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えんやこらせ
えんやこーらーのどっこいせ。ハァえんやこーらーのどっこいせ。
と聞いたのは、クックロビン音頭であったと記憶している。が、調べてみたらクックロビン音頭にはそんな歌詞は出てこない。
であれば、次に記憶があるのは関ジャニさんの曲だが、こちらが出会いであるとは考えにくい。ヨイトマケの唄にもエンヤコラは登場するが、えんやこらせではないしどっこいせも出てこない。関ジャニさんも美輪さんも出会ったのはずいぶん大きくなった後だし。ドリフのあれはエンヤーコーラヤッと、なのでリズムが違うし、これもやはり出会ったのは大きくなってからだ。
そうなると河内音頭か。ということになるのだが、お祭りに出かけて音頭にキャッキャした記憶はないから、家か学校で菊水丸さんのエッセンスが跋扈していたのだろうか。そんな記憶もないのだが。
ともかく、えんやこらせ。
広辞苑によると
〈えんやこりゃ〉労働で力を入れる時に出す掛け声。特に、地固めなどに大勢で綱を引く時の掛け声。
精選版日本国語大辞典によると
力を込めて重い物を動かすときの掛け声。
新和英大辞典によると
〔肉体労働で力を出す時の掛け声〕
One, two, three heave! ; Heave-ho!
となっており、力を入れる掛け声であるようである。
せがない。
えんやこらはあるけど、せが抜けている。
馴れ親しんだえんやこらせは辞書的にはえんやこらまでしか認められておらず、せについてはアンタ方が勝手につけているだけでしょうが。という扱いを受けている。しかし、えんやこら!で力が入るものだろうか。えんやこらせ!とせまで含めてよいしょ!になって力が入る気がする。
他に力を入れる表現を調べてみる。
・うんとこしょーどっこいしょ。
童話『大きなかぶ』で見た覚えがある。
精選版日本語大辞典によると、うんとこ、とは力をこめる時やしっかり受け合う時のかけ声。うんとこしょ、とは重い物を持ち上げたり力をこめたりする時のかけ声。であるらしい。また副詞として、たくさん、いっぱい。の意味もある。『今年は葡萄がうんと穫れたよ』のようなうんとこがあるのか。
であれば、うんとこしょ。とはうんとこをしろ。あるいはうんとこをしよう。なのかもしれない。うんとこしょーどっこいしょ。における『しょ』と『せ』は家族か親戚くらいの近さがありそうな気がする。たしかに、うんとこせーどっこいせ。でもいける。えんやこらしょ。はちょっと微妙。
・よっこいしょ。
霊山に登るときなどに六根の不浄を清めるために唱えることば『六根清浄』が元になった言葉。転じて疲れた身体を動かそうとする時などに発する言葉。とある。
六根とは六識を生ずる六つの感官。すなわち眼・耳・鼻・舌・身・意の称。そうだったのか。
清浄とは清くてけがれのないこと。悪業の過失や煩悩のけがれを離れていること。
なるほど。よっこいしょ。が六根清浄だとすると、うんとこしょ。はうんとこ清浄。どっこいしょ。はどすこい清浄。だろう。どっこいしょ。はどっこいせ。でもいいから、馴れ親しんだえんやこらせ。はえんやこらしょ。つまりえんやこら清浄ということになる。
霊山に臨み祈りの言葉として唱えられた六根清浄が老人の立ち上がる言葉として使われている。そこから祭りのハァどっこいへ。さらに宇宙人のすごいパワーとして使われるようになるとは六根も思っていなかっただろうね。
そう考えると言い間違いの指摘とか、れる・られるの問題。『お会計はこちらになります』の問題。そういうのは放っておいてもいいような。言葉の使い方が間違っているって言うけどさ、あなた達もよっこいしょって言ってんじゃん。明日から六根清浄って言う?漢字で言う?たぶん印とか結ばなきゃなんないよ?そんな意地悪なことを考える。