「あと半年で倒産する...」その絶望から2年経った今、赤裸々に振り返ってみる。
Nateeは2024年11月1日で6周年を迎えました。
そして毎年恒例で発表しているクリエイター還元金額は累計22億円に達し、6期の4Qは今までの倍近くの還元額になりました。必然的に売上も過去最高のギネスを大幅に更新することができました。
一昨年は「累計還元額5億円」を発表したので、2年で4倍超になったことになります。まだまだ大きい金額ではありませんが、個性と才能で生きられる社会を推進してきたことを誇りに思います。
でも、その道は決して平坦ではない、茨の道でした。少しだけ、Nateeのこの激動の2年間を振り返らせてください。
「あと半年で会社が倒産します」とアナウンスした5期
Nateeはちょうど2年前の11月にシリーズBを実施し、エクイティとデットで合計4.2億円の資金調達を発表いたしました。
この時は「来期は3倍成長だ!新規事業もガンガンやるぞ!」とイケイケドンドンな雰囲気で、自分としても非常に強気のメッセージを社内外に発信していました。
ただ、稚拙な事業計画しか引いてない中で資金管理もできておらず、2ヶ月くらいかかって月次会計が締まって初めて経営数字がわかるといった状況で、それでいて毎月6-8人ほど入社をしており、なおかつ新規事業も2つ始め、さらには売上を立てていたエースを横断プロジェクトにアサインしたりといったことをどんどんやっていました。
結果、明らかな経営判断の間違いで大赤字を垂れ流し、資金調達直後にも関わらず、あと半年で会社が倒産するような状況に陥りました。部長陣で資金調達の写真を撮影した直後に出てきた月次試算表を見て、サッと血の気が引いたのを今でも鮮明に思い出します。
全社にも状況を説明した上で「不退転」の覚悟で、ありとあらゆるコストカットを進めました。申込直前だった新しいオフィスへの移転も断念、しまいにはオフィスに置いていたウォーターサーバーさえも解約する始末でした。後から社員に聞いたら「当時は電車賃も経費申請控えてました…」みたいなことを言われて、会社を思ってしてくれた行動に嬉しい気持ちも多少ありつつ、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
当時やっていたアバターライブ配信のアプリも、公営競技系VTuber事業もどちらも閉じることになり、売上を1円でも多く立てようと必死にもがきました。全ては生き残るためでした。
週2出社のルールも週5出社にし、加えて部長以上は毎週のように土日もMTGをし、まさしく緊急事態宣言下の如く、全員が一丸となって毎日戦っていました。当然誰もが「この長く暗いトンネルはいつ抜けるのだろうか」と疲弊し、苦しい雰囲気が社内全体を包み、体調不良者も後を絶えない、そんな状況が数ヶ月続きました。
それでも踏ん張って戦い続けてくれた社員のおかげでトンネルの先に少しずつ光が広がり、4ヶ月でなんとか単月黒字化までたどり着くことができました。
1Qで1億の赤字を出したものの2-4Qでその赤字分を全て取り返し、最終的には通期黒字で終えられたのは、当時のメンバーのおかげでしかありません。本当に心から感謝しています。
ただ、その代償はとても大きかったです。組織効力感はなくなり、経営に対する信頼は地の底をつきました。自分も経営者としての自信を失い、正直めちゃくちゃ苦しい1年でした。立て直す期間はただ必死でしたが、いざトンネルを抜けた後の方が感情的には地獄のような日々でした。
「なぜこんなつらい思いをしてまで経営をしているのだろうか」と自問自答もし、現実から目を背けていましたし、口を開けば「マーケット環境が〜」とか、外部環境のせいにしていました。思い返すたびに、なんてダサい発言や生き方をしていたんだと自己嫌悪に陥ります。今ならお前の気持ちが痛いほどわかるぞ、三井。
「Stay Positive」を掲げた6期
そんな中で、自分が一番変わらなくちゃいけないと思わされる出来事がいくつか発生し(ここのドラマはもう少しNateeが大きくなったら、いつか書けるかもしれません)、心を入れ替えて再び戦おうと迎えたのが6期のキックオフ。
その頃なぜか「Stay Positive」という言葉が頭から離れなくなり、元々スローガンを掲げるようなタイプではなかったのですが、それを6期のキックオフで一年間のアイコトバとして発表をしました。
仕事は、楽しいこと、うまくいくことなんて1%くらいしかなくて、99%くらいはめんどくさくて、つらいことです。でも、それでも腐ったらそこで試合終了。どんな状況でも、自分が前を向くスタンスを取り続けること。
Positiveという単語はOptimistic(楽観的)とは全然違います。元々はラテン語の法律用語で「合意によって決められた確定的なもの」という、「自然」と反対の意味で使われたのが語源で、そこから「絶対的な」「自信がある」「建設的で良いものに集中する」といった意味に派生をしていきました。
Positiveとは、自分の人生への向き合い方として、能動的で積極的であるスタンスのことです。「Stay Positive」はそんなスタンスで経営をしていくんだ、という自分への戒めでした。
