#228 中干し
田植えからひと月たった。早苗も成長し、茎が分げつしてきた。私は田の水を抜いて中干しをはじめた。
田んぼの高いところは乾き始めてきた。近くに行くと、メタンガスや硫化水素などの有害ガスが、地中から地面に出る時の『プチプチ』と小さな音が聞こえてきた。水のある窪地には、オタマジャクシが集まり、畔を歩くとパシャパシャと音がした。
田んぼには時々アオサギがやってきた。体が灰色で、翼を広げると150センチを超える鳥だ。上空から飛んできて、大きな羽を広げて田んぼの窪地の近くに降りた。首を窪地にいれ、大量のおたまじゃくしを吸い込んでいた。そして、田んぼの中に三本の鋭い爪跡を残しながら、ゆっくりと次の窪地に移動した。しばらくすると、大きな翼をゆっくりはばたかせ、他の田んぼに向かって飛んでいった。
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