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脳波研究の100年: EEG技術と学際的アプローチの未来

思考を読み取る研究について、以前にも触れました。

後半に、夢をVRで表現するというファンタジーな世界もありますが、夢ではなく現実に研究が進んでいます。

最近の記事を紹介します。

ちょうど今から100年前に脳波の計測に成功しました。

Wikiによると、1929年にハンス・ベルガーが史上初めて人間の脳波を観測することに成功しました。興味深いのが、1935年にエドガー・エイドリアンと当時留学生だった山極一三(やまぎわかずみ)がアルファ波を観測したそうです。

山極氏は初の日本人脳波研究者となりますが、帰国後はその研究をやめてしまいます。理由が脳波研究自体が曖昧模糊としており、そこに踏みとどまる勇気がなかったと後年吐露しています。その場で、この研究には総合的な知見が必要であるというまさに予言めいたコメントも残しています。引用しておきます。

所謂脳波なるものが如何にも曖昧模糊としていて、何とでもいえばいえるようで而も何ともいい得ぬ真に掴みどころのないもの、という印象が強く、敢えて手を出す勇気がなかったのであります。私共の調べたアルファ波にしても、第一多数の人の中の私共二人だけが明瞭であったという事実は,それを以て正常の存在とすることの妥当か否かを疑わしめました。正常でなくとも確実不動の事実であれば、それを追求していくことも一つの切り込み方でありますが、ところが私共のアルファ波も必ずしも恒存というわけでなく、長い記録を取ってみますと特別の理由もないのに間々不明瞭な部分、不規則な部分、ひどく様子の異なった部分などがあるのであります。

(中略)

記録されたものがそのまま本質的なものか否かの疑問も当然湧きますが,批判実験のメドが立ちません。そこで方法を出来るだけ厳格に吟味した上で一応記録をそのまま受け入れて,真正面からそれと取っ組んで行く方法も考えられるわけですが,それにしても物理学,電気学,とりわけ数学上の相当な力倆が要りますし,といってこれを脳の内部から考察してやろうとすれば,解剖学,組織学の詳細な知識は勿論,脳の生化学,薬理学からも,果ては心理学まで登場することになりましょう。

Wiki「山極一三」

現代はマクロな生理学・解剖学だけでなく、ミクロで見た神経科学・細胞生物学が発展し、生物だけでなく物理現象の理解とそれを解析するAI(人工知能)もかかわっています。まさに卓見ですね。

この脳波装置はEEG(Electroencephalogram)と呼ばれますが、元記事によればいずれはスマートフォンサイズにまでコンパクトになるだろうと予測しています。

もう1つはその質で、やはり気になるのが夢を映像化する技術です。過去記事でもふれたとおりすでに研究が進んでおり、京都大学でもそれを研究しているグループがあります。近年の最新成果を紹介した動画を見つけたので興味ある方は覗いてみてください。

上記動画でもやはりポイントはAI、特に深層学習です。これからの脳研究は山極氏の予言のとおり、まさに学際的になりそうです。

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