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ずっとむかし西表島にいったときのこと3


不吉な予感(ゴメン)というか、迷惑な想像とは無関係に船は無事に西表島に到着。迎えてくれた車でさっそく民宿へ。これまでの経過で予想した通りというか当然のことのようにその日の新規客はボク一人。
連泊のお客さんこそ何人かいたけど、当時の沖縄、しかも本島から遠く離れた西表まで足を伸ばすやつなんていやしないって。


というわけで、早速、憧れの海へもちろんビールと一緒ですとも。ここでもやっぱりビールはプリモ。っていうかプリモの存在はこの民宿で知ったみたいなものなんだけどさ。いいねぇプリモ。しっかり気に入っちゃった。
さて、クーラーボックスにプリモ数本を入れ、ビニールの袋には、タバコ・ライター・灰皿の3点セットと文庫本にラジオ。一応、シュノーケルなんかも用意して、当時のリゾートフルバージョン。
「エッ音楽系はラジオだけですか。それはそれでなかなか」っていわれそうだけど、その頃はね、まだカセットテープ仕様のウォークマンさえない時代だったのよ。

民宿から浜までは徒歩30秒の至近距離。なんのことはない、この民宿は崖っぽい高台の上にあるんだけど、その崖を降りるともう砂浜完備の海なんすよ。しかも、こここれ以上はないってくらいのプライベートビーチ、崖というか、海に突き出した岩がちょうど砂浜を仕切るパーティションのような感じになってるおかげで、10数メートル幅で3つのビーチが並んでいる光景を想像してみてください。ねっ、こんなにプライベートビーチ感のあるプライベートビーチ(?)もないでしょう。

おまけにボクがこのビーチを楽しんだ1週間ほどの間に見た他の人は5人だけ。そのうちの1人は民宿のスタッフで以前から友人の女子、で別の4人は東京から来た若い男の子たちグループ。1週間のうち5日間は完全にボク専用のビーチだった。
今から考えたって贅沢なものさ。で、砂浜に寝っ転がりながら日差しを浴びてのビールだ。照りつける太陽の下で燻らすマルボロがうまい。
気が向いたら目の前の海に潜ってもいいし、ボケ〜っと突っ立てたっていい、なんなら歌ったって、叫んだって、何かを思い出して泣いても、意味もなく笑っても、ひたすら眠ってもいい、寝るのにも暑すぎるからちょっと無理かもだけど。

あの時点で、世界でも有数の美しい海と砂浜とオールフリー、完全に何をしたっていい夏。
だから、本当になにもしなくていい。人に合わせる必要がない。仕事も、付き合いも、家族や友だちのあれやこれも。みんなとても大切だけど、それにコミットし続けるのは辛いし、疲れる。今だって、スマホやSNSをちょっと鬱陶しく感じることがあるだろ。
一緒なのよ、時代は変わってもさ。

そして夜になると民宿のスタッフゃ他の旅人や近所の人たちと一緒に星の下で酒を飲む。もちろん泡盛だ。

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