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「パパの学校に行く?ママの学校に行く?」

2年前の冬、もうすぐ小学校一年生になる息子に聞いた。

「パパの学校」=地元の公立の小学校で、小学校の教員であるパパは、息子が入学する学校に勤務している。(田舎あるある)
「ママの学校」=オルタナティブスクール「ここのね自由な学校」で、一年前に小学校の教員を退職し、立ち上げたばかりの民間の学校であった。

息子は少し考えた後、「パパの学校に行く!」と言った。理由を聞くと、「ここのねはまだプレ開校で週に2日しか開いてないし、小学校に行ってみたいから。」とのことだった。「オッケー!じゃあ親子で小学校生活楽しんでね!」と私。

学校でパパの働く背中を息子が見ることができるのも貴重な経験だよな〜とその環境に感謝した。

「今日の給食美味しかったね」と父子で毎晩話していたり、学校での息子の様子をパパが嬉しそうに話してくれたり、たまたま息子のクラスに授業に入った時の面白エピソードを聞いたりと、最初の1年間はいいこと尽くしだった。

中でも体育専科として働いているパパが運動会でリーダーとなって活躍している姿は、きっといつまでも息子の心にキラキラと残っているだろう。

でも、そんな中で少し気になることがあった。

それは、息子がどんどん「勉強がめんどくさい」と言い始めたことだった。小学校に入る前は、あんなにも「早く勉強したい!」「なんでも知りたい!」と言う知的好奇心旺盛な息子だったのに、その意欲は少しずつ減ってきているように感じていた。そして、「クラスで仲のいい友達の名前を教えて?」と言っても「ううーーん…」と悩んで、やっと一人出てくるくらいだった。

そんな様子に気づき始めたころ、息子が「ここのねに行ってみたい」と言うようになった。その頃にはもう週に4回の開校になっていたここのね。ちょうど一日体験や一週間体験も募集していたので、息子も体験することになった。体験した後は、「めっちゃくちゃ楽しかった!!!絶対にここのねに通いたい!!!」と大興奮の息子。

活動的な息子は、ここのねに合ってるだろうなと母親としても、スタッフの一人としても思っていた。また、通いたい理由に「ここのねは自分で自分のことを決める事ができるから」と、ここのねの良い面もしっかり理解していたのだ。

しかし、その息子の意見にすぐに納得いかなかったのは、パパである。全国に増えつつあるとはいえ、まだまだオルタナティブスクールの認知度は低く、公的な学校として認められているわけではないため、ここのねに通うとなると「公立の学校に席を置いたまま【不登校】扱い」になってしまう。

自分の勤務している学校から息子がいなくなること、職場の先生たち(特に担任の先生)への申し訳なさ、「学校の先生」という職業への誇り…。

パパ自身には、色んな葛藤があった。昨年の秋頃に、何度も夫婦や親子で話し合い、「とにかく3月まで本人のその気持ちが続いたら、またその時に考えよう。」ということになった。




もうすぐ約束の時期になる。

息子の気持ちは、日が経つにつれ固まってきているようだ。パパは多くは語らないけれど、「息子が自分で決めたことを応援したい」と言ってくれた。

「ママのつくった学校に行く」

パパのいる学校から、ママのいる学校へ。自分で出したその選択が「良かった」のか、「そうでなかった」のか。それは、彼自身がこれからどう生きていくかで決まる。

自分でつくった学校とはいえ、まだまだ一年目の出来立てほやほやの学校。そしてまだ作り続けている途中の学校である。まだまだ自分の理想像には追いついていない。それでも、息子の中には「惹かれる何か」があるのだろう。そして、それは、ここを選んできてくれている13人の子どもたちも一緒だ。

「学校をつくろう」と思ったとき、正直自分の子どものことはあまり考えていなかった。「通ってくれたらいいな」とはうっすら思っていたけれど、それどころじゃなかったし、第一、公立の学校の良さも十分わかっている私は、「公立でもオルタナティブスクールでもなんでもいいから、息子が生き生き学べる場所を選んでほしい」と心の底から思っていた。

だけどやっぱり、「ママの学校に行きたい」と息子が言ってくれたとき、素直に嬉しかった。

息子の期待に添えるように、ママ、ぼちぼちがんばろうと思います。

これからのことを考えると、
ドキドキわくわくするね。


その後、1ヶ月半後の続編はこちらから☺️




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