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素人でもつくれる高品質住宅ー1か月で建つ1000万円の家

この度、デジタル家づくりプラットフォーム『NESTING(ネスティング)』は、セルフビルドモデルの1棟目を香川県・直島に竣工させました。同時に、第1期募集として10組の先行ユーザーの募集を行い、正式にキット販売を開始します。

※このnoteは2023年5月27日に公開した『坪40万円で建つオフグリッドの注文住宅を開発しました』の続編です。


①NOTE公開後の反響ー4万4千人の読者と50組の応募者

良い家を安く建てるにはどうすればいいか。そんな問いから始まった「セルフビルド構想」をNOTEに公開し、1組目のお施主さんを募集してから半年が経ちました。これまで有難いことに4万4千人もの方に記事を読んで頂き、最終的に50組の方から応募がありました。

応募者との面談の結果、最終的にはこの応募のためだけに直島に土地を買ったという、東京都在住のSさんに1組目のお施主さんになってもらうことにしました。なんとしてもやりたいという情熱や、そのために土地を買ってしまう行動力に圧倒されただけでなく、何かあったらストレートにズバズバ意見してくれそうなキャラ(笑)に惹かれたのが理由です。

②実際に建ててみたー壮大なエンタメとしての建築

さてそんなSさんの家づくりの挑戦を、ここからは順を追って共有していきたいと思います。

木材加工】Sさんの家の間取りが決まった後、僕たちの工場でキットを構成する部品の製造に着手します。素人でも精度良く組み立てられるように、デジタル加工機ShopBotを用いて製材所から直接買い付けた木材を加工していきます。

僕たちが販売している3次元木工用切削機ShopBot

部品組立】その後加工された部材同士を組み合わせ、部品にしていきます。Sさんにも部品づくりの工程を体験してもらいました。

壁を構成する部品が陳列されている様子
Sさんと一緒に部品づくり

基礎】部品づくりが完了したら、次は基礎工事に着手します。既製品の単管パイプを手持ち式の工具で打ち込むことで施工する画期的な工法を採用し、試行錯誤しながら2日で工事が完了しました。通常のコンクリート基礎工事が約1ヶ月かかることを考えると圧倒的短工期で、施工方法さえ覚えれば素人でも施工できる可能性を秘めています。※今回は1棟目のためプロと共に施工しました。

単管パイプを打ち込む画期的な基礎工法

土台】基礎の打ち込みが終わった後、工場から届いた部品を組み立て土台を組んでいきます。

基礎の上に組まれた土台

躯体】土台までできたら、2日間の建て方WSの開催です。施主の友人達が全国から集まり、土日2日間かけて無事上棟しました。女性陣が楽しそうに組み上げており、現場のイメージが覆される、祝祭性あふれる楽しい時間でした。デジタル加工機が接合部を精巧につくってくれたため、素人でもプラモデルのように精度良く組むことができました。

Sさんとそのご友人たち
大人一人でも軽々もてる部品で構成
チームワークでどんどん組んでいきます
上棟後の記念撮影ー達成感と喜びに溢れる

外壁】骨組みができたのちに、あらかじめ断熱材が取り付けられた「外壁パネル」をはめ込んでいきます。高層ビルの建設でよく見るカーテンウォールという工法に着想を得たもので、1日で取り付けが完了。

工場でつくられた壁パネルの取り付け

屋根】躯体が完成したら、残るは仕上げ。次は屋根の板金工事に着手します。あらかじめ工場で加工された部材を、順序よく打ち付けていきます。屋根の上に登るため僕たちのメンバーが取り付けましたが、プロの板金職人でなくても精度良く施工することができました。

板金ユニットの取り付け風景

仕上】最後に室内の仕上げ工程です。床は施主自らタイルシートを貼り付け、天井も予めユニット化した部品を取り付けることで施工しました。残る壁や建具の塗装は第2回目WSとして、再び友人達が全国から参加。土日の2日間で全ての壁面を綺麗に塗り終えました。素人でも高い質感を出せる塗料をオリジナルで開発し、それをローラーで塗ることでムラを無くしています。

塗装WSの様子
ひたすら塗り塗り
塗るのに夢中

その他】電気設備工事や給排水工事に関しては、やはり専門職だったため、今回は分離発注という形で施主から直接業者さんに発注を行いました。

③遂に1棟目が完成ー短工期かつ高品質

さて実際にできたのがこの建物。

道路側からの外観

とても素人がセルフビルドで建てたとは思えないクオリティになっているのではないでしょうか。NOTE公開時のパースと異なるのが、直島の街並みに合わせて外観を焼杉にした事です。また太陽光パネルも屋根に搭載されています。

庭側からの外観
隣地側からの外観

内部もモダンな雰囲気を醸し出しており、セルフビルドという言葉から想起される粗野なイメージは覆されるのではないでしょうか。

ダイニングから寝室をみた様子
リビングから縁側を見た様子

工期に関しては、10月21日に着工し12月22日竣工したので2ヶ月と短く、正味の日数でいうと1か月以内で竣工することに成功しました。

④実際にかかったコストー良いものを安く

さて気になるお値段はというと、以下が実際にかかったコストです。

キット費用=900万
キット製作費用=180万
キット送料=100万
電気給排水工事費用=170万
設備費用=300万
屋根工事費用=240万
その他工事費用=75万
総工費:計1965万
※ソーラー関連費用は更に350万
※各種申請・建築支援のためのサービス料は1棟目価格として無料

