あれ?いつの間にか動かない…?Webの気づきにくいトラブルと対応方法あれこれ

Webサイトを運営していると、大小さまざまなトラブルに見舞われることがありますよね。
サイトの制作ファイルにミスがあって誤った情報が公開されたり、サーバーのエラーで閲覧できなくなったり、といった気づきやすいトラブルがある一方、「ここ最近触っていないのになぜ?」「通常は問題ないのにこのケースではうまく設定できない」、あるいは気づいたのが実装してからだいぶたってからになってしまう、といった気づきにくいものまでいろいろあります。

今回は後者の「気づきにくい」トラブル、とくにWebの外部サービスやツールに関連してサイボウズで発生したトラブルをご紹介したいと思います。
該当するトラブル真っ最中の方に検索から届いてたらこれ以上の喜びはありません。

ある日急にサイト内検索が出来なくなった―CustomSearchAPIの検索数上限エラー

サイボウズのサイト内検索では、GoogleのCustomSearchAPIを利用しているサイトが複数あります。
それまでは何の問題もなく検索出来ていたのに、ある日急に英文のアラートメールが来て、サイト内検索が出来ない事態に。

▼アラートメール
件名:[ALERT] Quota usage reached defined threshold for XXXXX labels with metric labels YYYYY
(訳)メトリックラベルYYYYYを持つXXXXXについて、クォータ使用量が定義されたしきい値に達した。

エラー文面”Quota usage reached defined threshold”から1日当たりのAPI利用上限数に達したと推測。上限値を増やすことで解消しました。

そしてその後、よくよくアクセスを見ると、ある日だけ急にAPIをたたく回数が増えていたことが判明。
・APIを複数サイトで共有していて、アクセスの多いサイトに検索を実装した
・無料トライアルの検索数上限を超えていた
など、気づきにくいケースも多いこのパターン。上限数が近づくとアラートメールを送付する機能もあるので、「そういえば・・」と思った方はぜひ確認してみてください。

ページの削除をしたいのに、削除されない
―Movable Typeの「サーバー配信機能」のチェックボックス

サイボウズでCMSツールとして使っているMovableType(MT)には、CMS内で編集したページを、AWSなどMTが稼働しているところとは異なるサーバーへ静的ファイルとして配信してくれる「サーバー配信機能」という便利な機能があります。
ところがある日、既存ページの更新をしたり、新しいページを作った時は問題なく配信先のサーバーへ反映されるのに、なぜかページの削除だけが反映されないということがありました。
「すべてのファイルを配信する」という箇所にもチェックを入れているのになぜ・・?

サーバー配信の設定

困り果て、サポートをご依頼している会社の方に確認すると、実は「チェックを入れたから削除されなかった」ことが判明。
「すべてのファイルを配信する」オプションにチェックを入れた場合、初回配信と同じ挙動となり、「全部のファイルを(空っぽであるはずの)配信先サーバーに置きに行く」という挙動になる。そのため、「配信先と配信元のファイルの差分」は見てくれないとのこと。
差分を見ずに全てのファイルを一方通行で配信する」というのが正しい解釈でした。

また、削除したページを配信時に一度チェックを入れて配信すると、その時点で差分情報はリセットされるのか、その後チェックを外してサーバー配信しても削除されない…ということもあるようです(事象からの推測なので誤っているかもしれません)。その場合は、一度削除したいページを復活させてから再度非公開にする必要がありそうです。

今回はトラブルだけ書きましたが、MovableTypeは静的にファイルを管理できるCMSのため、日々多くのサイトでお世話になっています!

Googleアナリティクスでの計測エラー

Webサイトの効果検証や広告等のタグ配信のため、Googleアナリティクス(GA)・Googleタグマネージャー(GTM)は多くのサイトで利用されています。
サイボウズでも利用していて、分析したいことや配信タグが増えるごとにタグも増え、GTMの利用上限98%・・なんていう時期もありました。
そうなると、どうしても起きてしまうのが、タグやトリガーの設定が矛盾して、取れていた数値が取れなくなってしまった!というトラブル。

実際に発生したものとしては、こんなものがありました。

  • 後から追加した広告タグのトリガーの範囲が、元から設定したトリガーの範囲と重なっていたため、数値が重複計上されてしまった

  • フォームの入力画面・確認画面・完了画面のURLは見た目上別のURLになっていたが、計測されなかった。
    実はURLは見た目として変わっていたけれど読み込みが発生していておらず(シングルページアプリケーション)、GAにデータが飛んでいなかった。

いずれも、Googleタグマネージャーの設定を変更後は正しく計測になりましたが、誤った内容の設定時点から修正する地点までのデータは正しく計測できないまま。
多くのタグを管理しているとどうしても発生しがちで、かつ期間がたってから「あれ…?」となるのは心臓に悪いですね。

CMSの記事に埋め込んだwisitiaの動画が再生されない

外部の環境に動画を配置して、Webサイトにはコードを埋め込む。よくある手法ですね。
サイボウズの一部のサイトでは、wistiaというサービスを利用しているのですが、正しいコードを埋め込んでいるのにどうにもこうにも再生できない事態が発生。
正確には、「初回アクセス時に再生ボタンを押しても再生できない」「1回リフレッシュすれば再生できる」という現象で、ブラウザのコンソールエラーを見ても「???」という状態。

かなり悩んでお手上げになった時にふと、制作会社さんが「セキュリティ対策のため、一部のフィールドではJavaScriptはエスケープ処理をかけてます」と言っていたことを思い出しました。
「…それだ!」iframe形式のコードを埋め込むことで無事再生されるようになりました。
公開してだいぶ経過したサイトだと、当初の仕様をすっかり忘れがちという事例でした。

ドメイントップページがないサイトでGTM経由のSearchConsoleの所有者確認ができない

SearchConsole、便利ですよね。URLプレフィックスを使って所有権確認はサイトに何もする必要がないGTM経由で実施することが多いのですが、GTM経由ではうまく確認できないケースもあります。
それは、外部の簡易CMSサービスで独自ドメインを利用しているなど、ドメイントップに物理的なページが存在しないケース。

特にGoogleのヘルプにも注記がないので、いつも通りGTM経由で確認しようと思っても「サイトのホームページで Google タグ マネージャー コンテナ ID が見つかりませんでした。」という悲しいメッセージ。
色々試した結果、この例の場合はメタタグへのハードコーディングでしか所有権確認が出来ませんでした。
ケースにより異なるとは思いますが、自分たちの場合以下のような切り分けをしています。

SearchConcoleの所有者確認実施可否(HTMLプレフィックスの場合)

以上、自分が体験した「気づきにくい」トラブルをご紹介しました。
いつもはできているのに、設定したときは正しく動いていたのに急に動かなくなると焦りますよね。
Webディレクターの時間を溶かすこういったトラブルの際、情報の切り分けの一助にできたらうれしいです。


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