自由落下

 落とされたのか自ら飛び込んだかは大した問題じゃない。落ちたのだ。高さ5メートル、その生物の全長のおよそ7倍。落ちた生き物は頭が大きかったから、頭を下にして地面と衝突した。下は硬い地面であったが、頭の骨が柔らかかったせいかボールの様に跳ねた。あたりの喧騒が最初の衝突から徐々に静寂に変わり、最後は悲鳴に変わった。生き物はその後すぐに担ぎ込まれて病院に連れ去られる。安い命、今日もどこかで死に行くひとり。だが、偶然の祝福は起こった。綺麗に切り抉られた頭は丁寧に縫い付けられて、まるで二度目の出生を迎えるように産声を上げる。そして、その生き物の最初に見た物は病院の電灯であった。錆びついた檻に入れられた何処か青い様な電灯。くすんだ白色の壁を照らしていて、不気味ではあるが、どこか暖かくて懐かしくも見える。

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