散漫な記憶を拾い集めて こぼれ2
滋野氏とジャンヌことジャーヌ・エイマールさんとの出会いがどのようなものだったかは、よくわかっていません。ただ、コウノトリ飛行大隊を題材としたフランスのマンガ(バンド・デシネっていうんですね)には、戦闘中の怪我で入院した滋野氏が看護婦のジャンヌさんと出会い、恋に落ちるというシーンが描かれているそうです。
それが本当ならまさに恋愛マンガに最適のシチュエーションですね。ちなみにその作品「エーデルワイスのパイロット」は日本語翻訳版も出版されていてamazonで購入可能です。
さてさて、フランス空軍のエースパイロットとして第一次世界大戦の終戦を迎えた滋野氏は1920年、ジャンヌ夫人と娘の綾子さん(次女※先妻和香子さんとの間には長女露子さん)を伴って日本に帰国します。
帰国後は2人の男の子に恵まれます。長男、清鴻(きよとり)さん、次男、清旭(きよひ)さんのお二人です。
実はこの二人が滋野氏の音楽系DNAを受け継いでいたというお話でして。
戦後のジャズシーンに詳しい人ならジャック滋野(清鴻)、ロジェ滋野(清旭)といえばよくわかるかもしれませんね。
長男のジャック滋野氏は三木鶏郎やジョージ川口と同じバンドで活躍した名ジャズピアニストです。「和製カーメン・キャバレロ」と称されました。現在の横浜国立大学出身で、パイロット志望でしたが敗戦で一転、音楽の世界へといったあたり、音楽→パイロットの父滋野清武氏とは真逆というか、似てるというべきか。いずれにしても日本の戦後音楽シーンを彩った人物に違いありません。
といったところで明日は弟のロジェ滋野氏について書いてみたいと思っています。