見出し画像

當麻曼荼羅(國華1552号要旨)

藤元裕二

群馬県 眞光寺
絹本着色 一幅 縦261.8㎝ 横216.0㎝(含描表装)

 本図は、新たに群馬県渋川市の天台宗寺院・眞光寺で見出された「當麻曼荼羅」である。本図は絹本着色で、その法量は描表装を含めると、縦261.8×横216.0、見かけ上の本紙部分は縦194.8×横201.0センチを測る、いわゆる「四分一曼荼羅」である。昭和63年(1988)に美術商を経由して、同寺の所有となった。
 本図は、貞享3年(1686)に制作された當麻寺所蔵「當麻曼荼羅」(貞享本)を丹念に転写した作品である。構成や構図はもちろんのこと、細部の描法においても貞享本に忠実であり、殊に、貞享本の制作当初の表現(仏菩薩の肉身の金泥塗り)を、本図が留めていることも指摘したい。本図は制作年代や作者に関する情報を伴わないが、江戸時代・18世紀前半に、貞享本と同じく青木一門が描いた作品であると推察する。
 ところで本図は、筆者らが個人的に行っている悉皆調査において、偶然に発見された作品である。本図の来歴を鑑みると、なお浄土宗の由緒寺院には貞享本写しの多数の「當麻曼荼羅」が眠っているのであろう。


いいなと思ったら応援しよう!