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【絵本】月の紳士 :さようなら編 第007話

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ついに月の紳士の居場所が分かった。

この世界には「月の紳士が住む街」があるらしい。

それは空にそびえ立つ「くびれた塔」。世界の果ての、そのまた向こうにあるらしい。

ここまで、3人はいろんな冒険をしてきました。

サメと仲良くなって海を渡ったり、小人と競争して滝を登ったり、コウモリを懐中時計の光で追い払ったり。サーカス小屋で隠れん坊をしたり。長い旅路でした。

「ついに、会えるんだね。」

「くびれた塔」を指差してパウロは言いました。

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この「くびれた塔」は、一度、立ち入ると「どっちが上か、どっちが下か」分からなくなるらしいです。そんな魔法がかけられた塔に、いよいよ3人は踏み込みます。

「ひゅー」

建物の外にはビル風が絶えず吹いています。その風に耐えながら、パウロたちは一つ一つ窓を覗いて月の紳士を探します。

「ボク、あの真ん中の大聖堂に月の紳士はいると思うんだ。」

パウロはつぶやきます。

大きなガラスモザイクは花の形をしています。そこからたくさんの光が差し込んで大聖堂の中は荘厳な美しさです。

その重い扉を、3人は力を合わせて押し開けました。

するとそこには「幸運の結晶」の露が入ったビンがあり、なんとその中には太陽の紳士がいるではありませんか。

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3人はその大きなビンに近づきました。その露は底の方がキラキラ光る青緑でした。その美しさに、ついつい引き込まれそうになるパウロでした。

長い長い旅でした。疲れたパウロは自分もその露を浴びて、旅を終わらせてしまいたいと願うほどでした。

「パウロくん。」

遠くから、大聖堂に響き渡る声。

びっくりして振り返ると、大聖堂の2階席に月の紳士がいました。

3人は飛び上がって喜びました。パウロとマイクは喜びをダンスで表現します。ジョニーは泣いているようです。

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3人と月の紳士は、大聖堂のベンチに腰掛けて、しばらく話し込みました。パウロにとって、こんなに嬉しい時間を過ごしたのはいつぶりでしょうか。たくさんたくさん話しましたが、月の紳士は相槌を打つばかり。

3人がした冒険の長〜い話が終わると、月の紳士はゆったりと宣言するように言いました。

「パウロくん、君には ”地球の紳士" になってもらうよ。」

「えっ、ボクが "地球の紳士" に?」

パウロは信じられませんでした。でも憧れの月の紳士から、そう言われて嬉しくて嬉しくてなりません。実は月の紳士が地球へやってきたのは、地球の紳士の新人募集だったのです。

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パウロは決意しました。

僕は月の紳士が大好きだ。もう迷いたくない。惑星の紳士の仲間入りをして、地球とその幸運を守ろう。そうパウロは強く念じました。

「パキッ」

懐中時計は粉々に砕けてしまいました。

「合格だよ。」

と月の紳士は言いました。どうやら、この懐中時計が砕けることが「新人募集」の合格基準だったようです。

「さようなら。」

パウロは言いました。マイクもジョニーも分かっています。今まで通り3人は一緒にはいられません。もうパウロは惑星の紳士なのです。マイクとジョニーはパウロに別れの歌を歌ってくれました。

2人と別れて涙を拭うパウロ。

旅の中では弱虫だったパウロも、今やたくましくなりました。

大聖堂の2階のデッキからパウロと月の紳士は飛び立ちました。月の紳士は月へと帰り、パウロはきっと「幸運の結晶」を探しに、また旅立つことでしょう。

「さようなら。」

夜空には一番星が輝いています。

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