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正月にめでたい日本酒

 子供のころは、正月が近くなると、神社の奉納用に日本酒を包む作業をやりました。そう、実家が酒の小売業(品川にて)をやっていたので、お年賀としての日本酒を届けるオーダーが舞い込む時期。お届け先の代表といえるのが近所の神社。その数は膨大なものがありました。店には包装待ちで並べられた日本酒が何百本も積み上げられたもの。なので、家族総動員で行い、配達を行いました。ちなみに日本酒を包装することを、何時間を続けていると、紙に油分が吸われてしまい、手がカサカサになっていきます。寒い時期ですから、汗もかかないので、カサカサのままで包装作業が続きます。子供なりにつらい時間でした。この当時の作業の記憶が「酒屋だけはやりたくない」と決意するきっかけになったように思います。(日本酒とは別の形でご縁ができるのですが)包装のオーダーはさらに増えていき、紅白歌合戦の終了間際までやりました。当時の人気であった奉納酒は松竹梅、大関、剣菱、月桂冠。なかでも松竹梅はネーミングも縁起がいいので人気でありました。金粉入りとかありましたね。

このようなイメージ

さて、日本酒は歴史的にも、お正月に飲むお酒として親しまれてきました。初詣のシーンでは御神酒と呼ばれる日本酒が参拝者に振る舞われます。生薬を配合した御屠蘇を飲む習慣もあります。ちなみに日本酒を神社など神に供え、祈りを捧げたあとに人々と分かち合う風習は直会と呼ばれます。正月は神社に初詣に行く人が多いと思いますが、そうした機会に日本酒を供える=奉納する人もたくさんいます。

みなさんは神社に日本酒を奉納したことはありますか。日本は元々は農耕民族であり、作物を作って自給自足の生活をしてきました。当然ながら豊作の年もあれば、天災などで不作の年もありました。そんな作物の代表が米。その米から手間暇をかけて作った日本酒を神様に備え、豊作を願うのは当然の風習であったと言えます。ちなみに正月は新たな幸せの芽が出ることを願うタイミングに遭遇できたことを称賛や喜びの表現として「おめでとう」が使われるようになったと言われています。これからの一年が素晴らしいものになることを願って、縁起が良い、少しばかりの贅沢な日本酒を用意してみてもいいのではないでしょうか?


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