koji itoyama 糸山晃司

Composer / 映画音楽家 HP : http://kojiitoyama.info/ Instagram : https://www.instagram.com/kojiitoyama/

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最近の記事

音楽の個展開催と最近の制作仕事について

9月末から10月中旬にかけて、福岡と佐賀で開催した展覧会「Listening / ecto」が終了しました。予想を超える方々に来場いただき、嬉しい限りです。 僕の制作をまるっと展示するという内容でした。 制作仕事たち 個展の後、秋〜冬にかけて仕事がなかなか立て込んでいます。東京現代美術館でのArtフェアへの音楽のインストール、大型商業施設のBGM、次なる海外の映画のサウンドトラックなど、11/4時点ではまだ世に情報は出せませんが、かなりチャレンジングな仕事がずらっと。完

    • Solo exhibition “Listening / ecto” を福岡と佐賀で開催します

      展覧会を福岡と佐賀で開催します。 FUKUOKA 9.27(Fri)-9.29(Sun) ,2024 At 二本木 (福岡市中央区平尾2-14-17) 13:00-19:00 SAGA 10.18(Fri)-10.20(Sun) ,2024 At ツー・バウンス (佐賀県佐賀市水ヶ江2丁目5-33 2F) 13:00-19:00 構想は2年くらい前からありましたが、ようやく実現します。4chのスクエアスピーカーでの音楽と、日本各地で撮影した記録映像、それから佐賀会場では

      • フィールドレコーディングの記録と建築/音楽を考える日々

        最近は、とある農場からの依頼で建築の音楽をつくっています。建築音楽はこれまでもたくさんつくってきましたが、改めて、フィールドレコーディングを使う音楽ならではのナラティブ生成とBGMとは何か?という問いの本質を考える日々です。 僕は建築も好きなので、よく(というかかなり)建築関連の本を読みます。 少し前の本だけど、これはいろんな建築家の頭の中が覗けてとてもおもしろかった。 これまでも今も、建築音楽には環境音を使うことが多い。そのままレイヤーとして敷く場合もあるが、加工して

        • 「大いなる不在」サウンドトラックのリリースに寄せて

          7/12、映画の公開に合わせてサウンドトラック(CD・ストリーミング)のリリースが決定しました。 元々はパンフレットに同封しようという計画でしたが、サントラを気に入っていただいた近浦監督・堀池プロデューサー、またGAGAさんの進言によりRambling RECORDSから単独でリリースする運びとなりました。ありがとうございます。 マスタリングは山食音の東岳志さん。尊敬するエンジニアであり、フィールドレコーディングの大先輩でもあります。依頼できて本当に良かったと思える仕上が

          録音と打ち合わせ、そして「大いなる不在」先行上映

          なんだか久しぶりの東京でした。依頼を受ける(かもしれない)映画の打ち合わせを2件、そして詩人、菅原敏さんの朗読のレコーディング、昨年音楽を手がけた映画「大いなる不在」の先行上映と、一気に数件の予定を詰め込んだ出張でした。 毎度のように、3日目あたりから田舎に引っ込みたくなります。東京滞在時は移動の都合の良い都心のホテルを選ぶのですが、次からは郊外を選ぼうかな、なんて思ったりします。 ーーー 2件の打ち合わせ(というか顔合わせ的雑談)は純粋に楽しく、お会いできて本当によか

          録音と打ち合わせ、そして「大いなる不在」先行上映

          Demo Reelの制作と個展の準備

          音楽家にとって必要かどうか分かりませんが、少し前にDemo Reelをつくりました。これまでの映画・CM・舞台・インスタレーションのいくつかを3分くらいの動画にまとめました。 冒頭の映画「大いなる不在」は、7月12日に公開が決まりました。サン・フランシスコ国際映画祭でグランプリを獲得した後、最高の凱旋となります。現在、鋭意サントラのマスタリング中です。 個展の準備 今年の秋に個展を開催することにしました。個展というか、鑑賞会。普通ミュージシャンはアルバムを発表したらライ

          Demo Reelの制作と個展の準備

          Ambientの即興演奏は轟音にしては品がない

          タイトルの通り。今までもそうしてきたけれども。 改めて制作の合間の気分転換にimprovisationをやってみた。 使った楽器は、ティンシャ、シンセサイザー、シンバル、ピアノ、ギター。シンバルはボウイングで。 音数は増えても音楽的な圧が必要以上に大きくならないことを意識してみた。轟音のアンビエントやドローンは正直、誰でもできる。混ぜすぎて濁った絵の具みたいで品がないので。 ひとつひとつの音がソリッドでないと轟音になってしまうので、そこに気をつけながら。 仕組みはシン

          Ambientの即興演奏は轟音にしては品がない

          受難曲 Passion -Clanio 音楽制作の記録

          2024.03.20 受難曲の小曲集をリリースします。「受難曲」とは、イエス・キリストの受難を描いた音楽作品のことで、有名なのはバッハのマタイ受難曲。僕も気分が沈んだ時はこのバッハのマタイをよく聴きます。 今回リリースするこの現代版の受難曲(Passion)、全トラックのタイトルは思い浮かべた映画の題名から拝借しています。基本的には「無題」ですが、無題ってアートじゃありきたりであまり好きじゃないので。 クラシカルな音を軸にしようと決めて制作をはじめたので、オルガンがほとん

