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朱漆巴紋石畳沈金足付盆(國華1548号要旨)

宮里正子

沖縄県 浦添市美術館 木製 1基 表:朱漆塗沈金 高台内側
:黒漆塗 高9.5㎝ 径37.7㎝

 裾広がりの足を伴い、朱漆塗に沈金技法で飾られた盆。琉球王家の紋章である「左三巴紋」(ヒジャイグムン)の沈金文様で飾る。底裏に篆書体の天字と団扇形の印を朱漆で上下に配置する。
 見込みの中央に左三巴紋を置く。鍔の内側は、縁に二重界線を巡らしその間を縦横線文様で飾る。鍔の外側と足部は、各々左三巴紋を4カ所に配し、その間を斜石畳文様で埋め、縁は二重界線を伴う縦横線文様で飾る。長い尾を伴う左三巴紋は、細密な沈金の格子文様で構成される。沈金は、棒状刀による高度な技法で製作されている。
 ところで、「天字」や「団扇」「分銅」「鼓胴」の印を伴う金工品や漆芸品は、琉球王家に関わる可能性が高い15~17世紀の御道具類とされている。
 本作品は、「天字」や「団扇」を記し、さらに巴紋の形状や縦横線文様等から、琉球漆芸初期の優品である。


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