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#100 サツマイモを掘りに
10月になって息子の家族が帰ってきた。以前から孫の、そうたとりょうたに「10月になったら上の家でサツマイモを掘ろう」という約束をしていた。
芋ほりの前日に、私はサツマイモの周りの草を刈り、蔓を10㎝くらいまで短く切っておいた。
子供たちは長靴をはいて、歩いて畑に行こうとした。家の庭にカマキリがいた。「カマキリ捕まえたで~。」と息子が言うと、そうたが「ほしい‼」と言った。そうたは、苦戦しながらカマキリの首をつかまえた。私は、虫かごとたもも持っていくことにした。
畑で、芋の周りをスコップで掘ると、サツマイモが芋ずる式に出てきた。大きなサツマイモをもって、ポーズをとる子供たちを、私はスマホに撮った。すぐに私は、つぎのサツマイモを掘る準備にとりかかった。
その時そうたは、長靴の近くを飛んでいるバッタを見つけた。小さなショウリョウバッタだったので、そうたは簡単につかまえることができた。バッタはカマキリの入った虫かごに入れた。しばらくすると、赤とんぼを追いかけ始めた。
私は芋ほりをやめ、そうたとりょうたの後を追った。子どもたちは、空を飛ぶたくさんの赤とんぼを追いかけ、畑の中を夢中に走っていた。とれた赤とんぼもカマキリやバッタと同じ虫かごに入れた。
しばらくの間、子供たちは赤とんぼを追いかけていたが、「カマキリやバッタや赤とんぼの入った虫かごを、おばあちゃんに見せる。」といって、ようやく帰路についた。畑の畝には、いくつもの子供の足跡があった。
家に帰って子どもたちは、おばあちゃんに虫かごをみせ、おばあちゃんに褒めてもらった。そのあと、そうたは虫かごを開けた。トンボは、空に飛んでいった。バッタとカマキリは草の中だった。草の中で動かないカマキリに「早よ帰らな夜になるで」と、そうたは言った。 @家族 8