巫女服
大学の最初の冬休み、高校時代の友達から声がかかった。
神社でバイトしないかと。
当時の私は大学一年生。
大学一年生といえば、受験と大学生活という新しい環境とで、アニメや漫画を禁止されたいたオタクの、そのオタク魂がそろそろ飢えてたまらなくなり、最もアニメや漫画を謳歌してやろうという気持ちが高まっているような時。
巫女服着たい。
そういう気持ちで参加した神社のアルバイト。
慣れない夜間勤務。バイトのメンバーでおでんをつついて、談笑し仮眠。
深夜から、破魔矢やお守りの販売がはじまる。
年始。12月の深夜。
巫女服は制服。何も羽織ってはいけない。
ホッカイロを全身に貼る。
でも寒い。
「ようこそのお参りでした」
毎度ありがとうございます、など商売っ気のある文言を述べてはいけない。
私は巫女。神聖なる巫女なのだ…。
明け方まで粘って、「ようこそのお参りでした」が板についてきたかと思う頃、アルバイトは終わる。
2度とやりたくないと思ったが、その時を逃せば2度と出来なかったしやりたくなかったと思う。
オタクの気合が呼び寄せた、良い経験であった。
今回はここまで。
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