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今までやってきた『練習試合』に感じていた違和感の正体がやっとわかった

本当に必要だったのは「ゲーム風な経験」ではなく「ゲームの経験」

この記事で伝えたいことをズバッと結論から言います。

『実際の試合と同じ状況を練習試合で再現しましょう』というものです。

公式試合と同じ時間設定で、地域の教会から派遣されたレフェリーをきちんと用意して、ユニフォームを着て試合をするんです。

それも試合は1日に1試合。(中学校や高校では2試合やる場合もあるので、午前と午後で2試合することも考える。)

ハンドボールでは「試合の中で相手に対応していくこと」がとても大切です。

異なるチームと短い時間のゲームを何試合しても、相手に対応する時間が与えられないまま試合が終わり、次の新しいチームと試合をしなければなりません。

強いチームと試合をしたとき、後半で相手に対応されて点差が開いてしまう原因はそこにあるのだと感じます。

たとえ試合という形式は保っていても、過密日程の影響でチームメイトや相手チームの強度が下がっていては文字通り「練習にならない」です。

何かの「動き」を実行するときその信号は脳から各筋肉に伝達されると思いますが、その逆もありえます。

筋肉が「動き」を実行すると、それらは信号となって脳にフィードバックされてしまうのです。

もちろんこの仕組みをいいように使えば、高い強度、出力の筋肉信号を脳が受け取ることになりますが、逆の状況でも脳は律儀にそれらの出力を記憶してしまいます。

それが原因で本番の試合中に「全力が出せない」選手が出来上がってしまうのです。

僕がそうだったように、その状況に陥れば試合の中で修正することはかなり難しいです。

つまり自然に力をセーブしてしまうような「ゲーム風な経験」を積んでしまう事は一見いいように思えて、いざ本番になったときに力を十分に発揮できない選手になってしまう危険性をはらんでいることにようやく気がついたのです。

20分ゲームを午前と午後で4本ずつを2日間

僕は「合宿」というイベントが正直あまり好きではありませんでした。

なぜなら副題にあるように、超過密日程の中で体力的にも精神的にも厳しい中で試合をしなければならないからです。

練習試合の当日の朝、日程表が組まれますよね。今日がどこのチームと何試合やるのか。その時点で力の配分を考えてしまうんです。

どんな素晴らしい目標を立てて試合をしていても力や精神を温存してしまう環境でのプレーは、先ほど申し上げたように選手たちの脳に良い影響を与えないことがあります。

このチームなら5割くらいの集中力で負けはしないだろう。このチームとの試合だけ本気を出そう。などなど。

そうでもしない限り「合宿」は乗り越えられないことが多くありませんか?

過密日程の中、全ての試合で全力をプレーすれば身体は簡単に悲鳴をあげます。

力が入らなくなったプレー感覚でうまく行っても、それを実際の試合で再現することはほぼ不可能。なぜなら実際の試合はフレッシュなコンディションで行われるからです。

フレッシュな中でどれだけ「確かな技術力」に裏打ちされた「戦術」や「戦略」が展開されていけるのかが、その個人やチームの本当の力だと思っています。

何試合も試合を行い続けることで『疲労感ゾーン』のようなものに入ると自分では感じていて、そんなものに頼ってパフォーマンスを安定させようとしていた考えが甘かったと自分の中で反省しています。

そういった『疲労感ゾーン』を伴う試合の中では強度(出力をどれだけ出せるか、集中力を保ってプレーできるか)を維持することが出来ないので、実際の試合の状況と似ても似つかない内容になることが多々あります。

それってすごくもったいないことです。

今回この記事を書こうと思った理由は、実際の試合のフレッシュな状態でパフォーマンスを発揮することを、どのようにして練習試合でシミュレーションできるかを考えるためです。

ハンガリーでは「練習試合」が禁止になる場合がある

今から約3年前、筑波大学でハンガリー遠征に行ったときの話をします。

現地ではハンガリー体育大や、ハンガリー2部リーグのチーム、そして徳田新之介選手と田中圭選手がかつて所属していた「ダバシュ」との練習試合が予定されていました。

それらの試合はユニホームを着て、全て実際のゲームと同じ30-10-30で組まれていて、なおかつレフェリーも協会から派遣されていました。

僕たちが日本から来たから特別にセットしてくれたのかと思いきや実はそうではなく、ローランド(当時のハンガリー出身の筑波大のコーチ)によると

ハンガリーでは協会に届けることなく試合をした場合は両チームにペナルティが科せられ、罰金が発生してしまうとのことでした。

レフェリーにも日当が支払われ、きちんとした責任の下で練習試合が行われるそうです。

当然、公式試合さながらの雰囲気の中で、そのとき出せるベストなパフォーマンスを出して試合を行うことが出来ました。

ハンドボール上達のために欠かせない経験をその試合で学ぶことが出来たと思っています。

もしビブスを着て1日中ゲームを繰り返すような形式なら時期にその形式に適応していくと思いますが、実際の試合を通して得られる満足感に勝る事はなかったでしょう。

練習試合やるならローカルリーグやろう

特に中学生、高校生の練習試合について。

仮に1日中いろんなチームと20分の1本試合を7,8本するなら、近隣のチームでローカルリーグを作って実際の試合と同じ状況(25-10-25の試合時間、レフェリーを地域協会から派遣、ユニホーム着用)を作ったらいいんじゃないかという提案です。

同じチームでも人数が多ければ2チームに分けて、それぞれが同じレベルで戦えるチーム同士で試合をするんです。

それでも県内の強豪など、他県に行かなければ対等なチームがない場合は、関東圏内でチャンピオンズリーグのように都道府県リーグのトップで試合が出来る機会を作るんです。

そうすることで、それぞれの選手が同じようなレベルのチームと戦える機会を確保できます。


今日はこれくらいで!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽

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Koju Morinaga/ハンドボールコーチ→ハンドボール選手
2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。