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ここのね活動報告レポート|2023年6月

アメリカからの留学生とここのねクリエイターの育ちゃんの長期滞在も終わり、日常が戻ってきた6月のここのね。少しずつ各々のプロジェクトも動き出し始める一方で、新たな課題も見つかる日々。

大人としてはむず痒くも、すこし立ち止まってじっくり味わい、より良い答えを導こうと対話を重ねる毎日でした。


タブレットの使用方法はいかに?

昨年度、ここのねにタブレットがやってきました。GIGAスクール構想の名の下、大分県ではすべての小中学校に1人1台端末が整備されが導入されています。

もともとここのねには1台のパソコンがありました。しかし、子どもたちが調べ物をするには少し窮屈な思いをしていたのです。そこで解決策として挙がったのが在籍校のダブレット端末を使用することでした。

それぞれの在籍校の先生と教育委員会の方に相談し、すべての学校で貸出の許可をいただくことができました。(学校の懐の深さに感激です…)

その結果、Canvaでイベントのチラシ、学習発表会の調べ物と原稿づくりなど…子どもたちの学びは加速し様々な形で一気に使われていきました。しかしその一方で、そもそもの目的とかけ離れた使い方も目立つようになっていったのです。

・タブレットで動画を見ながらお昼ご飯を食べる
・人の顔の写真を勝手に撮って加工する
・授業とは全く関係のないことを検索して授業時間を過ごす

この姿を見ながら、どうしたらいいのか?と、子どもたちと話し合う中で、タブレットの使用をスタッフの許可制にしたらいいのでは?(=使うときに、毎回にスタッフに使用の許可を得る。またはスタッフの見える範囲で使用する。)という意見が多数出ました。

しかし、スタッフはそこに大きな違和感を感じました。ルールに縛られている間は良くても、ルールさえ守ればいいという「だれかのこたえ」に依存してしまうことに繋がるのでは?と考えました。

ここのねでは、自分の中で判断することのできる「わたしのこたえ」をつくるためには違う形が必要だと考え、「デジタルツールがいつも身近にある世代の中で、外側のルールに縛られるのではなく、自分で判断して使いこなせるようになるにはどうしたらいいと思う?」と、問いを出しました。

当時のここのね には、「ゲーム、授業に関係のないことはしない」というルールが既にあります。そのルールが決まった後に入学した子もいるため、ルールの必要性を把握できていないのではと考えた結果、

一度、なにも制限のないタブレット自由化にしたら、みんなのタブレットの使用に対する現在地がわかるのでは?

そこから必要なルールや考え方の共有をしていく

という意見でまとまりました。

2週間、ここのねのタブレットの使用方法にルールがなくなりました。子どもたちはどんな風にここのねで過ごすのか。もしかしたら一日中、YouTubeを見て過ごす子も出てくるかもしれません。

でもそれも大事なのだと思っています。

ここのねで日々過ごす中で、子どもがちゃんと困る体験を大人が先回りして奪わないこと、そしてその後の対話の大事さをこれでもかと感じます。

このタブレット問題を考えるにあたって、とても共感した記事があります。

大人側の考えをまとめる上でも、スタッフも改めて、ここのねでなにを大切にするのか?その為にはどんな行動が必要なのか大きく考え直しました。

そして、タブレット実験期間が始まりました。

タブレット実験期間におけるルールは、2つ。

1つ目は、授業には参加すること
2つ目は、タブレットを使うことで授業に遅れていたり授業中に使用していたりとしても注意はしないこと(授業がはじまる前に揃っていなかったら一度声はかける)


週に一度、3つのファミリーグループのリーダーが集まるリーダー会議で、チームメンバーの様子や困りごとの共有を行いました。そこでは、「タブレットを見ていて授業に遅れている子がいた」「図書室で本を読んでいるときに横で大きな音で動画を見ている子がいたから集中することができなかった」「タブレットの管理方法が悪い」「すべきことをしなくなっていた」などの様子が挙げられました。

そして各リーダーさんは、

①大切に使っているか
②学習活動に活用しているか
③帰る前に充電ボックスに戻して帰っているか
④カメラで人を撮るときに許可を得ているか

という基準でチームメンバーさんに自分自身の使い方を振り返ってもらいました。

結果として、約半数の人が上記の基準に満たしていないことがわかりました。その結果をみたリーダーさんは、今後のタブレットの扱いをどうするかを考えました。

リーダー3人と対話する中で、これはそもそも使いこなす云々の話ではないんじゃないか?という仮説にいたりました。というのも実験期間中にスタッフが電磁波対策の第一人者でもある猿田友先生の電磁波講座を受講していたのでした。

その中で、子どもがスマホやタブレットといったデジタル機器で過度な刺激を受け続けると、刺激中毒(ストレスホルモン中毒)になりやすいという話を聞きました。過度な刺激を入れていないと落ち着かなくなってしまい、自分の意志でコントロールできないものだというのです。

「子どもの自主性に任せていいものと良くないものがあります。目の前に薬物があったら、子どもに渡さないようにしますよね?デジタル機器もそういった類のものだと理解した上で、大人側がどのように使わせるか判断していく必要があると思います。」