1棟目にかかったコスト内訳

キットにかかる費用は予定通り1000万(坪40万×24坪)程度に収まったものの、躯体以外にかかる各種工事費用が思いの外かかったのは反省点です。

坪40万どころか倍の坪80万で着地したので、話が違うと言われてしまうでしょうが、開発しながらの行き当たりばったりな1棟目なのと、輸送費や出張費など離島価格が反映されているので、価格を下げる余白も確認出来ました。

ただ普段建築家住宅を設計している身からすると、この品質の平屋を工務店で建てると坪120万程度、総工費でいうと3000万はかかるのではないかと思います。

そう考えると、良いものが安くできたというのが率直な感想で、もし仮にハウスメーカー等の住宅を同等のコストで建てたとしても、1棟貸し4−5万の宿として貸し出せるクオリティにはならなかったと思います。

⑤建ててみた感想ーセルフビルドからコビルドへ

さて、実際に建ててみたSさんに感想を聞いてみましょう。まず金額については「坪40万だと思ってたけど、全然違う」というゴモットモな意見を頂戴し、金額の見せ方について誤解を与えてしまいました。

とはいえ、「自分で家をつくる」という一見クレイジーなことにチャレンジしたい気持ちが強かったことと、すでに直島で宿泊業を営んでいる経験上、約2,000万円の建築費でも収支のバランスが取れることが見えていたためそのまま先に進んでいただけました。

ただいざ進めるとなっても、始める前までは疑心暗鬼。でも実際に現場が動き、作りはじめたら楽しくなってきたようです。普段からDIYをしているわけではないので、最初はビスを留めるのにも手こずったものの、作業を続けるうちに劇的に上手くなっていくのも楽しかったようです。

セルフビルドと聞くと孤独な作業のように感じられていたようですが、友人達を集めた施工WSを体験後は「結婚式のようで楽しかった」と言ってもらえました。

参加したご友人からは、1回目が終わったあと「次いつやるの?」と聞かれたそうで、それ位友達が楽しんでくれたのがSさんとしては嬉しかったそうです。協働作業によって関係性が強まり、また建てることに関わったことで愛着が生まれ、友達がまた来てくれる。これこそが共に場をつくることの価値なのだなと。

そういう意味ではSelf-Build(独力で険しく建てる)ではなく、Co-Build(皆で愉しく建てる)という言葉の方が相応しいのではないか。安くするために自分で建てるのではなく、自分たちで楽しんで建てた結果として安くなるのが理想。そんな気づきを得ることができました

建て方WS後の記念撮影

⑥改めてNESTINGの価値ー人材不足と価格高騰に挑む

ところで、自分たちで家を建てることは、単に楽しいだけでなく、今日的な社会課題を解決できると僕たちは考えています。

現在、建設業界は深刻な人材不足と建設費高騰という課題に直面しています。大工の数はこの20年で半減し30万人を切り、2035年には更に半減し15万人を切ると言われています。この人材不足による人件費高騰と近年の資材高騰が相まって、建設費は高騰しつつあります。

このままだと富裕層しか家を建てられない、むしろお金を払っても建てられなくなる未来が来るかもしれません。そんな未来の社会課題を解決しうるのが、①キット化と②Co-Buildだと考えています。

⑦次の目標ー総工費1000万円と工期1ヶ月を目指す

さて次にわれわれが取り組む目標はというと、建設プロセス(UX)に磨きをかけるべく、着工から1ヶ月で祭りの勢いでに竣工させることです。目指したいのが週末に4回参加するだけで家が建つプロセス。具体的には、①2日で基礎土台、②2日で躯体屋根、③2日で外装仕上、④2日で内装仕上、と言った流れを想定しており、平日にプロの業者が素人にはできない箇所を工事するという想定です。もちろんこの間は僕たちNESTINGチームが全てのプロセスに並走し全力でサポートします。

一方で金額の目標はというと、やはり総工費1000万を切るような事例をつくりたい。ただ無理に安く宣言しても、「言ってること違うじゃん」となると思うので、12坪に縮小して建てようと思います。現状の金額感でも総工費1000万円以下は固いと踏んでいるので、下記のプランで建てる2棟目の検証を通して、価格低減に挑戦したいと思います。

12坪バージョンの図面

⑧第1期募集開始ー10組の先行ユーザーを募集します

このように1棟目が無事に竣工し、現在は3月末竣工を目指して2棟目に挑戦しています。この2棟目の実践によって、ようやく正式なサービスとしてローンチできる目処が立ってきたので、このnoteを通して10組の先行ユーザーを募集したいと考えています。是非この新しい家づくりムーブメントに加わりませんか?

【10組の先行ユーザーの条件】

  • 2024年4月から9月の間に建築可能な方

  • 予算感としてサービス料を含めて12坪で1000万、24坪で2000万程度の予算を見込める方(開発進捗と条件次第ではより安くできます)

  • 土地がすでに決まっていると望ましい

  • 現金で建てられると望ましい(ローンも通せる見込みはありますが実績は未だありません)

  • 友人と一緒に建てる、会社で建てる等も歓迎

  • カスタマイズ(大きさ・間取り・質感などの変更)をしたい方歓迎

先行ユーザーの応募に際して、実物を見てみたい!というお声もあるかと思い、直島に竣工した1棟目のNESTINGの現地見学会を1月末に開催します。興味を持っていただいた方は是非実物を見にきてください。

先行ユーザー、見学会のご応募はこちらからお願いします。応募締め切りは1月31日までです。

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