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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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猿若祭(昼の部)感想



(長くなったのでスキップしてもいい前置き)


たまにですが、歌舞伎を観に行きます。年に1、2回くらい。
推しは中村屋。箱推しと言ってもいいくらいですが最推しは勘九郎(以下敬称略ぎみお許しください)。

そもそも子供の頃からよくテレビで密着番組を観てたりしたのと(母もフンワリ中村屋好きだからかも)、勘太郎(現・勘九郎)と同学年だしなんかフンワリ応援してる存在だったのですが

ある時「真夜中の弥次さん喜多さん」という映画を観まして
七之助…このハイパーエネルギーの塊・長瀬智也と渡り合えるとはすごいヤツだぜ…
あとお父さんなぜか手からとろろ出しててこれまたすごい勢いだったな…(詳しくは映画をご覧くださいw)
などという感想を抱きつつ、その辺からゴロゴロっと沼落ち…
どこにそういう罠が潜んでいるか、本当にわからんもんですHAHAHA(汗ととろろを拭いながら)
ちょうどその頃お父様勘三郎の襲名披露公演なんかもあったりでDVDBOX買ったりあちこち観に行ったりしてましたね…

その後歌舞伎通いは落ち着き(飽きたのではない、殿堂入りというらしいw)

そこから15年くらい経った頃、
夫が歌舞伎を実際に観に行ってみたいと言い出しまして。
ええ何急に!猿之助が観たいとな?わしは何年も前から中村屋の話してるのに?
ホォ〜?早く言いなはれや!3階A席でデビューじゃ!となり、
行ってみたところ彼はなかなかに喜び、また良さそうなのあったら行こうやという、そんな流れでここ数年は夫婦で歌舞伎を観に行ってます。
(ちなみに今の夫の推しは染五郎)

先月のなかなかに酔っ払ったある夜、
そういや来月は歌舞伎座で中村屋の面白そうなやつあんだよね、行きたいな〜と同じくなかなかに酔っ払っている夫にブツブツ言ってみたところ、「じゃ行っちゃうかい?」とチケット確保していただきました!
「(私の2/4が誕生日なので)これはプレゼントという事で…」

アリガタヤ〜!(突然のアグネスデジタル)

猿若祭二月大歌舞伎(昼の部)の感想

(公式サイトよりみどころを引用します)

⚫︎鞘當(さやあて)

火花を散らす意気地のぶつかり合い
 桜満開の吉原仲之町へやって来たのは、深編笠姿の不破伴左衛門と名古屋山三。二人は出会いがしらに刀の鞘が当たったことから斬り合いとなり、一歩も譲りません。そこへ茶屋女房が仲裁に入りますが…。
 色彩豊かな歌舞伎の魅力が詰まった名場面で、奇抜な衣裳で花街を闊歩する伊達男二人が互いに譲らず、行き交う渡りぜりふが耳に心地よく響きます。錦絵のように鮮やかな、歌舞伎の様式美あふれるひと幕をお楽しみいただきます。

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/926

黒ベースに少しギラついた雷雲柄刺繍の衣装にイエロー足袋、
低めの声でオラつく不破伴左衛門(坂東巳之助)と、
爽やかな水色ベースにツバメ柄刺繍の衣装、
超わかりやすくシュッとしたモデル系色男の名古屋山三(中村隼人)
そんな2人の小競り合い…(急にしょぼい説明)

みっくんのどっしり低い声、ハヤトナカムラのテノールボイスはとても良い。
ただ、何言ってるかほとんどわからん(セリフが現代語ではない)…
これはあらすじを読んでおいてよかったw

最初は2人とも出てくる時は大きな笠を被っていて顔は見えないんだけど
なんやかんや言い合いになって2人同時に笠を取り、
やっとお顔が見えました!バーン!と歌舞伎らしく決まるシーンがあるのですが
もみ合いの意味&その後の決めポーズの都合上?
お互いの顎部分の笠の紐を
お互いでほどいて…モゾモゾ…
お互いの笠をこっちはこう、そっちはそう持って…
モゾモゾ…
で、
ハイーーーッ!!(とは言ってない)みたいな決めをするわけです。

この準備の部分だけ妙に無音で不思議な時の流れを感じてすんごい面白かったです。お顔が見えて嬉しい、にプラスアルファで満面の笑みと大拍手の私でした。
いや多分みんなそう。

その後刀を抜いてのケンカをまさかの丸腰で止めに入る茶屋女房(中村児太郎)、これも面白かったなあ…危なすぎて…

そんなこんなで上手く?ケンカは収まり3人で決め、とりあえずよかった〜
この演目、調べてみると他にも色んな裏設定があるようで(実は2人は元々職場同じで、とある女性の元彼今彼の関係とか)なるほど、知ってるとさらに面白いけど知らないで観るには設定深すぎでは?と思ったりした、が、これが歌舞伎…
長いドラマの中のみんなの好きなシーン総選挙で1位か2位に輝いた、そこを本日はお届けします!という感じなのですな。
初心者はとりあえず、まずヴィジュアル、サウンド、ムーブで満足!


