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有象無象
撫子さんが白蛇の神様に誑かされてメデューサになるその始まりに、
『おい有象無象!』という科白があったと記憶している。が、それが初めての有象無象ではない。もっとずっと前、ウゾーとムゾーの二人組に出会ったはずだ。ゲームだったか漫画だったか、そのあたりの記憶はまるでない。まるでないのだが、楽しげな絵がうごうごしていたような気がするので、小説ではなくゲームかアニメかNHKの教育番組の1コーナーか、そういうのだろう。
調べてみる。
ブレスオブファイアというRPGの中にウゾーとムゾーが登場するらしい。
全く記憶にない。
本当に君達がマイファースト有象無象なのかい?
有象無象とは
広辞苑によると
①宇宙にある有形・無形の一切の物。森羅万象。
②世にいくらでもある種々雑多なつまらない人々。
明鏡国語辞典によると
①宇宙にある有形無形のすべて。万物。森羅万象。
②この世のどこにでもいる平凡で種々雑多な人々。
★「象」は形のある存在。
新漢語林によると
①形のあるもの、ないものすべて。天地間のありとあらゆるもの。万物。
②つまらぬ者ども。
だいたいこんな感じで統一感がある。現在は②の意味で使われているシーンしか見かけない。『有象無象の言うことなんざぁ耳に入らねぇな!』『ま、有象無象の言ってることだ。君が悩む事じゃあないよ。』っていう使われ方をする。でも元々は①の意味で仏教からきた言葉のようです。森羅万象と同じ意味を持っているなんて、素敵。ウゾーとムゾーのふたりの未来も明るいかもしれない。君たちのことは全く思い出せないけれど。
画像付きで調べてみる。
ウゾーもムゾーも死神の鎌みたいなものを持った死神にしか見えない。
知ってる。
目からビームを出す巨人とかクラインの壺とか釣りのミニゲームとか商人の町マッカとかやけにデカいスライムとか合体して攻撃するシステムとか。
全部知ってる。
レイピアという言葉もこのゲームで覚えたんだった。
ふむ。君達が生まれて初めて出会った有象無象で合っていたみたい。お久しぶりね。でもおかしいな。記憶にあるウゾー君とムゾー君はペンキ屋さんの兄弟で、村の人たちの家々を修繕しつつ
〈おいムゾー〉
《なんだウゾー》
〈青いペンキを取ってくれー〉
《おいらは今赤いペンキで忙しい》
〈なんだとー。兄ちゃんに向かって〉
《おいウゾー》
〈なんだムゾー〉
《赤いペンキを取ってくれー》
〈おいらは今青いペンキで忙しい〉
《なんだとー。兄ちゃんだからって許さねー》
っていうケンカを一日中しているような牧歌的なみんなに愛される村の自慢のペンキ屋さん兄弟だったのに、なぜ君達は死神の鎌みたいなものを持った死神なのかね。
あ。
新和英大辞典にも有象無象のことが書いてある。こういうクロスオーバーができるところが電子辞書の善いところだ。
有象無象とは
the mob
ザ・モブ…。
大学の先生が『難解な日本語の文章は英語で読むとよくわかることがある』と言っていた。日本人なんだからそんなことあるわけがないだろ、と思っていたのだけれど、先生。やっと仰っていた意味がわかりました。