#129 わたしも1年生
12月になった。晴れて暖かい日、私は残っている里芋を掘りに行った。
近所のおばさんが来た。90歳を超えた今でも、鍬をもって畑を耕している。
「あんたようがんばってるな~。今が里芋を掘るええときやわ。」とおばさんが言った。
「おばさん、今からやったら、何を植えたらいいの?」というと「もう寒くなるので、植えるものはあらへんな~。今からやったら、春のエンドウの種を蒔くぐらいやな~。」と教えてくれた。
「そしたら、今から何するの?」と私が言うと、「そうやな~。私らの若い頃は、男の人は冬の間は山に行ったな。山で木を切っていたわ。
竹やぶも綺麗にしてたわ。細い竹は、春のエンドウの手になるので、切っておいたほうがええで。
年が明けたら、玉ねぎの草取りもあるで。玉ねぎに肥料やらなあかんしな。これからは、風のない暖かい日にちょっとずつやったらいいと思うわ。
それと正月の準備もあるしな。早いもんやで。」といった。
私が「今年も、いつ種を蒔いたらいいとか、いつ苗を植えたらいいとか、よう、おばさんに教えてもらったわ。」と言った。おばさんは「まあ百姓は、昔からやってるからな」と言った。
「しかし、なあ~~。私は、百姓はいつも1年生やと思ってるねん。毎年天気も変わるし、雨の降り方も変わるし、いつも同じようにはいかへんねん。この頃はシカもイノシシも来るしな。ほんまに毎年違うで。」
90歳を超えたおばさんの言葉は重かった。
@地域 11
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