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なぜNateeは3年半前からTikTokに全張りできたのか

「私たちはいつも、今後2年で起こる変化を過大評価し、今後10年で起こる変化を過小評価してしまう。無為に過ごしてはいけないんだ。」__ビル・ゲイツ

今年は月に1本noteを書くと決めたものの、こんなにハードルが高いと思わなかった。。毎月月末にひぃひぃ言いながらカタカタ文字を綴っています。

今日は改めてNateeの本業である「TikTok」についての記事を書いてみようと思います。ご存じない方もいらっしゃると思うので先に自己紹介をさせていただくと、2018年11月にNateeという会社を創業しまして、それ以来一貫して「TikTokのクリエイターさんを活用したプロモーション支援」をやり続けて早3年4ヶ月になります。

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従業員は17名ですが、月次の売上もようやく1億円を超えて、まだまだ成長しているスタートアップです。

今でこそ日経に「TikTok売れ」なんて取り上げられていたり、テレビでもTikTokで有名になった人が出演するなど、TikTokがメジャーシーンになってきた感がありますが、創業した当時はまったくそんなことはありませんでした。

そこで今回は「なんであんな早くからTikTokに全張りできたんですか?」と最近よくされる質問に対してのアンサーエントリーを書いていこうと思います。創業事業としてTikTokを選んだ理由は明確にいくつもあり、今もその目線はまったく変わっていないです。

ちなみにこちらが創業当初書いたTikTokに関するnoteで、当時むちゃくちゃバズった部類かと思います。被る内容もありますが、こちらを先に読まれても面白いかもしれません。

では一つずつ理由を列挙していきます。

①通信の発展により動画の時代が来た

僕は元々エンジニアだったのでテクノロジーの発展がすべての産業の根幹にあると思っているタイプの人です。そしてその中でも一番人々に影響を与えているのは「デバイス」、そのデバイスに載っかるアプリを左右するのが「通信規格」だと理解しています。

Twitterができたのは2006年(3G)、Instagramは2010年(LTE)、TikTokは2016年(4G)なので、わかりやすく通信規格がバージョンアップするにつれてメディアの情報量もテキスト→画像→動画と大きくなったんですよね。

カッコつけて書いてはいますが、「5G」という概念がむちゃくちゃ流行って動画スタートアップがたくさん生まれたのが2017年だったので、まあ当たり前のことを書いてますw

ちなみに5Gの時代は、(今更感がありますが)ライブ配信だと思います。

②デバイスに最適化されたショートムービーフォーマット

その当時、僕がむちゃくちゃ言われていたのが「人間の視野角は横にできているから、縦型の動画は流行らない」「横向きの動画に慣れているから、縦型の動画は違和感を感じる」でした。

でも僕の見解は、人間の行動は昔から「デバイスに最適化される」のだから、縦型の動画の方に軍配が上がるという確信がありました。

スマホができた当初の撮影風景を見ればみんなカメラを横にして撮っているのがわかります。でも、4年前Twitterに上がっている動画を見たらぜーんぶ縦型だったんですよね。

人間って恐ろしくめんどくさがりなんです。縦型で使うスマホを写真の時だけ横に持ち直すなんて、そんなめんどくさいことはしたくない。最近YouTubeだってスマホを横向きにして見なくないです?縦型のまんま小さい画面で見てる人は相当増えたと思います。

「フリクションレス」という表現をしたりしますが、とにかく人間はめんどくさがりなので、ワンクッションでも置いてしまうとやらない。だから画面遷移は一回でも少なくしないといけないんです。

スマホに特化した縦型で、サクサクみれる短尺動画というTikTokが受け入れられないわけがないと思いました。

③テキスト検索エンジンから動画レコメンドエンジンへ

TikTokを初めて触った時のことを今でも覚えていますが、「ついにAIネイティブのアプリが生まれたんだ!!!」と相当衝撃を受けたんですよね。

TikTok以前のインターネットは、テキストで検索して自分で見たいコンテンツをクリックするという能動的なものでした。

でもTikTokが創り出したAIアルゴリズムを前提としたサービスは、とにかく受動的に作られている。このnoteを読むような勉強熱心な方は能動的な人生を送っていらっしゃると思うんですが、ほとんど全ての人は受動的に生きてます。

