるため、その話しが広がります。相手は自分のことをよく理解してもらえている感覚になります。その特性を活用したのがバックトラッキングです。

まとめです。ラポールを構築するためのペーシング。

そのための3つのスキル、それがミラーリング、マッチング、バックトラッキングです。

これらのスキルを使うためには、相手を丁寧に観察することがポイントです。

3.メラビアンの法則

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コミュニケーションスキルの理解で欠かせないのが、メラビアンの法則です。
1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが分析した法則です。

メラビアンの法則によると、コミュニケーションにおいて人に影響を与える情報の割合は

言語情報 7%
聴覚情報 38%
視覚情報 55%

このように話の内容よりも、声やトーン、表情、しぐさなどが影響を与えると考えられています。

想像してみましょう。
①怒った顔と怒った口調で「ありがとう」と言われました。どう感じますか?
②腕組んで上から目線でイライラしながら、「すいません」と言われました。
どのような印象になりますか?

つまり言葉の内容より、非言語の情報の方が相手に影響を与えるのかもしれません。

4.探求

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ここからは、さらに僕の7年間のセッションの研究と演劇の観点で探求していきます。
非言語の情報が、どれだけ詳細に話の内容よりも影響を与えるかを表したものです。

同じ話の内容を何人かで話す実験をしました。すると話す人によって受け取る印象が、かなり違ったのです。

例えば、自分の会社を想像してみます。
社長がみんなの前で話した内容と同じことを、自分の部下や後輩が話したとします。いかがでしょうか?
同じ内容なのに、相手に与える印象は変わってきます。
演劇や映画でもキャスティングというのがあり、役に合う俳優を決めるために、複数の人にまったく同じセリフを読んでもらいます。
すると人それぞれ印象が全然違うのです。
そこから作品のイメージに合う人をキャスティングしていきます。

こう考えると、詳細な非言語の情報も言語情報より、相手に大きく影響を与えていることがわかります。

余談ですが、将来、AIがもっと進化したら、バックトラッキングや話すスピードも合わせることができるようになるかもしれません。

そのAIと人間のコミュニケーションに違いがあるとしたら、人間は非言語のコミュニケーションを使えていることだと思います。

5.非言語のコミュニケーションの表と裏

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非言語のコミュニケーションを行うときの表と裏というのは、外見からアプローチする方法と、内面からアプローチする方法だとお考えください。

外見からのアプローチ
外見からというのはミラーリングやマッチングを行い、立ち振る舞いや、仕草、リズムなどを合わせていくことで、相手に非言語の情報を伝えるものです。
内面からのアプローチ
内面からのアプローチというのは、自分の内面(心の状態、頭の状態)を作ることで、その結果、非言語情報につなげていくやり方です。

とくに内面からのアプローチについては、人には言葉の裏で相手のことを想ったり、無意識レベルの気持ちや感情が、表情や態度、振る舞い、声、雰囲気として表現されることは演劇の世界で明らかになっています。

外見、内面どちらのアプローチも非言語のコミュニケーションに役に立ちます。

内面からのアプローチについて、詳しくはコミュニケーション①と②の内容を参加にお考えください。

コミュニケーション①心の状態についてはコチラ

コミュニケーション②頭の状態についてはコチラ

非言語の情報をたくさん活用して、より良いコミュニケーションにつなげることをおすすめします。

6.活用していこう

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コミュニケーションスキルは上司、部下、同僚との人間関係の再構築にも役立ちます。

また家族、お友達との関係をより良くするためにも、

ぜひご活用ください。

これでコミュニケーションスキル心の状態頭の状態について、3回にわたってお伝えしてきました。

実は、まだ先があったのです。

それは、コミュニケーションスキルを実践し関係が良くなった後におこる、コミュニケーションスキルの最大の落とし穴があるのです。この落とし穴に気づかずにハマってしまうと後々の関係に影響が出てきます。

ですので、次回、コミュニケーションスキルの最大の落とし穴についてお伝えいたします。

とはいえ、まずはコミュニケーションスキルを実践することでどんどん良くなりますので、皆さまのご参考になれば幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。

《引用、参考》ラポール  : ページング.ミラーリング.マッチング.バックトラッキングについて、NLP-JAPANラーニングセンターのラポールを参考にしています。


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