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ほめるときに意識した、6つの「ほメソッド」

ルクア大阪で9/13-9/16に開催した「ほめるBar」では、イベント全体として200人、僕個人としても4日間で30人の方をほめさせていただいた。



これだけ短期間で誰かをみっちりほめることってなかなかない。やる前と後で、ちょっぴり「ほめ戦闘力」は上がった気がする。

帰りの新幹線でざっとリストアップしただけでも、こんな気づきがあった。



とくにTwitterでは書かなかったけれど、20分×30人をほめる中で、「20分でちゃんと相手をほめる、ほめ方のメソッド」、つまり自分なりの「ほメソッド」のようなものもできあがってきた。

なにせ、ほめる人は笑顔で穏やかに話を聞いているようにみえて、実は脳みそフル回転。めちゃくちゃ考えながら聴いているのだ。

その脳みそのなかをちょっとのぞいてもらうという意味でも、「ほめるステップ」と「ほメソッド」をちょっと紹介すると、次のようなものである。

(この流れは「20分でほめる」という、かなり特殊な状況に最適化したものなので、どこまで参考になるかわからないけれど)


ほめる5ステップ


(1)信頼関係の構築

まずは自分が名乗り、自己紹介をする。その次に、相手になんて呼んでほしいか聞く。お話をするなかで相手の名前をちゃんと呼ぶことは自己肯定感をあげるので、ここでしっかり覚えることが大事

僕は忘れがちなので、20分を通して名前だけはノートにメモしていた。あとは「どこでほめるBarを知ったんですか?」など、雑談を挟んで相手の緊張をほぐしていく。

(2)ゴールの確認

その上で、「ほめるBarでは、20分で◯◯さんのお話をじっくり聞いて、僕が素敵だなと思ったことをお伝えさせていただきます。◯◯さんは、この20分が終わった後、どうなっていたら嬉しいですか?」と、ゴールを確認する。ここ重要。

なぜなら、いらっしゃる方でも「めっちゃほめられたい」「ほめるのはいいからアドバイスが欲しい」「ほめ方を教えて欲しい(意外とたくさんいた)」と、ニーズがバラバラなのだ。ゴールを確認することで、その方のニーズにあった時間の使い方ができる

(3)傾聴する

ゴールが確認できたら、ひたすら聴く。耳で、じゃなく、全身で聴くのである。相手の言葉はもちろん、身振り手振り、表情、目線、言葉の強さなど、なるべくたくさんの情報を得る。

前提として、相手への「好意的な関心」を持つことが大事だ。「この人はどんな価値観を持っているんだろう」「どんな人生を歩んできたんだろう」と、知りたい! と心から思う。そうすれば、自然と全身で聴くことができる(1日に10人もほめていると、終盤はかなりきつくなってくるけど)。

なぜ傾聴するのが大事かといえば、傾聴抜きの「ほめ」は表面的なものになってしまい、相手の自己肯定感を底上げするものにならないからだ。「そのピアス、可愛いですね」という表面的なほめもいいけれど、その数時間、よくてもその日だけ嬉しくなるにすぎない。

そうした表面的なことをほめられるより、じっくり話を聴いた上で、本人もこれまで気づいていなかったこと、とくに態度や行動や身だしなみではなく「在り方」についてほめられることが、その方の自己肯定感をググっと底上げする。

なぜなら、「在り方」についてほめられることは、目に見える行動の奥にあるその人の考え方、システム思考的に言えば「メンタルモデル」にふれ、それを肯定したり、あるいはポジティブな方向に促すからだ。その「メンタルモデル」がポジティブになれば、日頃の行動もポジティブになる。

(ほめこれについてはまたいつかまとめようと思うけれど、今回紹介してるほメソッドはとてもシステム思考的だなーと、書いてて気づいた)

ただ、この傾聴フェーズでも、ところどこ「素敵ですね」「頑張ってきたのですね」と、小さいほめは挟んでいく。この小さいほめは、相手の発話を促すものだ。その意味では、うなずきや「へぇー!」「うんうん!」というあいづちがあると、相手も勇気をもって話すことができる。

(4)ほめる

しっかりと傾聴したら、ほめる時間に入っていく。ここでは、相手の話や態度などを受けて自分が感じたことを伝え返していく。

この時に、「◯◯さんは、すごく誠実ですね」ではなく、「◯◯さんは、すごく誠実な方だと僕は思いました」という、主観を伝えることを僕は意識した。なぜなら、前者はどこか勝手に相手の特徴を断定しているニュアンスがあり、もしかしたら相手は「いや、そうじゃない」と思うかもしれない。しかし後者に関しては、僕がそう思ったという事実は確かなこと。その言葉を踏まえて、「僕は誠実だと思ったのですが、◯◯さんはその言葉を受けて、どう思いますか?」と、相手にボールを返すことができる。

