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佐藤先生に教わったこと-#11

このnoteは、星功基が2003年〜2007年に慶應義塾大学佐藤雅彦研究室に在籍していたころに佐藤先生に教わったことを思い出しながら書いているものです。

これもYCAMワークショップのときの話です。
僕らsaltは、ワークショップの資材を金曜に研究室から山口に発送し、土曜のお昼には現地で受け取り、翌日日曜に控えた本番の準備をする手はずでした。
ですが、土曜の昼になっても荷物が届きません。
確認すると、なんと日曜の昼着になっていました。明日の昼届いてもどうにもなりません。ワークショップは13時からです。届いてすぐ使えるものではなく、その資材をもとに少なくとも2時間は準備が必要だからです。
青ざめるsalt。
そこに先生登場です。
「あとは任せてください。」
そういうと、まずはヤマト運輸東京本部の人に事情を詳しく話して、担当のお名前と直通の連絡先を聞き、仲間に引き込みます。
荷物が今はまだ羽田にあることがわかりました。山口の宇部空港へ向かう便はもうありません。福岡空港に行く便はあることがわかったので、そちらにのせてもらいます。
福岡空港着は20時予定。
合わせて、福岡空港と福岡のヤマト運輸のドライバーと交渉します。福岡から夜間で山口にいくトラックがあるので、それに載せていきます、と。ドライバーさんとの直通電話番号も確認。
段取りは済みました。
その資材がなくてもできる準備は進めていたものの、手をつけられていなかったcoco壱の出前カレーを、先生に促されてみんなで食べました。冷めていました。でも少し一息です。
そして20時。ドライバーさんから着電。これから山口に向かいますと。先生からヤマトの東京本部の担当者にも報告します。なんと残業して20時まで待っていてくれていました。15年前。今ほど追跡システムが整備されていなかった時代です。
そして22時すぎ。荷物が届きます。
満面の笑みのドライバーさん。
研究室一同、最敬礼でドライバーにお礼して見送ります。ありがとうございました!
先生「さあ、準備です。」

ワークショップは滞りなく行われ、研究としても新たな発見が得られた成功したワークショップになりました。
翌水曜13時。SFCの研究室に戻り、反省会です。
先生から荷物事件にももちろん言及がありました。
そしてこうメッセージをもらいました。
「みなさん、社会に出たらこの比ではないトラブルや修羅場がやってくるときがあります。そのときの心がまえです。」
「修羅場を楽しんでください。そこで真価が出ますよ。」
「僕も電通時代、数々の修羅場を経験しました。ただ、僕はそれを喜々として取り組んだんですね。そうすると、今度は、他のプロジェクトや現場で修羅場になったとき、そうだ佐藤を呼ぼうとなったんです。」
「普通は良いように使われて、と思うかもしれませんが、そのように修羅場をたくさん経験すると、修羅場がなぜ起こるかを冷静に分析でき、では起きないためにはどうすればいいか、または修羅場のパターンごとにどうすればおさまるかの訓練になりました。」
「そうすると、自分のプロジェクトや現場でまったく怖くなくなるんです。」
「今回、僕の対応をみて学んでくれたと思います。いいですか、修羅場を楽しんでください。」

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