幕間(休憩)25分
入り口横の売店で買っておいた焼きたて人形焼きmgmg
こしあん美味しい!

⚫︎醍醐の花見(だいごのはなみ)

天下人・秀吉の絢爛豪華な舞踊劇
 花の名所として知られる、京都の醍醐寺。天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が、北の政所や淀殿ら豊臣家ゆかりの人々を招いた盛大な花見の宴を催します。秀吉たちは、盃を傾けたあと、桜を愛でつつ舞い踊ります。
 秀吉が催した一世一代の宴を題材とした華やかな舞踊劇。うららかな春の一日を描き、歴史上の人物たちが並ぶ絢爛豪華なひと幕をご覧ください。

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/926

スーパーベテラン勢出演の舞踊系一幕。セリフはちょっぴり。
なかなかに豪華でおめでたいセット、桜の花びらも舞ってます。

スーパーベテラン勢(2回目)の動きと台詞覚え
もしくは間に不安になる気もする、

が、

こ、これが歌舞伎…生涯現役!すごいぜ!

個人的には淀殿役でご出演の中村福助丈、「野田版 研辰の討たれ」での活躍が印象深い&好きだったのでお元気そうなところを見られて良かった〜


幕間35分
地下のお弁当屋で買っておいた穴子押し寿司弁当mgmg
量が程よく短時間で食べやすい、穴子美味しかったなあ。

早く食べねばと撮るの忘れたのでスクショですまん

⚫︎きらら浮世伝(きららうきよでん)

“蔦重”の熱い魂が弾ける青春群像劇
 天下泰平の世。小さな貸本屋を営みながら大きな夢をもつ男、蔦屋重三郎。時代の変化をいち早く察知し、個性豊かな若き才能を次々と見出します。ところが、質素倹約を求める寛政の改革により江戸の空気は一変し、蔦屋には財産半分没収のお仕置きが。奮闘する重三郎の熱い思いに、吉原の人気遊女お篠らが絡まり合い、遂に重三郎は起死回生の一手に出ます…。
 昭和63(1988)年、銀座セゾン劇場にて、横内謙介が脚本、十八世中村勘三郎(当時勘九郎)が蔦屋重三郎を勤めた伝説の舞台が歌舞伎として装いも新たに登場。綺羅星のような若き才能を見出し、江戸文化の百花繚乱を極めた“江戸のメディア王”とも称される、“蔦重”こと蔦屋重三郎が、幕府の弾圧に立ち向かい時代を駆け抜ける――熱い魂が弾ける話題作にご期待ください。

https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/926

(ネタバレご注意、観た人が読んだ方が良さそう)
さっきまで観てきたものに比べてキャスト、情報量が多めでスピーディーな話の進みだったこともあり、1回観ただけではネタバレというほど細かく書き出せませんが…
とりあえず、以下は印象の羅列となります

ーーー

開幕直後のSEに若干戸惑う、あ、思ったより現代劇っぽいんですね

重三(勘九郎)の台詞回し、序盤から軽やかなり
モジモジする勇助aka歌麿(隼人)、へぇかわいいね…
お篠(七之助)〜!お菊(米吉)ビューティホー!

お篠が重三にくっついて、このまま一緒に居たいな〜(意訳)のシーン
ほんの束の間だったけど、いいよね…

セットの動き、色々うまく表現されてて良い感じ。

芝翫さんとそのご子息3兄弟、良い親子共演ですなあホッコリ…

勘九郎と隼人の喧嘩、なぜか途中からプロレスになってて面白かったw
黒衣のお弟子さんたちもワーワー声出して楽しそうw

「破いちゃってごめんねェ〜!」、とてもかわいかった

OMG ハヤトナカムラ oh so sexy…(なんかそういうシーンがある)
そうか、お相手の遊女は芝のぶちゃん(とにかく素敵な女形)だったのね
よくそこに普通に入って来れたな重三w

