言葉の薪
ねえ何で言葉があるんだろうなあ
気落ちを伝えるため
気持ちをはぐらかすため
気持ちを落ち着かせるため
それとも気持ち以外の何かを知るため
ねえ何で言葉にしてしまうのかなあ
言葉の嘘と本当は言葉の手足で
私はその身体を持て余してしまう
ねえ黙っているということは
言葉の間と間のことですか
それとも言葉は沈黙と沈黙の間のことをいうのですか
生きるために言葉が必要なら
沈黙もまた 大切なものらしいと
そうらしいとおぼろげにはわかるのですが
風は言葉を持たない
空も海も枯れかけた樹木も
今にも倒れそうな萎れた花でさえも
一言も言葉を発しない
何故だろう
私たちは風をかんじるといい
空や海を美しいと讃え
枯れかけた樹木に手をあて話しかけ
萎れた花をまだ愛する
生きることは豊かな沈黙に支えられているのに
沈黙に耐えきれない言葉が
私たちを迷わせる
それでも尚
声をかけるあなたに
声をかけられる私が
ならばそれは
途方もない沈黙がくべられた
言葉でありたい
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