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佐藤先生に教わったこと-#07

このnoteは、星功基が2003年〜2007年に慶應義塾大学佐藤雅彦研究室に在籍していたころに佐藤先生に教わったことを思い出しながら書いているものです。

表現方法論Ⅰ・ルールの授業にて。

「ある時期僕は、「オリエン返しの佐藤」なんて呼ばれていたくらい、クライアントのオリエンをそのまま返しておりました。
どういうことかと言いますと、象徴的な事例を1つお話したいと思います。
それは、JR東日本の踏切事故0運動のCMでのプレゼンでした。
プレゼンのとき、こう言います。
「本日は、プランではなく、CMを見ていただきます。」
えっ!っと驚くクライアントの方々。
そこで流したのは、無茶な運転をして踏切に突っ込んできて踏切棒を折っていくトラックの映像のあと、踏切事故0運動のロゴとナレーションが入る、という映像でした。
実は、その無茶なトラックの映像は、オリエンのときにクライアントからたくさん見せていただいた「佐藤さん、これ!こんな事故が実際に起こっているんです!」の映像のうちの1つだったんですね。
もうその映像を見たときに、ショックで。
こんな事故が起こっていることなんて知らなかった、と。
ただ、待てよ。
ということは、お茶の間も知らないだろうし、この映像を見ることは、日頃無茶な運転をする人にとっても、客観的になって自分の運転を省みるきっかけになるのではないかと。そう思いました。
だから、素直に、もうオリエン通りすぎますが、その映像をそのままCMにしたんですね。
結果、そのプレゼンを受けたJR東日本の皆さんは、確かにそうだ、我らはこれを伝えたかったんだと、そのまま採用していただきました。
問題の中に、すでに解答が含まれている。
これはその好例ですね。
返すときは、その軌道のまま、強くです。」

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