その後色々あってお篠が呼ばれるんだけどこのシーンの重三と勇助、なんかな…
何を言ってんだかなこの男らはよ…と思ってしまった
まあ場所も場所だし80年代の作品だもんな、と冷める心を少し抑えるなど

それはそうと七之助がとても良い!
切ない女のエッセンス(何それ)がしっかり出てます!古内東子とか聴いてた?
いつの間にそんなちょっと年増のお姉さん、もう私色んな事を経験してきたの風キャラ上手くなったんです???(玉さまのおかげかな)

「止められるか、俺たちを」
そういう台詞があってふと若松孝二題材の映画を思い出すなど

関西弁陽キャの与七aka十返舎一九(鶴松)、和む〜

春町先生、良い役だなあ
芝翫さんは良くも悪くもひとクセある役が板について面白くなったような気がする。
初鹿野役の錦之助さん、あまり拝見する機会がなかったのだけどちょっとコミカルもいけるんですなあ。緩急すばらしい。
彫り師刷り師の親方、橘三郎さん松江さんの真っ直ぐな目もかっこよかった。

大門に登るの、気をつけてほしい…

重三の勢いのある台詞、待ってました!やっぱりこういうのが気持ちいい!
そして重三に続いて花道を行く黒衣たち、超スーパーミラクルかっこいいぞ!!!泣いた!

女形で帰ってくるその早さw

次々「私もです」てなるところでふとダチョウ倶楽部が脳内をよぎったのは私だけじゃないと思いたい
大田南畝(歌六)、去り方がかっこよかったぜ

「ひとりでいても、ひとりじゃありませんでした」
この辺の台詞よかったな、まあ説教くさいと言われればそうかも?
でももうこの時は大感動してるから、なんでも染み込み放題。

そういや途中どのタイミングだったか、花道で伝蔵とお菊のみのシーンがあったと思うんですが
すごく取り乱したような嘆きっぷりのお菊がバッと振り返ってすぐ後ろにいた伝蔵に縋り付くような、そういう瞬間があったと思うのですが

その時のお顔とお顔の近さがもうこれチューするのかな?と思う近さで

初日だし、たまたまなのかしら
橋之助はほんのわずかに動揺しそうにも見えたが
それでも瞬き一つせず、真摯な眼差しでその瞬間の米吉を受け入れていた

(と、お見受けしました、すぐ前で見た個人の感想ございます)
ンモーーーーー
そこで私は光となって消えましたありがとうございました
心のフィルムに焼きました

まま、よくある事なのだろうけど、
とにかくこれに関しては非常にみずみずしく感じてキュンときましたね

帰って検索してみると、「橋米」という概念がとっくに存在していたのですね
ククク…(悪い顔)


(その他なんだかなと思ったところ)
うーん、上手な絵を見た時、とか心情を表すシーンにまでSE付けなくてもいいのでは…そこは役者本人の力で十分カバーできると思うのだが…
役名、絵描きの時の名前と普段の名前で混乱するからチラシにカッコで書いといて欲しいかも
あとこんな女でも抱かれりゃ色気出るだろってやつ、あの辺なんか嫌だった
まあ場所も場所だし80年代の作品だもんな、と冷める心を少し抑えるなど(2回目)

とまあ長くなりましたが全体的にはめちゃくちゃ良いお芝居でした!
青春群像劇とありましたが本当にそれでした、人間の動いてる熱量、
パワーを感じる、
なんか観た後ちょっと元気になれる舞台。
(1、2幕の記憶が少し薄れる気もw)
それぞれのキャラもちゃんと立ってたし本当面白かったな〜。みんな輝いて煌めいて、その瞬間を生きてた。
せっかくだからみっくんも出てほしかった!

今は亡き勘三郎もそれはもう喜んだことでしょう。そしてジェラシーにもなったかも?

べらぼうもちゃんと観よう(ヤスケンのとこばっか観てた)…
これすごい宣伝効果だと思うので
是非ともEテレで放送とかしてほしいなーなんて。
ドラマで中村隼人が気になった人なんか絶対行くべき。

あんなに盛り上がった後、初日はなんと豆まきイベントまで!
東京にも雪の予報が出ていたこの日でしたが、ホットなお祭り気分で歌舞伎座を後にしました(外さみ〜!)

ありがとう猿若祭!そして良席ありがとう夫!


紙吹雪。帰って着替えてたら床にはらりと落ちました
豆まきでゲットした豆mgmg

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