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「貧乏暇なし」状態には、自ら望んで陥ることが多い。北イタリア旅行記。

イタリアではオーケストラ活動が本格的に再開し、嬉しい限り。しかし大事な本番も多くなってくるので、ロックダウンで優先順位が落ちていた楽器の健康チェックが気になってきた。特に弓。僕はクレモナに工房を構えるイタリア人作家の弓を愛用しているのだが、オーケストラでの使用が増加し消耗も進み、そろそろ巻き線やねじを交換する必要を感じていた。できるなら生まれ故郷で綺麗な身体にしてあげたい・・・という訳でクレモナ行きを企画。

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さてアポを取り、写真も送って作業内容も説明し、「朝早く着くようにするので、当日中に受け取れるようにしてください」と普通なら無茶なお願いをして了解を得た段階で、一件落着のはずである。ところがここから、「せっかく4時間ちかくかけてクレモナまで行くなら」という考えが頭をもたげ始める。貧乏暇なしと言うが、要は自分のケチ根性で自分の首を絞めているのである。

まずは、ついでに他の弓も試させてもらおうと、自分のコントラバスも持っていくことにする。言うまでもなく、コントラバス有りと無しでは旅行の難易度は各段に変わる。まぁ、今回は車だしなんとかなるだろうと気楽に出発。結果的には気に入った弓があり、真剣に購入を検討中。こうして考えるべきことが芋づる式に増えてゆく。

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更に、クレモナから車で1時間ほどの場所にあるボッテジーニの生まれ故郷クレーマ市にも足を延ばすことにする。ここでは下手なVlogを撮影し、YouTubeに恥を晒している。あと図書館で、前回訪問時はコピーしなかった更にマニアックな資料を入手。

クレモナに戻って修理済みの弓を受け取り、またも1時間ほど運転してマントヴァという町の郊外に住む友人家族を訪問、晩ごはんと一夜の宿をお願いした。オンラインでは時々話していたが、やはり直接会って遊んだりご飯を食べたりするのは格別。イタリアの蛍はせわしない光り方をするのも新発見。この日は朝5時過ぎに出発し、日中はずっと運転したり歩き回ったり研究活動をしたりした挙句、夜11時まで人に会っていた訳で、なかなかにキツイ。

しかし、翌日は休日で自由が利いた妻と、フェッラーラというマントヴァから2時間弱の町で待ち合わせ、観光することにしたのだから自分でも呆れる。そのために朝も早くに友人宅を出発。妻も早起きして当日にトリエステから電車で到着。フェッラーラはコロナ禍で最初にキャンセルになった一連のコンサートで滞在するはずだった町で、その時の悔しさを取り返せ、という意味で企画した。

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この劇場で弾くはずで、近くに短期滞在のアパートも手配して準備万端だったのに!コロナのバカヤロー!しかしフェッラーラは丁度良い規模の美しい町で、大満足。

という訳で、日数にすればたった2日間なのに、感覚的には4日分くらい活動した印象であった。いつか、もっと心に余裕を持って、これと決めた用事だけを集中してこなせる日々がくるのだろうか・・・自分にはまず無理な気がする。

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