人間は、………。
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20230107
先日、帰省のついでに大阪の美術館の展示を見に行きました。
最後にちゃんとチケットを買って見に行ってから1年経とうとしてたので。
実に久しぶりの美術鑑賞。
お目当ては、ミュシャによる煌びやかな作品たちでした。
細部まで緻密に描かれた華やかな作品たち。
寝不足の脳みそで回廊を3周はしてしまいました。
見てて飽きない。
それもそのはず。
ミュシャの絵は「理想化」のプロセスを経ている。
少年漫画などの2次元で、女の子が現実離れしてすごく艶やかに描かれるアレと一緒です。
じっくり見ても、遠目に見ても美しい。
なるべく実物に近いものをカメラで写し取ろうと必死でした。
彼の作品のポストカードを数枚、買って帰りました。
実は、この展示会にはもうひとり、
画家の作品が展示されていました。
ロートレックという画家で、
彼の作品は抽象度が高く、
見てて綺麗には見えない。
ミュシャと並べればありありと感じる。
私は、彼の作品は一枚も写真に撮りませんでした。
ミュシャの方が好みだと。
そう、思ってた。
3周目で初めて、音声ガイドを聴きながら鑑賞しました。
某イケメン俳優が音声を務めていたのもあるけれど…
彼がロートレックの作品の解説を始めてしばらくして、
「人間は、醜い。されど、人生は美しい。」
この台詞が耳に飛び込んできて、息を呑みました。
その瞬間から、ロートレックの作品の見え方が変わりました。
ガイドを聞かずして美術館を去っていたことを想像すると、身震いするくらい。
ロートレックは、ある意味写実的なのかもしれない。
人間の「醜さ」そのものと向き合っているのかもしれない。
だとしたら、
なんて、美しいんだろう。
彼の作品は、初見で確かに生々しさを感じました。
見るに耐えない、と言ったらとっても失礼だけれど、事実、1、2周目は素通りしたくらいです。
ミュシャばかり見ていました。
いま、とっても後悔しています。
なんで一枚も撮らなかったんだろう、と。
もう一度、彼の作品をこの目で見たい。
そんなふうに、人生で初めて思いました。
美術館に残るような作品を残した画家の目に映る人間が、
決して美しくなかったこと。
なんだかどこかで、ホッとしました。
世界には美しくないものがあっても、
それを美しく描き出す人たちがいるのだと思うと、
彼らの凄さがやっと分かった気がしました。
彼は体が弱く、幼くして両足の成長が止まったため、成人にして身長は152㎝。
ミュシャとほぼ同時期に注目を浴びたにもかかわらず、
ミュシャが全盛期に至る頃には
アルコールに侵されて亡くなっていました。
そんな彼にしか、
ここにある絵は描けなかったのだと思うと、
美術とはとても奥が深いのかもしれないと。
素人目にして思います。
彼が描いた、当時とても美しいと評判になった娼婦の絵。
この絵が、忘れられません。
とってもシンプルな絵でした。
人間の真の美しさを見据えるロートレックからすれば、彼女の美しさを描くなんて野暮でしかなかったのかもしれない。
描くだけ無駄だ、と。
描かなくたって、彼女は美しかったのかもしれない。
残念ながら、この絵はグッズ展にもなかったので手に入れられませんでしたが…。
美術館で言葉に触れる。
画家らの人間性に触れる。
歴史をこの手で撫でた気分。
新しく面白い体験でした。
これなので、美術館をバカにすることはできないなあと感じます。
(※筆者は美術知識0のど素人です。全部音声ガイドの受け売りです。)
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