テレビはオワコンと言われて久しいですが、いまだに年間1.8兆円の広告予算があり、日本に対して絶大な影響力を持ち続けている唯一のメディアです。そんなテレビのユーザー体験はリモコンを押せばとりあえず何かは流れてきて、あとはチャンネルを回してその中から自分好みのものをダラダラと見る。あれ、なんだかTikTokっぽいですよね。

YouTubeのように検索して、何を見るか選んで、っていうのは選択を迫られるので脳は小さいストレスを感じます。TikTokが提供している、とりあえず出てきた動画をスワイプしてるだけで、どんどん自分好みの動画だけが出てくるようにパーソナライズされていく体験はあまりにラクで、めんどくさい人間にとって願ったり叶ったりなわけです。

TikTok登場以来、YouTubeもInstagramもTwitterもトレンドタブだったり、レコメンドエンジンを強めていくことになりますが、AIネイティブなTikTokがその先駆けでした。

余談ですが、サイバーエージェントの藤田さんとちょっとだけお話しさせていただく機会があった時に、上記アルゴリズムの話などをしていたら「君はあのアホみたいなアプリを日本で一番賢そうに語るね(笑)」といったコメントをいただきました。褒め言葉と思って受け取っていますw

④PGCからUGCへ

これももう一つの流れですね、UGC(ユーザー起点のコンテンツ)がどんどん強くなっているということ。

PGC(プロの作るコンテンツ)はNetflixが年間2兆円というバカげた予算をかけて作っていて、かつそれがグローバルに展開されていくのでプロが作るコンテンツクオリティは高まり続けています。それの裏返しとして、素人ユーザーが作るコンテンツの価値も飛躍的に高まっているわけです。

その点でYouTubeもテレビの民主化に違いないのですが、それでもスペックの高いPC、カメラ、動画編集ソフトを使いこなせるなどYouTuberとして活躍するまでに結構ハードルがあるのは事実。

TikTokはそれがスマホひとつでできたんですよね。加えて、YouTubeのように完全自由演技だとコンテンツ投稿のハードルは高くなりますが、TikTokはミームカルチャー(アレンジなどを加えながら真似し合う文化)をうまく取り入れることで、一般人の動画投稿ハードルを極限まで下げることができたというわけです。

広告に関してもプロが作ったバチバチに決まったTVCMよりも、自分と距離の近いクリエイターが自分の言葉で紹介している方が購買に繋がりやすいのは自明だと思いますし、実際に我々の事例でもドンキやロフトで品切れが連発してる案件は一つや二つではありません。

TikTokでは実際に商品が売れます。

⑤完全にDouyinの時代が来てた中国の状況

もう一つ欠かせないのが中国の状況です。中国では抖音(Douyin)というTikTokの元となるアプリが展開されていて、信じられないスピードで成長をしていました。

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papi醬というDouyin上で有名なKOL(中国ではインフルエンサーのことをKey Opinion Leaderと言います)が広告枠をオーディションした時、なんと約4億円で落札されました。一回の広告で4億円ですよ?笑

もう一つ驚いたのは、ほんとにそのへんにある屋台の店先で宣伝のためにTikTokのアカウントを載せていたこと。うわーここまで浸透してるのかって衝撃を受けました。日本ではちょうどインスタのビジネスアカウントが急増していたタイミングで、中国はすでに動画シフトがほぼされきっていた印象です。

加えて、BMW、Diorなどグローバルのハイブランドも軒並みDouyinのアカウントを開設して動画を投稿していましたし、人民日報や共産党の青年団などの公的機関に近い存在もDouyinで情報発信をしていました。

うわー、日本もこうなるんだなーと非常に大きな衝撃を受けたのを思い出します。当時、「日本でもニュースメディアが軒並みTikTokにアカウントを作る時代が来ますよ!」と勇み足で営業していたんですが、誰も相手にはしてくれませんでした...笑

⑥ByteDanceの技術力と財力と...

