映画感想文「ハドソン川の奇跡」


・ ファクターXは、人だ。
・ 立場によって、見え方は異なる。
・これからどう生きるべきか。

について、深く考えさせられる映画だった。
そして、そのような構成でみせてくれたクリント・イーストウッド監督はさすがの一言に尽きる。

✂️以下、ネタバレ注意✂️








主人公のサリー飛行機のパイロット。
バードクラッシュでエンジンが作動しなくなった際、迅速な状況判断の末に、40年間のキャリアで培った技術を駆使しハドソン川へ着水した。そして、155人の命を救った。

40年間のすべての経験がその瞬間に活かされた。事実として、機体はハドソン川へ着水し乗客乗員を含む155人、全員の命が助かった。

まず、パイロット側の視点から着水のシーンを見る。すると、ハドソン川へ着水するという決断は英断であり、それ以外の選択肢はないように思えた。

次に、管制塔側からの視点、
レーダーに映る情報やパイロットとの会話では、ハドソン川へ着水だなんて、何をいってるんだ!?正気か!?というような気分になった。

そして、調査会社や保険会社側からの視点、
計算上の数値やシュミレーションによる結果をみれば、空港へ引き返すという最善策があったにも関わらず、川に着水させて乗客の命を危険にさらし、機体を損傷させるとは、なんということか!40年の経験により判断しただと?数値を計算していないくせに、そのようなことを抜かすとは、まったくこれだから嫌だよ。プライドの高いパイロットはさ。みたいな穿った見方をしてしまったのだ。


同じ事実を、異なる立場からみると捉え方が真逆になるということの典型を見せつけられ、日ごろの自分自身の捉え方を振りかえる。

一方の言い分だけを聞いていては、誤った判断を下してしまう可能性が大いにあるのだということを忘れずにいたい。

大河ドラマ好きのわたしとしては、
篤姫のセリフ「一方聞いて、沙汰するな。」を思い出す。
うん、そうだよね。

話を元に戻そう。

ベテランパイロット、サリーの凄いところは、
最後まで逃げずに、冷静な態度を貫きプロの視点からみた調査を依頼した所だ。

いうべきことをきちんと伝え、実証してもらうという正しい方法をとった。泣き寝入りしてしまうということはせず、伝える努力を惜しまず、正当な権利を主張し続けたということだ。

批判を受けることも多い現代において、どうあるべきか。
私たちは、どういう社会をつくっていくのだろうか。

そして、不測の事態が起こったとき、結果を左右するファクターXがあるとするのならば、やはりそれは「人」なのだろう。

日本における新型コロナウイルスで、罹患率や死亡率が低いことのファクターXがあるとするのならば、それはやはり「人」なのかもしれない。そう思った。

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