中秋の名月と近所の海
「今日はすごく月が綺麗だよ。」
と、ある人に言われたため、散歩でもしようと思い家を出た。
中秋の名月らしく月は大きく輝いていた。
ぼくは遮るものが無い場所でみたくなり、海へと向かった。
海に到着すると何台か車が停まっていた。誰かいるなとは思いつつ歩いていると、楽しそうに花火をしている人たちを見つけ「今年は夏らしいことは何もしてないな。」と少し寂しくなった。
海は砂が付いて鬱陶しいというしょうもない理由で好きではなかったが、久しぶりに来てみると海の音や潮の香り、夜風などが相まって思っていた以上に落ち着く。月もよくみえて綺麗だ。
しばらく砂浜を歩いていると流木を見つけた。少し歩き疲れたこともあり腰掛けていると月が雲に隠れてしまい、辺りは真っ暗となった。夜ってこんなに暗かったんだな、と改めて実感させられた。少し怖かった。
中秋の名月の美しさ、海の心地良さ、夜の怖さなどを一通り感じ、色々と物思いに耽ったところで辺りが随分と冷え込んできたため、ぼくは海を後にした。
夜の海への散歩、良かった。また行こう。