「ほめ」は一方的なものでなく、対話から生まれる。

こうした対話を通して、相手が「そう言われてみれば、確かに仕事にちゃんと向き合ってきていました」と、自分で自分を褒めてあげられるようになる。

「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」とはよく言われるけれど、「ほめ言葉を伝えるのではなく、ほめ方を身につけてもらう」というのが、ほめの理想形だ。なかなかそううまくはいかないけれど、対話を通して相手が自分のことをほめてあげられるようになったら最高である。

また、僕は相手が発する非言語のメッセージも大事にしたいので、相手と接していて受けたイメージも伝えるようにしていた。「僕は、◯◯さんとお話ししていて、穏やかな海がみえました。」というように。

この時点で、僕の中でもなぜそういうイメージが浮かんできたのか、その理由は言語化できていない。そうしたイメージがあると認識した後に、なぜそのイメージが浮かんだのかを考え、伝えていく。

「◯◯さんは、言葉のトーンがずっと変わらないんですよね。それが相手を落ち着いた気持ちにさせるし、まなざしもどこか相手のことを包み込むようなやさしさがある気がしました。だから、穏やかな海のようなイメージなんだと思います。」

こう伝えることの何がいいかといえば、ほめる側が小手先のほめ言葉に逃げられなくなるのだ。ついほめる側は「素敵ですね」「すごいですね」という安易な言葉を使ってしまいがちだけど、それは相手も日頃から言われることかもしれない。そうした小手先のほめ言葉ではなく、相手がまだ言われたことがないような、まだ気づいていないような「ほめ」を体験してもらうためにも、「イメージを伝える」ようにしていた。

(5)自分で自分をほめてもらう

最後に、「僕は、そんなふうに思ったのですが、◯◯さんは今の僕の話を受けて、どんなふうに自分をほめてあげることができそうですか?」と聞く。自分で自分をほめてもらうのだ。

これもまさに、「ほめ言葉を伝えるのではなく、ほめ方を身につけてもらう」ため。この時間を通して、何か自分で自分をほめてあげられることができるようになれば、この20分が終わったあとも自己肯定感を自分で上げられるようになるかもしれない。理想は、ほめるBarに来なくたって自分で自分をほめてあげられるようになることだ


ほめるときに意識した、6つの「ほメソッド」

ざっくりとこんな流れで、20分のほめタイムをつかっていた。

もちろんすごくスッキリした笑顔で帰ってくださった方もいれば、腑に落ちない顔の方もいた。それは僕の力不足。申し訳ない。でもこの型がある程度決まってからは、どんな方がきても、ある程度は満足していただけるようになった気がする。

くりかえすけれど、この流れは「20分でほめる」という、かなり特殊な状況に最適化したものなので、どこまで参考になるかわからない。

けど、次のような6つのメソッドは、普段誰かをほめる場面でも役に立つはずだ。

耳で聴かず、全身で聴く

好意的関心を寄せる

相手のニーズを把握する

「在り方」をほめる

対話を通して、相手が自分のことをほめられることを目指す

非言語メッセージも受け止める


ほめる注意点

ただ、「ほめる上での誠実さ」も忘れないようにしたい。

極端な話、何気なく発した言葉がその人の人生を狂わせてしまうことだってあるのだ。だから相手を尊重することなく、自尊心を満たすためだけにほめるようなことはあってはいけないと思う。

また、「このかたは自分ではどうしようもないな」という時には、勇気を持ってお断りすることも大事だ。専門的な治療が必要な方に対して、非専門家である僕らが「何か役に立てたら」と安易に対応してしまうと、そのかたの症状を悪化させてしまうことにつながる。

「この方はちょっと専門的な対応が必要だな」と思ったら、正直にそのことを伝え、医療機関の受診などを進めるという選択肢も、きちんと持っておきたい。


以上、今日はほめるBar@ルクアで実践した、僕なりの「ほめ方」をまとめてみた。あくまでも個人のスタイルなので、他のほめる人はまた別のほめ方を実践していたはず。機会があれば、それも聞いてみたいなぁ。

「わたしはこんなほめ方を意識してますよ」ということがあれば、ぜひぜひ教えてくださいね。




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