ここのね活動報告レポート2022年9月
みなさん、こんにちは。ここのね自由な学校のスタッフこうちゃんです。
夏休みも明けて、少しずつエンジンを入れていこう…とはいかず、毎度のことながら全速力で駆け抜けた9月。
大型で勢力の強い台風が2つも直撃し、あれだけ暑かった夏は何処へやら。朝晩は毛布と羽毛布団が必要なぐらい冷え込むようになってきました。
季節の変わり目で体調を崩しやすくなってきます。しかし、そんなことは気にせず毎日を全力で生きているここのねっ子。1ヶ月前が随分と昔に感じるほど濃ゆかった9月を振り返っていきたいと思います。
ここのね校舎改修プロジェクトのいま
昨年のクラウドファンディング。明治創業の元酒蔵を学校にリノベーションしよう!とたくさんのご支援をいただきました。ありがとうございました…!!!
水が噴き出した校庭は、1度目の土入れが完了し、子どもたちが走り回れるようになっています。
そしてもうひとつの改修がここのねトイレ新設。その工事を行ってくれているのは、佐伯市のイースマイルさんです。
もうそれはそれはたくさんのお仕事で本当にお忙しい中、完全ボランティアでトイレ作りをしていただいております。
にもかかわらず、子ども達に一日も早くトイレを届けてあげたいと「いつも行けなくて遅くなってごめんなさい」とメッセージをいただきます。
ここのねだけの力ではここまでの状況になっていませんでした。本当に頭が上がりません。心からの感謝を込めて、いつもありがとうございます。
トイレ工事が大詰めに!
そして迎えた9月、いよいよトイレ工事が大きく動き出します!
ここのねがある地域では、他では珍しく公共下水が通っています。それに伴い、トイレを新設時に公共下水への排水工事が必要となりました。
今回は、豊後大野市内の業者さんでしか対応できないため、隣町にある「衛藤水道設備」さんにお願いをしました。
工期は4日間。30度を超える暑い日もある中、ここのねのために丁寧な仕事をしていただきました。
さらに「どうせ配管を掘るなら、完全に出来上がっていなかった校庭の土入れも!」と同タイミングで校庭の整備も実施しました。真砂土(まさど)が減っていた(風や雨で流された)ので、前回の3分の2程度の土を入れることにしました。
土を入れるには校庭に生えてきている草を取らなければいけません。暑い中、ここのねの子ども達も草取りを頑張ってくれました。ありがとう!
土を入れた後に、ローラーで踏み固めていきます。これでしっかりとした校庭になること間違いなし!ありがたや〜。
そして…いよいよ…
完成ですッ!!!綺麗になりましたぁー!!!
校庭の下に配管が通り、その上に真砂土をいれて固めました。
いままで凸凹があり、雨水が溜まりやすかった工程がまっすぐになりました。これでさらに子ども達は走り回れることでしょう。
昨年の校庭の様子と見比べてもかなり綺麗になったことがわかります。どんどん出来上がっていくここのね自由な学校。
10月は、いよいよトイレの棟上です!!!完成まであと少し!!!
高学年クラス初の学力テストを実施!
ここのねで「テスト」が実施されました!そう聞くと「えっ?」と驚く人も多いのではないでしょうか?なぜなら、
「1日中、自由にしているだけなんでしょ?」
「好きなことだけやっているんでしょ?」
「勉強はしてないんだよね?」
ここのねをやっていると、こんな形で言われたり・思われることも多いです。もちろん大前提として、子ども達の自由裁量を増やして心から安心できる居場所を目指していますが、同時に、学ぶ・学習することにも強くこだわっています。
これは「ここのねパンフレット」の1行目に書かれている言葉です。ここのねは、子ども達が「幸せを追求するために学ぶ」場なのです。
では「どうやって学ぶのか?」
主に高学年は「自由進度学習」や「学び合い」をキーワードに基礎学習を行なっています。学年、教科、進める速さなどを自分で選び、個別化しながら学習を進めていきます。しかし同時に、子ども達が孤立しないように、お互いに教え合える雰囲気を大事にして授業を行なっています。
その中でもこれまでのここのねに足りていなかったことがあります。それは学習の習熟です。進めることはできても、どれぐらい理解しているかは別の観点が必要なのでした。
こういった話を子ども達にしたところ「じゃあテストをしてみよう!」と僕自身もびっくりするほどすんなり決まり(本当にテストをするとは思っていなかったスタッフこうちゃん)ました。
そして、迎えたテスト日。
子ども達にとっても久しぶりの感覚だったのでしょう、緊張していることがよく伝わってきます。
「カリカリカリ…」
ペンの音だけが教室に響きます。「う〜ん…」と悩んでいたり「あっ!」と何かに気づいた子など、思い思いにテストを進めていきました。
「ピピピピピピ」
テスト終了の合図。やり切った表情の子ども達は、いつもとは違う感覚を感じているように見えました。
丸つけをすると、学習の習熟度が目に見えてわかりました。すごくできていた!というわけではなかったので、進めると同時にどう習熟を図るかが次なるスタッフの課題となりました。
子どもたちの中で、どこかやらされている雰囲気もあった基礎学習。しかし、テストの実施によって着実に自分ごとになった気がします。
「テストをやってよかった!」
学校づくりを始めた当初の自分に言ったらびっくりするだろうな。でも確実にここのねは良くなってきている、そう確信できた出来事でした。
【前期PJ集大成!】1泊2日のキャンプ!
