子育ては大変 チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』
チョ・ナムジュの『82年生まれ、キム・ジヨン』について。
チョ・ナムジュは、大韓民国生まれの女性作家です。今回紹介する『82年生まれ、キム・ジヨン』が韓国で大ベストセラーになり、映画化されたことで日本でも話題になりました。
この作品は、主人公の“キム・ジヨン”が、子供時代、進学、恋愛、就職、結婚、出産の中で様々な性差別に出合い精神を病んでいく様子が描かれた小説です。近年のMeToo運動と相まって韓国で論争を引き起こすほど話題となりました。文学作品というよりは、女性差別の問題を取り扱った物語風の新書!といった印象です。
この小説の舞台は韓国なのですが、子育てや家事は奥さんの仕事であるという認識など、日本での女性を取り巻く環境とよく似ていると感じました。
ただ、韓国の男性には2年間の兵役義務があるので、そこから生まれてくる不公平感もあり、日本とは異なる点も多々あるようにも思います。
クラシック音楽の世界でも、指揮者やオーケストラ団員の男女比などまだまだ男性の割合が多い様です。
また、現在ではバッハのカンタータのソプラノパートは女性が歌うのが一般的ですが、作曲当時、教会では宗教上の慣習によって女性ではなく男性が歌わなければなららなかった為、ボーイソプラノが担当することが一般的だったとのこと。そのような慣習を踏まえた演奏の録音を聴いた際は、物足りない!と感じたことも多々あります。(もちろん、ボーソプラノならではの良さはありますが。)このように、音楽的な結果として良いか悪いかは別として女性差別が音楽活動に影響するケースもあるみたいです。
日本でも、育児や家事は女性がするもの!という風潮がまだ少しあるように思いますが、これらは誰かがやらないといけないので、基本的には夫婦で話し合いお互い納得し、出来る方がやれば良いと思っています。
ということで、奥さんがバリバリ働いている我が家は、僕が家事・育児をガンガンやっております。そうするとよく「お父さんなのに偉いねー。」と言われるのですが、「偉くないんよー!」となかなか複雑な気分になります。(年配の女性に言われることが多いです。「私の旦那なんか全然。。。」みたいな感じで)
因みにこの文章は、保育園がコロナの影響で休園になったためワンオペの二歳と三歳の子守りの隙間時間に書いています。。。創作活動と育児の両立は体力はもちろん、忍耐力が必要ですね。ただ、限られた時間で何とか仕上げよう!と気合が入っているので、昔に比べて格段と集中力がアップした様に思います。(子育てしている人と、そうでない人では時間の感覚が2倍くらい違う様に思います。)
という事で、女性差別の観点から読むのが正しいと本だとは思うのですが個人的には子育て大変!という点で共感できる作品でした。
ところで、女性差別について僕の奥さんに色々と話を聞いたところ、あまり女性差別にはあったことはないとのこと。彼女の以前の職場である大学も、“ダイバーシティ!”と言い始めた時期でしたので、助手という身分でありながら二人の子供を出産!という離れ業をやってのけていたり、なかなか逞しく頼もしいです。(一昔前なら文句言われそうですが。。。)
そんな妻ですが学生時代に作曲をしていました。下のリンクの作品は彼女の自信作です。良ければお聴きください!(歴史上の作曲家は男性がほとんどですが、近年の作曲科の学生は女性の方が多い様に思います。)