わたしたちスタッフは「がーん」ときました。そしてこのことは正直に話して、守るべきところはちゃんと守っていこうと心に決めたのでした。

そしてリーダーとの対話の時間。実験結果の振り返りとスタッフが学んできた内容がどのようにつながっているのか?を丁寧に説明しました。

リーダーの中にも、タブレットに依存的な状態になった子もいました。しかし真剣に話を聞き、これからのルールを一緒につくっていきました。議題が出てから6週間。対話〜実験〜対話を繰り返し、ここのねでのタブレット使用は以下のようなルールになりました。

①小1〜小4:タブレットの返却(必要な場合は共用のパソコンを使用)
②小5〜:誓約書への署名(本人・保護者)とスタッフ面談を経て使用

誓約書は、地元である豊後大野市教育委員会が出している「タブレットの使い方・ルール」を参考にして、ここのねの内実に沿うものを選んだり、足したりしていきました。

保護者さんにも、三者面談でこれまでの過程を説明し、タブレットの使用を希望する場合は誓約書の署名をお願いすることをお伝えしました。

生まれた時からスマホが当たり前にあるデジタルネイティブ世代の子どもたち。そこから断絶することはもはやできません。その中で子どもたちの今と未来をどう守っていくのか?どう育んでいくのか?今後も保護者の皆さんと共に学び、対話していくテーマとなりそうです。

2年生の子による遠足プロジェクト発足☆

「わたしたちも遠足に行きたい!!!」

息の荒い2人は、スタッフに迫るように伝えてきました。

というのも新年度が始まって早々に、高学年の3名が『旅プロジェクト』を立ち上げました。昨年度の3人で日帰りから、今年度は人数を増やして1泊2日に挑戦すると意気込んでいます。

もちろん2年生の2人にも「旅プロジェクトに参加する?」と声がかかり「たのしそー!!!いくー!!!」とウキウキしながら参加することを決めていたのでした。

しかし実際にプロジェクト動き出した頃、みんなの意見がバラバラで全く進まない日々が続きました。そしてスタッフからも「さすがに2〜3年生の子まで泊まりで旅行は難しいかも」と助言をしていたのです。

旅プロジェクトの運営チーム3名は、渋々ながら低学年の子たちに「ごめんなさい」をしたのでした。

「えー嫌だ!!!なんで!!!」と怒り心頭の低学年メンバー。その気持ちはとてもわかります。しかし行きたい気持ちと行く時のリスクを考えるとスタッフとしては丁寧に説明するしかありませんでした。

そして翌日、「私たちも遠足に行きたい!」と宣言し、2年生2人で『遠足プロジェクト』を立ち上げることになりました。

一番最初の話し合いからどんどんやりたいことがでてくる子どもたち。

「行く場所はね、ガンジー牧場!」
「えっとね、、自分のおこづかいももっていきたい!」
「動物にえさをあげたいなぁ〜」
「あそこの公園でお弁当を食べよう!」

子どもたちのやりたいことをもとに、日時や場所、持ち物なども確認しながらプロジェクトの申請書を書いていきます。

次にスタッフと面談を行いました。

スタッフからは「なんで行きたいの?」「遠足でどんなことがしたいの?」と質問を受けます。ひとつひとつ答えていくことで「自分の考えや思いを伝えることで、やりたいことができるようになる!」という学びにつながっていきます。

そして迎えた『遠足プロジェクト』当日

目的は主に3つ。
①動物にえさをあげること。
②おみやげを買うこと。
③公園で遊ぶこと。

10時に出発する予定でしたが、気持ちは最高潮!時間を早めて出発です!!!

まず①の目的にまっしぐら〜で動物にえさをあげました。
「あの子がもらえてないからあの子に食べさせたい。」
と言いながら一生懸命えさをあげました。
2人の優しい姿に癒されました。

②の買い物は値段を見て自分の持っているお金で足りるかを考えたりしました。レジでお金を払う時は、とてもドキドキしていた2人でしたが自分で払うことができました。


そして最後に③の目的で公園へ!
貸切状態の公園を贅沢に使い、カラダを動かしました。

そんな長時間「ガンジー牧場」だけで過ごすことができるかなぁという不安は心配無用でした。思いっきり遊ぶ!回る!動く!

気づけばもう帰る時間。あと少し〜!と名残惜しそうに、ここのねへと帰るのでした。

数日後、『遠足プロジェクト』のまとめ方をどうするかを話し合い、アルバムでまとめることにしました。

写真を貼ったり、シールで飾ったり、リボンをつけたり、自分たちだけのアルバムを作ることができました〜!!!

最初から最後まで自分たちで決めてやり抜いた『遠足プロジェクト』

自分の『やりたい!!』を大切に行動している姿が見れてとても良かったです。この気持ちをずっと持ち続けてほしいなぁ。
次はなにを企画するのだろう。次のプロジェクトも楽しみです。

(2023年6月 ご支援いただいた皆様)

  • ご寄付
    継続寄付  7件 
    単発寄付  2件

  • 物資・体験寄付
    山片としひろ(山片茶園)様 お菓子
    斎藤ちえこ様 紙粘土
    しげまさ子ども食堂様 野菜
    原尻和美様 ガムテープ10個、ビーズセット

  • ボランティア
    豊後大野 神田 様 お昼ご飯作り 毎日
    豊後大野 首藤 様 お昼ご飯作り 毎月曜日
    豊後大野 まなべ 様  読み語り 毎月第四木曜日

いつもありがとうございます!

☆ご寄付での活動支援のお願い

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