今年度、4月から自然体験プロジェクトを行なっています。ここのねクリエーターのケイコさんによって、山や川、田んぼに滝巡り・そしてもののけ姫の鑑賞など、自然を体験しながら、その中にある「なんで?」を探す授業を行なっています。
その集大成として、9月12〜13日の1泊2日でキャンプへ行くことになりました…!!!
昨年も1泊2日のキャンプに挑戦したここのねの子ども達。場所は大分県佐伯市にあるキャンプ場で、テントを張ったのはふかふかの芝の上、調理道具も炊飯場も全て整った快適なキャンプでした。
しかし今年は、河原の石の上でテントを張ることに…昨年を知る保護者の方からは「ものすごいレベルアップだね…」とびっくりされました(笑)
天気予報では雨が濃厚だったため、前日までスタッフ間で雨天時のアクティビティを思案していました。しかし、キャンプに来てみれば真っ青な快晴。子どもたちの晴れパワーに驚かされます。
川の横断もスイスイいきます。5月初めに「川嫌だ〜」「浮くの怖い」と怖がっていた子どもたちとは全く別人のよう。
流れが急な場所だって、仲間と声を掛け合いながら自分の力を信じて渡り切ります。
いくつもの難所をクリアして辿り着いた場所は、アウトドア講師のケイコさんおすすめ飛び込みスポットでした。
ケイコさんが案内してくれた場所は、流れが緩やかになっており、浅瀬もあれば飛び込みができるほどの深さのある場所もあるという、遊ぶにはもってこいの場所でした。
飛び込みの高さも、低いところから高いところまで自分の挑戦したいレベルを選ぶ事ができ、ひとつひとつ自分の限界を子どもたちはその場で超えていきます。
そして今回、一番の難関は5~6mの高さから飛び込みをする事でした。スッと行ける子もいましたが、やはりその場に立つと足がすくみ動けなくなってしまう子がほとんどです。
「頑張れ!」「〇〇ならできるよ!」「諦めるな〜」
励ましの言葉が周りから届きます。
行こうと思うけどやっぱり行けない…怖いし、もうやめようかな…でも行ってみたい…!
………ジャンプ!!!
数分間の葛藤を経て、ひとつ強くなった事が目の前で証明された瞬間でした。
次なるミッションは夕食づくり!
たっぷりと遊びきった子どもたちの次なるミッションは夕飯づくり。自分たちで火を焚いて、お米を炊いていきます。
しかし早々に雨が降ってきてしまい、お米炊きは中断となってしまいます。クソぉ〜もうちょっとだったのに…!と思っていたら…川岸から声が聞こえます。
「虹だぁ〜!!!」
そこには二重の虹が輝いていました。遠回りしたっていいことあるよね、そんなことを気付かされた瞬間でした。
虹に感動した子どもたちは、再びお米炊きにチャレンジ!
普段だったら、ボタンをポチっ!で炊けるお米も、もう吹き出してきたかな?まだ沸騰していないんじゃない?と、この日は自分の感覚を研ぎ澄ませて取り組んでいます。
火が強すぎても焦げてしまうし、弱かったら炊く事ができません。そのちょうどいいバランスを探しながら、子どもたちは火を調整していきます。
なんかいい匂いしてきた!もういいかも!!!
炊き上がったお米は、艶々としてふっくらしていました。おこげもちょうどいいバランスで、おこげ好きのスタッフこうちゃん的には最高な出来具合だったのでした。
キャンプの前日、保護者の人が作ってくれた絶品カレーをご飯にかけて…
これは見るだけでおいしいのが伝わったはず。
そうなんです…そうなんです…
めちゃくちゃ美味しかった!!!