          受難曲 Passion -Clanio 音楽制作の記録

          日本各地、フィールドレコーディングの旅をした2023年末

          2023年の12月、静岡〜福井〜京都、そして長野にてフィールドレコーディングをした。環境音を使った作曲仕事の依頼があったから実施。狙ったのは冬の山の音。 ZOOM H3-VRによるアンビソニック録音と、モノラルマイク2本によるステレオ録音の両方を、音場の雰囲気によって使い分けた。 松本では白樺が霧氷で倒れた光景に圧倒された。ここでは遠くの木々が揺れる音と鳥の声、近接の風の音を採集。冬の山の少し悲しい感じをまるごと切り取れた。 真冬の山はかなり寒かった。フィールドレコーデ

          日本各地、フィールドレコーディングの旅をした2023年末

          listudeのスピーカーと、建築空間のBGM制作を小豆島にて

          小豆島にある千年オリーブテラス @1000olive_terrace の空間音楽を制作しました。素敵な建築はVUILD @vuild_official 、スピーカーはlistude @_listude 。至高の組み合わせだと思います。 千年オリーブテラス:https://1000olive-terrace.com/ 音楽はピアノ、ソリッドなアンビエント、それから小豆島のフィールドレコーディング音源をふんだんに使いました。また、オリーブの木から採集した電波を音に変えるという

          listudeのスピーカーと、建築空間のBGM制作を小豆島にて

          映画『大いなる不在(GREAT ABSENCE)』劇伴音楽制作過程について

          近浦啓監督作品 『大いなる不在』 森山未來 真木よう子 藤竜也 原日出子 トロント国際映画祭の主要コンペティション(Platform部門)に正式出品された。この部門、歴史が浅いという理由もあるが、日本映画が出品されたのは史上初。文字通り快挙である。 トロント国際映画祭は北米随一の映画祭であると同時に、世界3大映画祭にも迫る規模と影響力を持つ。 さらに、サンセバスチャン国際映画祭のオフィシャルセレクションにも出品が決定。日本からは、「君たちはどう生きるか」と本作の2作品の

          映画『大いなる不在(GREAT ABSENCE)』劇伴音楽制作過程について

          新作「ecto / region」「ある風景 オリジナルサウンドトラック」リリースについて

          2022年の秋頃から少しずつ制作を進めていた新作がようやく完成しました。 全12曲で、サポートミュージシャンにKumi Takahara(flau)、マスタリングにChihei Hatakeyamaを迎えた自信作です。 このアルバムの起点は、昨年後半に取り掛かっていた映画の劇伴です。そのときのとあるデモが今回の表題曲「ecto」として再構築されました。「ecto」には、ピアノとシンセサイザーを基調としたlargoとオーケストラ用に編曲したcodaという2バージョンがあり、

          新作「ecto / region」「ある風景 オリジナルサウンドトラック」リリースについて

          アルバム制作について

          最近の所感。 2023年に入って少しずつ制作を進めてきた4thアルバムのミックスが終了しました。全12曲。 昨年の映画音楽の最中に制作したデモが起点となったため、サントラのような作品ですが、今年の3月に第二子が誕生したため、生命の誕生というテーマにも浸食されています。第二子誕生の分娩室でこのアルバムのデモを流していたので、彼がこの世に産み落とされて初めて聴いたのは僕の音楽ということになりました。 リリースに関する情報はまだいろいろ未定な部分が多いため後日発表しますが、マ

          アルバム制作について

          某大手ハウスメーカーのPR音楽及び、新アルバムの制作

          クライアントワークが落ち着いたので新アルバムの制作の続きを行う日々。最近のクライアントワークは、某大手ハウスメーカーのPR案件。なかなかインタラクティブな制作であり、楽しかったというか性に合っていた。 ここでも新アルバムでも、シンセサイザーを再びフューチャーしている。シンセサイザーとピアノ、それから室内弦楽をメインに使っているのだが、とてもいい感触。プロモーションではパフォーマンス映像も撮ろうかと思っている。なにしろシンセの見た目がかっこいいから。 昔はナチュラルなアンビ

          某大手ハウスメーカーのPR音楽及び、新アルバムの制作

          プリプロ、シンセサイザー、ピアノ、そしてフランスの音楽家からの影響

          2023年に入り、観光用のプロモーションビデオの音楽をいくつか手がけた。 作曲の仕事で忙殺されることもなく穏やかな日々を送れているので、ようやく次のアルバムに着手している。今日は家のアップライトピアノでマイキングのテストも兼ねたプリプロ。のはずが、思いの外いい録音ができたため、本ちゃんとするかもしれない。 今回もいくつかの曲で、昨年末の映画音楽で協力いただいた高原久実さんに弦を弾いてもらう予定。すでに一曲はもう録音データが手元にあって、とても素晴らしい。 次のアルバムは

          プリプロ、シンセサイザー、ピアノ、そしてフランスの音楽家からの影響

          最近の作曲仕事 最終ミックスと映画ダビング・ドキュメンタリー

          11月末〜12月中旬まで、東宝スタジオ(成城)で映画のダビングでした。夏から晩秋まで格闘していた劇伴も、この日程でひとまず終了。 8月末にメインテーマの初稿を提出し、10月に横浜で弦のレコーディング、それまでもそこからもずっと作曲続きでした。 ちなみに、今回はトラック数が多い曲を多く制作したので、ミックスではMMultiAnalyzerが大活躍でした。 全トラックに刺して色分けすれば各トラックの帯域が一眼で分かるという優れもの。音を可視化することでミックスが一気にやりや

          最近の作曲仕事 最終ミックスと映画ダビング・ドキュメンタリー