詩の部品
無理やり詩を書こうとしている
言葉を掴もうとすると何かが逃げていく
多分僕が詩を好きならば
嫌になってしまう時でも詩を書きたいと
思う筈だ
けれどそう思わないってことは
詩が好きではないってことなんだろうか
僕が生きてきた中で使った言葉たち
今思いついたものたち
知っていても使わなかったものたち
不思議だ言葉を書いていて
指先が止まる瞬間が
一番詩に近づいている気がする
強い言葉や思いが見当たらなくなる
不意に思いがけない言葉が繋がって
詩らしきものが現れた
言葉同士が擦れ合う音で
出来上がった一行は
進むと後退が混じり合い
溶け合った頃
次の段落へ向かう
この何という頼りなさ
でも正しくそれこそが
詩の部品
あの日
旧いアパートの二階から見た
美しい朝焼けと同じように
世界に存在しようとして
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