鉄人に会いに行く
ブルックリンのワシントン・ストリートを、緩やかな坂道を下りながら、イーストリバーの方へ歩く。昔は倉庫街で、昼間も人影は少なく、カメラを持って歩くのにかなり気を使ったことを思い出しながら。ビルの谷間に色彩は乏しく、露出アンダーのモノクロ写真の様だった。
しかし1990年代前半になると、新しい時代がやって来た。
「バブル」という名のバスだった。
倉庫街は変わっていった。高級アパートが建ち、銀行ができ、スーパーマーケットもオープンした。ピリッと危険なあの感じは洗い流され、オシャレなDUMBO地区の誕生だった。これを再生と呼んでよいのか、ボクは迷っている・・・。
でも、ワシントン・ストリートの向こうにマンハッタン橋が立っているこの風景がある限り、ボクはこれからも、ここに足を運ぶことだろう。このビルの谷で飲むブラックコーヒーは、深い香りがして美味しい。それだけで十分だ。
さて、今日は、ぎりぎりまで橋脚に近づいて、土台部分を写してみる。 鉄人の脚部の構造は、こんなにも芸術的だったのか・・・。鉄人よ、新鮮な驚きを、ありがとう。
青き鉄人・親愛なる者よ、君はやっぱりハンサムだ。