お腹がはち切れそうになるほど何杯もおかわりしてしまう子が続出。
【保護者さんの愛情×頑張って炊いたご飯の相性】は抜群だったのでしょうね。
キャンプの夜、といえばキャンプファイヤーですよね。マシュマロを焼いて食べたり、チーズを串に刺したのに溶けてしまって「落としたぁ〜泣」と嘆いている子も😂
キャンプに1週間前に計画した「キャンプだホイ」「幸せなら手をたたこう」「ウィーアー(ワンピース)」の大合唱をしたのち、暗闇の鬼ごっこ、そして満月の光のもとで人狼を楽しみました。
そして最後は、ケイコさんによる感謝のワークで1日を終わります。
「今日1日、自然の中で過ごしてみて、感謝できることをひとつ探してみてみましょう」
天気が晴れてくれたこと、キャンプを用意してくれたケイコさん、普段はなかなかいえない両親への感謝などなど、火の回りを囲んで自分の心の根っこと向き合います。
なかなか気持ちを表に出せなかった子も「〇〇に感謝します。ありがとう。」と火を囲むと自然と言葉にできてしまうのです。とても素敵な時間でした。
2日目の朝食はオープンサンド。自分の好きなものを挟んでバクバク食べていたのでした。昨日のカレーはどこにいったのでしょうね😂
朝食を終え、2日目のリバートレッキングへ。昨日の疲れも吹っ飛ばし、おそらく今年最後となる川へ、いざ出発!
この日は滝に行くアクティビティ。バシャバシャと声が聞こえなくなるほどの水量に圧倒されながらも、みんなで記念撮影をしました。
ここに行くまでの道中でも難所がいくつかありましたが、それらをスイっと乗り越えてしまうあたり、1日目よりも明らかに逞しくなっています。
途中で雨が降ってきてしまい、大急ぎでテントの撤収をしていきます。川で遊び疲れているはずだけど、最後まで協力して片付ける事ができました。
最後の最後までちょっと時間があれば水切りをする子どもたち。小学生でハマりにハマったスタッフこうちゃんの20回を超えるべく、ひたすら投げています。来年あたりにはいい勝負ができるようになるかもしれませんね〜。
キャンプを終えて、ここのねに帰ってきました。校舎の入ると、とってもいい香りがします。
いつもここのねのお昼ご飯を作ってくれているスーパーボランティアの神ちゃんと保護者さんが朝から作ってくれたおにぎりと豚汁。
川と雨で冷え切っていたカラダを芯から温めてくれます。しかし、温まるぅ〜最高やぁ〜と声を上げていたのは、いずれもスタッフなのでした。やはり歳には勝てないのかもしれませんね😂
5月からひとつの目標としてやってきた川キャンプ。水を怖がらなくなることから始め、集団で動けるようになる事、みんなで楽しむことなど、小さなステップをひとつひとつ進みながら準備してきました。
キャンプ当日は、4カ月の間に積み上げてきたものが実を結んでいくのを感じます。特に6mくらいの高さの岩から飛び込み。スタッフこうちゃんと競って6回も飛び込んでいたのは、5月には「泳ぐのが怖い」「顔をつけるのが嫌」と言っていた子なのでした。
ケイコさんは、今回のキャンプを通して子どもたちにこんなことを伝えたいと話していました。
そして、キャンプの振り返りでこう聞きました。
キャンプ前の自分を好きな気持ちを100%として今の自分を好きな気持ちは何%?
130%! 150%! 200%! 300%!
子どもたちは口々にキャンプ前の自分よりも好きになれたと話します。とっても素敵な事です。時に怖かったり苦しかったりすることもあるけど、それを乗り越えてこそ楽しさという自由が待っているのかもしれません。
大人の言葉よりも、教科書の知識よりも、1回の経験。
スタッフとしても、経験が人を成長させ、そしてその成長と学びが人生を豊かにするんだ、と改めて実感させてもらいました。
あぁ、濃ゆい…濃ゆかった9月。気づいたら6000字を超えてしまいました。しかし…こんなものではないのです。ここのねの日常には、もっともっとたくさんの笑顔や驚きが詰まっています。
ちょっとでもここのねの日常を感じてもらえたら嬉しいです。
本日も最後まで読んでくださりありがとうございました。またこちらでお会いしましょう!
それでは、また!
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¥ 100
ここのね自由な学校は日本の法律上、公的な支援が受けられません。それは回り回って子どもたちの経済負担に重くのしかかっています。ここのねを「誰でも通える学校」にするため、ご支援をよろしくお願いいたします!ご支援いただいたお金は、給付型奨学金や施設設備の充実等に利用させていただきます!