「ゴブリンでもわかるゲームプログラミング」第30話 ~読むだけでゲームプログラミングがなんとなくわかるようになる謎のファンタジー小説~
本作は連載作品です。第1話は下記です。
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「ユキ……ユキ……」
(ん……?)
「ユキ……大丈夫か……?」
(んんん……? この声は……アイシャ……様……?)
「ユキ……こんなところで寝ていては風邪をひくぞ……布団を敷いたからせめてこっちで……」
(りょーかいです……あ、そうだ……弾の同時……同時発射ができるようになったんだった……アイシャ様に報告……しなきゃ……同時……同時……)
「発射できますぅ」
「ちょっ! ユキ……! 急に……急にどうした……!?」
(…………アイシャ様は夢の中でもいい人だなぁ……)
◇
ちゅん……ちゅん……ちゅん……
朝の陽ざしが研究開発室の窓に差し込む。
(…………えーと……これどういう状況……?)
ユキは目が覚め、布団からむくりと上半身を起こす。
隣には、アイシャ・イクリプスさんらしき人がスヤッスヤと眠っている。
(うーん……何も思い出せん……)
「………………」
「あ……ユキ…………おはよう……」
「っっ……! お、おはようございます」
「え、えーと……アイシャ様……恐れ入りますが、これってどういう状況ですかね?」
「……ユキ……覚えてないのか?」
アイシャは少々、寂しそうに上目づかいで言う。
「え……えぇ……実は何も……」
「そうか……昨日は……その……すごかったぞ……」
「っっっ!?」
(何が……!?)
◇
「というわけで、ソレハ、オーエス、見てくれ! ユキが改良したこの魔法具……! すごいだろ!」
「「おぉおお……! すごいです!」」
研究開発室にやってきたソレハとオーエスに、アイシャは昨夜、ユキが開発したスプリンクラーのように冷気を撒く魔法具のお披露目をする。
「…………」
(……アイシャ様が言っていた「すごかった」って魔道具のことか……いや、しかしアイシャ様に、特に何も粗相をしていなくてよかった……)
ユキは本気でほっとする。
まぁ、実は全く粗相をしていなかったというと、そうでもないのだが、本人は忘れている。
と……
「アイシャ様、ユキくん、実はねー、こちらの方もついに準備が整いましてー!」
ソレハがそんなことを言う。
(ん……? 準備……?)
「ユキくんー、最近、我々はほとんど研究開発室にいなかったでしょー?」
「え……? まぁ、確かに」
「遊んでいたわけではないのだよーー!」
(そんなこと思ってませんよ……)
「実はアイシャ様に頼まれてー、とあるモノを準備していたのですー!」
(アイシャ様に……?)
「というわけでー、ちょっとついてきてねー!」
というわけで、ユキとアイシャはソレハ、オーエスに連れられて、別の場所へ移動する。
「ここですー!」
(ここは……?)
ユキが連れられてきたのは、野外にある倉庫のような建物であった。
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