そしてメッセージに呼応してくれたメンバーを中心に「ステポジ委員会」が自発的に立ち上がり、会社をステポジムードに持っていくことにものすごい貢献をしてくれました。ステポジスタンプ、ステポジステッカー、ステポジトレーナーなども作り、ステポジポスターも会社のいたるところに貼るようにしました。年に一度のアワードでも「Best Stay Positive Award」を新設しました。
自分自身も、それまで全くと言っていいほどしてこなかった社員との飲み会も意識的に増やし、一人でも多くの人がポジティブに前を向いて仕事に取り組めるようにしてきました(ただ飲んでるだけだろ、という社員からのツッコミはスルーします)。そんな発信を1年間続け、Stay Positiveという姿勢はかなり社内に浸透したと思います。
お世話になっている顧問の方にも「ここ数ヶ月のお前は覇気もなくて死んだような顔してたけど、今は一皮剥けたな。本当にいい顔してるよ」と言っていただくようになりました。
結果として、6期は売上利益ともにギネスを達成することができました。
そして業績だけではなく、新しい取り組みも芽が出たのが6期の大きな変化だったと思います。年明けからWOWs(ワオズ)という事務所を立ち上げ、中高生に大人気のウンパルンパや、日プでおなじみのYUMEKIなどが所属することになり、当初引いていた事業計画を大幅にハイ達成することができました。
中には月収が370倍になったクリエイターもいたりして、こうやってまたクリエイターと近い距離でわちゃわちゃやれるようになったのは僕としても非常に嬉しいですし、今後はもっとたくさんのクリエイター起点の仕掛けを作っていきたいと思います。
まだ未発表ですが、自分と取締役の朝戸、新卒+業務委託メンバーという超少数チームでAIの子会社も立ち上げまして、創業役員が2名ともコミットしてやっているところです。
また新規事業始めて大丈夫なんかい?という声もありますが(僕の心のなかにももちろんある)、まだまだ足りないとは言え予算管理の仕組みはかなり整ってきており、キャッシュもちゃんと積み上がってきている中なので、同じことを繰り返さぬようリスクコントロールしながらチャレンジをしていきます。
「一枚岩」になる7期
そしてそんなStay Positiveなマインドセットを持った組織になってきた7期は、「一枚岩」をスローガンに掲げることにしました。
人数が増えて、部署も増えて、事業も増えて、会社も増えてきた中で、どうしてもバラバラに動いて個別最適が進んでしまう感覚があり、情報共有もなかなかうまくできていないことによるコミュニケーションコストが大きくなっていたタイミングで、9月から部長陣以上の「一枚岩会議」というのを始めました。
以前サイバーエージェントの曽山さんがNateeに講演に来てくださった際、「成長している限り、組織のトラブルがなくなることは絶対ないです!むしろ大きくなっていきます。でもそれが当たり前なんです!!」とおっしゃっていました。
複数の動きが生まれてくる中では必ず下記のような対立がたくさん起こってきます。
セールス vs デリバリー
事業部 vs コーポレート
経営 vs 事業
既存事業 vs 新規事業
古参 vs 新参
今までのやり方 vs もっといいやり方
歴史 vs 未来
意思決定も間違うし、人も増えてカオスにもなるし、個別最適も進むので全体のストレスがかかるのもあります。そういう時に、社内を向いて対立するのではなく、社外を向いてチームになろうという意味で「一枚岩」にしています。
そして昨日、博報堂で最年少で局長代理を務めた東谷さんにCOOとしてジョインいただいたことを発表しました。博報堂内でも一からクライアント開拓をしながら部署をどんどん大きくした方で、「TikTok屋さん」「ショートムービーが得意な会社」とだけ見られていたNateeのケイパをガッツリ拡張してもらっています!
Nateeの最大の特徴は、日本や世界を代表するブランド企業様と直取引をさせていただいている点です。直商流だからこそ、ブランドのこと、エンドユーザーのことを本気で考えた提案ができますし、直商流だからこそ、クリエイターの魅力を余すことなく伝えられると信じています。当然求められる提案のレベルも納品のレベルも高く、価値をお返しするのに必死ですが、東谷さんを筆頭にもっともっと成果貢献して参ります。
東谷さんの他にも上場企業やスタートアップの部長レイヤー、熱意とコミットあふれる若手なども続々とジョインが決まっており、会社としても人材の厚みが出てきました。
もっともっと顧客のために、クリエイターのために、社会のために、僕たちは社内ではなく社外を向いて一枚岩になって価値を返して還元していきます。
前を向いてコミットをする
経営危機の際にご迷惑をおかけした社員の方、内定者の方、業務委託の方、今でも思い出すと心が苦しいですし、申し訳ないと思っています。そこから我々は立て直ったんだ、なんて美談にして終わらせるつもりはありません。その刃は今も僕の心には刺さっていますが、それでも前を向いてNateeを成長させていきます。
Nateeは7期もたくさんの挑戦をします。そしてそのためには仲間が圧倒的に足りません。「スタートアップ」「クリエイター」「SNSマーケ」「AIミュータント」「Great Company」「人類をタレントに」など、少しでもピンと来た方はぜひお話させてください!
7期のNateeもよろしくお願いします。Go for Great Company!
サポートいただいた方には一人一人に感謝の返信を差し上げたいと思います!いつもサポートありがとうございます。