昭和の美人女優
とあるサイトがタイトルに掲げましたようなランキングを発表したんでありますがね。
第1位 夏目雅子
まぁ、【美人薄命】を地で行くような生涯でしたわね。享年27歳。
しかも……ま、あまり詳細は過去の話でもあってここで言及しませんけれど……紆余曲折の果てに最愛の旦那様と結ばれて幸福の絶頂に居た、その直後に病魔に魅入られてしまう、という。
色々と代表作と呼べる作品が映画・テレビそれぞれにありますけれど、私が最も「この人、美人だな~」と驚嘆しましたのは、実はとあるワイドショーでの路上インタビューの映像でありましてね。
それこそ結婚した直後で「今、私は最高に幸せで~す!」を全面に出した…と書くと物凄いドヤ顔と言いますかイヤミッたらしい感じがするかもしれませんがそうではなくて、テレビ用のメイクではなく街へ出掛ける用の化粧で登場した夏目さんがとにかく美しくも可愛らしくて、何というか『誰も貴女には勝てません!』とひれ伏せざるを得ない神々しさでしてね。
私的に生涯最高の美女は【小林麻美】さんなのですが、この時の夏目さんの美しさは別格だと思うんです。
……しかし、それも後の運命を考えると燃え尽きる寸前の最期の燦めきだったのかもしれません。
第2位 吉永小百合
“サユリスト”と呼ばれる熱狂的ファンがいらっしゃる事でも有名ですが。
個人的には“世代じゃない”感が強ぉございまして、お綺麗である事は間違いないんでありますが、思い入れというのが特にございませんで。
ただ、一つ印象に残っておりますのはおそらく日本アカデミー賞の授賞式で当時50歳か60歳になられた和服姿の吉永さんのアップを見たときに、彼女の目尻にシワを発見したんです。
まぁ、年齢を重ねていけば目尻にシワだってよるのは当たり前なんですが、まるで名画と称される絵画がナイフを突き立てられて引き抜いた跡のような『傷』に思えたんであります。
それが結構衝撃でしたな。
第3位 大原麗子
かつて映画の世界では何本もの作品で主役を張る俳優を『スターさん』と称しておりました。
ま、それも昭和40年代半ばまでの事で、テレビの普及に伴って映画産業が急速に斜陽化していって影を潜めた訳ですけれど。
彼女こそその『スターさん』最後の女優さんだった気がします。
映画全盛期は娯楽の王様であって、年間数百本の作品が生み出されており、『スターさん』は誰もが休み無く複数の作品を掛け持ちしていたそうですから当然世間から隔絶された生活になり、しかも周囲からは神様の如く崇め奉られていたせいで遊び方や暮らしぶりが浮世離れしてしまっていた。
後年、明石家さんまさんから“憧れの女優さん”としてバラエティ番組で幾度も共演してイジられたりもしましたが、その受け答えがキチンと受け止めたかと思えば謎めいた微笑を浮かべてはぐらかす、何ともつかみ所が無く浮世離れしていた記憶があります。
まぁ、大原さんを語る上で欠かせないのは実は映画でもドラマでもなく、サントリーウィスキーのCM『少し愛して、なが~く愛して』のシリーズではないかと思いますけれど。
恋人なのか御亭主なのか、帰って来るのを心待ちにしている大原さんの元に「ごめん、今日は帰れない」とお知らせが届きヒステリーを起こす。でも次の瞬間には照れ隠しとも素直になり切れない喜びともつかぬ可愛らしい微笑みを浮かべる。というストーリー。
その頃の大原麗子さんは“大人の可愛いらしさ”を象徴する女優さんという位置付けだったように思います。
既に夏目雅子さんと大原麗子さんは鬼籍に入られており、吉永小百合さんとて年齢的には老境の域に達しておられる。
ただ、彼女達の次の世代に俳優さんにしろ女優さんにしろ、役者さんを金看板として映画もしくはテレビドラマが作られなくなっているのは淋しい限りであります。
ま、原作……すなわち“元ネタ”ありきの作品ばかりが横行する時代には予め設定済みの役柄に役者を嵌め込むキャスティングが行われますので役者さんの人気はアテにされていない、という現実もありますけれど。