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自分でスタートを作る
4ヶ月前、テレビ局から取材依頼が来たとき、誰か一人子どもにインタビューをさせてほしいと頼まれた。
その時真っ先に浮かんだのはその時小学6年生だったSだった。Sは、自分の意見をしっかり持っている子だ。でも、まだここのねに来て3か月くらいしか経っておらず、インタビューは難しいかな?と思った。ダメ元でSにインタビューを受けられるかどうか聞いてみた。すると、即答で「絶対無理」だった。
私もそのとき、「うんうん、そうだよね。嫌よね。オッケー!」
と足早にその話を終わらせたのを思い出す。
そして迎えたのは、今回のテレビ局の取材依頼だった。あのときと同じく、できれば子どもたちにインタビューをさせて欲しいとのことだった。
4ヶ月前とは明らかに雰囲気も明るくなり、言葉に力も増してきたS。
インタビューの話をすると「顔出し無しなら大丈夫」との返事だった。その返事を聞いて、ここ数ヶ月でやはり彼が強くなったことを感じた。
Sだけでもインタビューに出てくれたらとスタッフはとても心強かった。しかし実際は、5人もの子どもたちがインタビューに答えてくれた。中には、小学一年生の子もいた。
みんなの学校への愛が伝わって来て涙が出た。とってもとってもうれしかった。
インタビューを受けたばかりのSに、こうちゃんが話しかけた。
「インタビューに出てくれてありがとう。どうやった?」
するとSは
「言いたいことが全部言えてスッキリした!」と清々しい表情だったそう。
その日の午後のカフェプロジェクトの下見でも、私がインタビューの様子を聞くと
「結構良いこと言ったよ。自分で考えること、やりたいことが増えたって言う話をしたんだ。料理とか、いろいろ。」
と嬉しそうに話してくれた。
さらに、最近Sは、ももちゃんに
「ここのねには、なんでもある。何かやろうと思ったらなんでもできる場所」
と話していたとのことだった。
Sが話す一つひとつの言葉には、自信が漲っている。そして、そんな風にここのねを受け取ってくれることが何より嬉しい。
「自分でスタートをつくる」
テレビの中から聞こえてきたSの言葉に胸が震えた。
スタートは、いつでも自分でつくることができる。
Sの言葉に私自身も勇気をもらっている。
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