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全国大会とマイクロツーリズム

いよいよ高校ラグビーも大学ラグビーも佳境に入ってきました。それと同時に新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が出されるのも時間の問題かという状況です。
 ラグビー協会は、それを受けて「検討」に入ったとの報道も。まぁ、事実は、わかりませんが、もしそうであるならば「判断が遅い」と言わざると得ないでしょう。この様な状況は、随分前から想定内のはずです。このタイミングで開催条件の明確なガイドラインを示すことで、その存在感を示せたのではないかと残念に思います。
 コロナ禍のヨーロッパの取り組みを見ると各国は深刻な状況の中、国内一律ではなく地域ごとの感染状況に応じて、段階的な規制をしていると報道されています。0か100かでなく、どうすれば感染拡大を防ぎ、経済を回すかの試行錯誤が弾力的に取られてい流という事です。
 それで、前回は、できるだけ多くの子供たちのプレー機会を増やすために「リーグ戦」にすべきであるという内容でしたが、今回は、教育的な視点だけでなく、地域活性や経済的な視点からもリーグ戦が良いと考えています。
 トーナメント制の場合、下位チームは、1、2試合で終わってしまいます。上位チームも山場は、トーナメントの最終1、2試合になります。観客のどちらかの応援となるケースが多いので来場者数も自ずと限られてきます。また、少子化などにと前回の強豪チームに人が集まる仕組みであるトーナメント制では、大会の試合数も自ずと減ってしまいます。一部のチームだけに人が集まる仕組みでは、全体からみるとその競技人口はなかなか増えることはありません。これでは、どんどんスポーツに参入するベネフィットは失われていきます。
 しかし、リーグ戦では、一定人数を確保すれば試合数は減ることはありません。1つ1つのチームの人数は、それほど多くなくても各チームが少しでも人数を増やすと全体での競技人口が増えていきます。
 課題となるのは、経済的波及効果を生み出すためにどの様な大会つくりをするかになります。経済的波及効果を生み出すためにどの様な大会つくりという大会そのものの価値をあげる活動は、トーナメント戦でもリーグ戦でも同じ様に、今後、より取り組んでいかなければなりません。
 今までの様に、全国から一堂に人を集めての「全国大会」という仕組みは、現在のコロナの状況を見たとき、開催の有無や移動などかなり難しい対応に迫られるのは確実です。
 そこで、できるだけ一定の地域で完結できる大会つくりで、移動も制限できる様であれば、地域の状況によってスポーツを止めることをせずにすみます。また全国大会も、全国を9〜12ブロックにして、都道府県からの地域代表、ブロック代表、または、現行の国体チームにでもいいのではないかと思います。
 昨年から私は、女子7人制ラグビーのリーグ戦のシリーズ大会を創設しています。その大会方式は、前述した地域リーグの創設で、地域に根ざし、一定地域の経済的活性と人材の地域定着を理念としています。


 それは、奇しくも星野リゾートの星野佳路さんが提唱されているマイクロツーリズムの理念と合致します。マイクロツーリズムとは、自宅から1時間から2時間圏内の地元または近隣への宿泊観光や日帰り観光を指す。マイクロツーリズム商圏内の人口規模が小さい地域もあるが、リピート利用の潜在性は高く市場規模が小さいとは限らない。繰り返し利用してもらう仕組みを持つことで持続可能で安定したマーケットになるというものです。

 スポーツも同じで、一定地域の中で、しっかりと成長できる「場」があれば、プレーヤーは成長できます。これは、野球選手で初のメジャーリーグにいったパイオニアである野茂投手やメジャーリーグのレジェンドとなったイチロー選手が日本といった1地域でプレーしていても大人になってから大きな世界で戦えるということを証明してくれています。  

 地域で成長できる場をいかにして作るか?また地域経済とどう繋がっていけるかを考え、実行することが、今後の日本のスポーツの発展に必要不可欠なことです。

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