日曜日の深夜までかけて完成させた初の自作小説を、わたしは月曜朝に投稿した。 いままで読み専だったわたしだが、根拠なき謎の自信(寝不足ゆえのハイテンションか?)をもって投稿ボタンをタップした。 夕方の予約投稿にしたほうが良かったかも、とは後で気づいたが、投げてしまったものは仕方ない。学校にも遅刻だった。 *********************************************** その日の授業を終えてスマホを手にとり、わたしは自作小説のトップペ
※この文字起こしはフィクションです。 おう、俺だよ。俺だぁ。来てくれよ。だから俺だって。分かってんだろ?電話番号出てんだろ?分かってるんだよぉ。なんだよ、お名前ぇ?へへ、福山雅治。そうだよ、木村拓哉だよ。え?違ぇよ、バーカ!お前バカだな。バーカ!あ?そうだよそうだよ、ザキカワだよ。分かってんじゃねぇか。始めから分かってんだろう、が、よ!来いよ。来いよー!いいから来い。ご用件?俺はよ、お前んとこに毎月毎月高い金払ってんだからよ。来いよー!この電話だって通話料かかってんだよ。
一回戦 お題『真正面』 【蟹】 かーにーかーにかーにー 波打ちぎわ。幼な子が蟹を追っている。 ふっくらとした短い腕を不器用に振って、横這いに逃げる蟹を追い回す。 しまいにはハサミで指を挟まれて、予想だにしない反撃に驚き、泣き出してしまう。 かあ、かあ、かあ 波打ちぎわに舞い降りたカラスも、蟹をつつき始めた。 風切り羽が歯抜けになっている年老いたカラスだが、蟹の味は知っている。 蟹の脚を捕らえると、カラスは飛翔し、海沿いの県道へ向かっていった。 硬い路面に落として、おとな
※以下二編は惑星と口笛さまの第一回千字戦(お題を受けて20分以内に1000文字以内の文章作品を書き上げ、朗読し合って投票し、勝ち抜けを決める)に参加した作品です。 一回戦 お題【方向】 『アウトロー』 太陽はかんかんと照っていた。 「東へ向かうぜ。東はどっちだ!」 ここは砂漠のど真ん中。マントで身を包んだ連れが怒鳴る。 「猫が西向きゃ尾は東、だ。 俺が呟くと、毛むくじゃらの連れは一笑に伏した。 「犬だそりゃ! たとえ猫でも、お前さんの短か尻尾はひねくれて北を向いて
七 完璧な日曜日というお題が出されたことで、完璧でない日曜日という概念が生まれた。日曜日にとっての完璧とは、1日=24時間を満たしていることだろう。うるう秒でもなければ。 なるほどたしかに日曜日とは、体感24時間に満たないことが多い。予定していた用事は半分も済ませられないし、ジャック・バウアーは世界を救えない。 100パーセントの女の子と100パーセントの男の子が出会うのと同じくらい、完璧な日曜日は稀有だった。 六 「パーフェクトサンデーです」 にこにこ笑顔のウェイ
小説 『あたらしい街』|はまりー @travis02130213 #note https://note.com/travis02130213/n/n2bc4a99aa0e9 こんな時間になにやってんだー、と思いつつはまりーさんの『あたらしい街』の感想?を書きました。 眠くて要領を得ないし見当外れな気がするけど(noteのコメント欄には入りきらないし、Twitterに載せるには恥ずかしいので)ここに載せます。スピード感重視で。見当外れな部分は見なかったことにしてください。
まったく、もう! 小学校の帰りみち、加藤芽花(かとう・めいか)は怒っていた。 咲田くんへの芽花の想いを同級生の彩奈が言いふらしたことに、いきどおりを禁じ得なかった。 そして隣のクラスの咲田くんは放課後廊下で、芽花と合った視線をためらいがちに逸らした。いつもの和やかな笑顔を見られないだけで、そこから芽花が逃げだすには充分だった。 恥ずかしいやら悲しいやら、いろんな気持ちの混じった足取りで、学校裏手の石段を芽花は下りる。その先は坂道になり、五月の白い光がちらちら木の葉