TureDure 7 : ナマケモノ論ー「なぜナマケモノは生き残ることができるのか」とインプロにおける「ステータス」概念
ナマケモノはかわいい。
僕はナマケモノの生態を知って、まっさきに思ったのは次の問いだ。
なぜ、ナマケモノは生き残っているのか?
あるいは
なぜ、ナマケモノはこのように進化?適応したのか?
ナマケモノの生息地では時々ナマケモノが道路を横断するわけだが、とにかくノロいので、通りかかった住民に運んでもらったりする。そして木まで届けてもらったらニッコリして木をまた登っていく。
そして、そんなにノロいもんだから、もちろん食われる時もある。そんな時、ナマケモノは抵抗するでも秘密兵器を隠し持っているわけでもない。食われそうになったら、潔く食われるのだそうだ。
そんなことしてたらすぐに絶滅しそうな種だ、と思ったのだが、次の動画を見た時に、私はハッとした。
結論から言えば、ナマケモノがノロいのはステータスによる立派な生存戦略だ。
このアナコンダにかかればこのナマケモノなどひとたまりもないはずだ。もちろんこの時にアナコンダの捕食のタイミングでなかったから運良く捕食を回避できたと考えられるのかもしれないが、私はこの動画を見て、ナマケモノの生存戦略について少し理解できたように思えた。
その際に分析枠組みとなるのは、キース・ジョンストンのインプロにおける「ステータス」という概念だ。「ステータス」とは、人間および社会的生物が餌を得る順番を決定させるふるまいのことである。詳しい説明はぜひ以下の記事を参照してほしい。
すわなち、ナマケモノは決して進化のエラー的にノロくなったわけではなく、むしろ、戦闘能力の強さを高めるのではなく、ステータスを高めることで、相手より格上感を演出することで生き残っているのではないかと思ったのである。
これは柳のような進化の仕方である。多くの木々は強風などに負けて折れないように枝や葉の強度を高めることで、つまり抵抗に対し真っ向から立ち向かい、相手より強くなり、勝とうとする。しかし、柳はむしろ枝を弱くすることで、強風に身を任せることでかえって折られないようにするという戦略をとった。
こうした、ただの力比べによる生存戦略ではなく、ナマケモノや柳のような生存戦略に、私は憧れを抱く。