がん治療中、家族の理解が得られない時に知っておきたいこと
がんなどの病気になった時、その病気や治療の辛さを「家族に理解してもらえない」と感じることはありませんか？それは大きなストレスの一つですよね。なぜご家族が病気や治療を十分に理解できないのか。
その背景や対応を知ることが、これからの心の負担を減らす一歩になっていきます。
1. ご家族が病気を理解しない理由
① 病気についての知識不足
ご家族にとっては、がんの治療による倦怠感や副作用は外見からは分かりにくいのです。だるくて休んでいる姿さえ、「思ったより元気そう」と誤解してしまう原因の一つ。
こちらが思うほどわかっていない、知識を持っていないことがあります。
② 恐れや不安の心理
ご家族が病気を理解しようとしない背景には、不安が隠れている場合があります。無意識に「どう対応していいか分からない」「向き合うのが怖い」「これからの生活はどうなるんだろう」と感じていることがあります。
夫／妻、実親など身近な人ほど、この心理が強く表れるケースもあります。
③ 役割や期待のギャップ
特に母親や妻といった役割を持つ場合は、「家庭を支える存在」と見なされている場合があります。今までも風邪で熱を出そうと、変わらずにご家族を優先し動いていたのではないでしょうか？
そうするとご家族の中で、今までと同じように「頑張ってほしい」、「何とかなる」という無意識の期待に繋がってしまうのです。
2. ご家族が病気や治療を理解していくために
① 病気や治療について具体的に説明する
ご家族へご自分が抱える症状や治療の影響を、具体的に説明することが大切です。可能であれば医師や看護師などの協力を得て、ご家族に直接話してもらうことも1つの方法です。
実際、医師や看護師から話したことで、「そういうことだったんですね」とようやく納得されたご家族もいます。医療者を活用してみましょう。
② 家族にとっての「役割」を示す
ご家族は、今まであなたが太陽のような存在で頑張っていた。だからこそ、「どうサポートすればよいのか分からない」という戸惑ってしまうのです。
具体的にしてほしいことを伝えると、家族は役割を明確に感じられます。
結果、行動に移しやすくなりますよ。
例えば、「治療後は特に疲れやすいの。だから買い物をお願いできると助かるのよ」という感じで、具体的に何をしてほしいかを言葉で伝えてみるのはどうでしょうか。
③ 自分の気持ちを正直に伝える
「休ませてほしい」「頑張っていないように見えるかもしれないけれど、全力で治療を続けている」など、自分の気持ちを素直に話してみましょう。
ご家族が知らなかった本音を知ることで、少しずつ変わることがあります。
④ 第三者を頼る
家庭内だけで解決しようしないことも大切です。心理カウンセラーや医療ソーシャルワーカーなど、第三者のサポートを活用することも重要。
家族が客観的な意見を聞くことで、病気・治療だけでなく、あなたへの対応や心理的な理解が深まるケースもありますよ。
⑤ ご家族自身のケアを取ってもらう
家族が疲れや不安を抱えすぎている場合も少なくありません。実はご家族は、第二の患者さんと呼ばれるくらい心身の負担が大きいのです。
それゆえ、あなたへのサポートに余裕がなくなってしまったり・・・心にもない言葉を言ってしまうこともあるのかもしれませんね。
ご家族自身が休息を取ったり、悩みを相談するように提案するのも一つの方法です。
3. 全てを分かってもらおうとしない
どれだけ努力しても、家族が完全に患者の気持ちを理解するのは難しいことがあります。その場合、全てを分かってもらおうとするのは、かえって心が疲れてしまいます。
だからこそ、自分自身の心のケアをすることが大切。
信頼できる友人や専門家に気持ちを話すことで、あなたの心を大切にしていきましょう。
病気と向き合う中で家族の理解が欠けることは苦しいものですよね。その原因や背景を知ることで、対応策を見つけやすくなりましたか？
少しずつでもご家族の理解がある中で、安心して治療に専念できる環境に近づいていきますように。
かかりつけナースカウンセラー相談室では、患者さんご本人に加えご家族のご相談も可能です。双方の心の不安や苦しみが軽くなっていくことで、心にゆとりが生まれていきます。ご活用くださいね。
今まで言えなかったことも話していくことで、気持ちや考えの整理になっていきます。あなたの心の力が抜けて、安心して過ごしていくキッカケになれば幸いです。