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宿題がない学校で「宿題やりたい」が溢れるのはなぜか。
とっても不思議なことが起こっている。
ここのねには、宿題がない。それは、「家では家でしかできない学びがある」と考えているからでもあり、「宿題を強制すると勉強嫌いなってしまう可能性がある」と考えているからだ。
それなのに、今日子どもたちが「宿題をしたい」と言い出した。ここのねの基礎学習の時間に取り組んでいる漢字ドリルをどうしても家でもやりたいと言うのだ。
ここのねには、3月まで基礎学習の時間は無かった。4月から新しく基礎学習の時間ができたとき、ほとんどの子の顔が曇った。
新一年生で入ってきた子は、勉強に対してわくわく楽しみにしていたけれど、他の子は「勉強かぁーーーー」と明らかに嫌がっていた。
できないこと
わからないこと
やる意味がわからないこと
単にめんどくさいこと
そんなことを理由にあげていたと思う。
私もそんな子どもたちに基礎学習をさせるのは、どうだろうと思うこともあった。そして、そんな子たちが本当にこれから基礎学習の時間を楽しめるように導けるのだろうか…と自信がなかった。
でも、やるしかない。言葉や数を学ぶことは、きっとこの子たちの豊かな人生の土台作りになる。そう、自分に言い聞かせた。
まずは、一人一人の現状を把握して、一人一人に合った方法を模索した。今の学年に拘らず、今の自分が少し背伸びしたら出来そうな学年の教材を自分で選んでもらった。
すると、ほとんどの子が今の学年より下の学年の教材を選んだ。誰と比べるわけでもない。今の自分にちょうどいいものを選べばいいよと伝えた。
6月。最初は、質問するのも躊躇していた子がどんどん質問をしてくるようになった。
漢字ドリルが合わず、集中が途切れがちだった子は、ダジャレ漢字ドリルに変えたら、やる気が格段にアップした。
数学が苦手な子が、午前の基礎学習の時間が終わっても、昼休みや午後の選択の時間に「数学を教えてほしい」と自ら来てくれるようになった。
そして、今日である。
「家で漢字ドリル終わらせてくる!」と、昨日ある子が言って、実際に最後まで数十ページも終わらせてきた姿を見た、他の子たち。
「私も家でやりたい」
「うちもやる!」
と言って次々とドリルを持って帰っていったのだ。しかも、新一年生の子は、新品の漢字ドリルを大事そうに抱きしめて持って帰っていた。
こんなことがあるのだろうか…。
家に帰ったら、きっと緊張の糸が切れて、思うようにできないかもしれない。
それでも「もっと学びたい」という気持ち、そして持って帰ってやろうとしたという行動こそが素敵だと思った。
はじめはどうなることかと思った基礎学習の時間。今では、子どもたちは少しずつ「わかるって楽しい!」「できるって楽しい!」「やってみたら意外とわかるじゃん!」を積み重ねていっていると思う。
基礎学習というと、「学力をつける」というイメージが強くなるが、私はその裏にある「心の成長」と「自分への自信」が何より大切だと思っている。
これからも子どもたちの「わかった!」「できたよ!」「楽しい!」が溢れるように、自分自身も楽しみながらサポートしていけたらと思う。
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