そして極め付けはTikTokの開発会社ByteDanceの底力でした。

その当時「これからはシリコンバレーじゃなくて深圳だ!」みたいなことが言われ始めてた時で、いやいやそんなことないでしょとシリコンバレー脳の自分は思っていたのですが、AlibabaとByteDanceを見てその見解を変えることになります。

ByteDanceは北京大や清華大など中国のトップスクールや海外のトップスクールのAIエンジニアを大量に雇って、とにかくAIをベースに事業運営していました。日本で言うSmartnewsみたいなレコメンド型ニュースアプリ『今日頭条』も爆伸び、ショートムービーのDouyinも爆伸び、GAFAと比較しても圧倒的な売上成長率、多額の利益計上。

そんなByteDanceが当時注力の海外拠点としてアメリカと日本とインドを置いていたので、これはどんなことがあっても日本のTikTokは伸ばしきるだろう、というのは事業をやる上での最後の後押しになりましたね。

僕の誤算

この通り、非常に多角的な観点からTikTokが絶対に日本でも爆伸びするという確信を持って、そこに生まれる才能を支援しようと決意したわけですが、もちろん全てのヨミを当てているわけではなくて、誤算もありました。

①もうちょっと早くクリエイターが稼げる世界が来ると思った

中国の事情を見ていたら、オースティンというKOL一人で年間100億円くらい売上がありました。その多くは、ライブコマースでの売れ行き。

彼の事務所の前では多くのブランドが、「この商品を紹介してくれ!」と文字通り長蛇の列を成していたのです。それくらいKOLには購買に寄与するインパクトがあり、ネットの消費行動の中ではKOLの存在はもはや一つのデジタルマーケティングチャネルではなく、商品棚のような扱われ方をしていたんです。

そんな状況を見ていたので、日本のTikTokももっとコマースだったりが早く浸透して、巨万の富を得るクリエイターがすぐに生まれるだろうと思っていたのですが、その世界が来るのは正直まだ時間がかかりそうです。

②もうちょっと早くブランド(広告主)に受け入れられると思った

キャズム理論的に言うと、広告主のTikTok参入はアーリーアダプターが入り始めている時期が今だというのが僕の感覚です。

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「え、TikTok広告はもうマジョリティに浸透したでしょ!」と思う方もいるかもしれませんが、僕はまったくそんな風には思いません。

この前資生堂さんの美容部員が一斉にInstagramとTwitterのアカウントを開設したことが話題になっていましたね。つまり、そういうことです。

ユーザーが受け入れ始めてから広告が浸透するまでに2年、広告主でもマジョリティに差し掛かるまでにはおよそ5年はかかります。なので、TikTok広告はこれから本格的に伸び始めるわけです。

そんな熱い「TikTok売れ」の話をTikTokさんと同業のHADOさんと一緒にwebinarをやらせていただきますので、ぜひご興味ある方はご参加ください!

おわりに

むちゃくちゃドヤってしまい恥ずかしい気持ちもありますが、技術革新、マーケットのトレンド、ユーザーの機微をきちんと抑えておけば、だいたいの未来を予想することはできると思います。

ただ、「そのトレンドがいつくるか」はどんな手練れの経営者でも当てるのは難しい。だからこそ経営は長く続けることがとても大切だし、自分の望む未来をどうにかして作りにいく必要もあるよね、と常日頃から思ってます。

Nateeではこれから始まるTikTokの時代にナンバーワンでい続けるために、積極的な採用を実施しています!TikTokに興味がある方、クリエイターエコノミーが好きな方、スタートアップで青春したい方、経営に近い距離で圧倒的に成長したい方、ぜひ気軽にTwitterのDMでもWantedlyからでもご連絡くださると嬉しいです!

ちなみにNateeはTikTokだけで終わる会社ではなく、新規事業でコンシューマーアプリも鋭意開発中ですので、そちらもご興味ある方はぜひお話しさせてください!

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